令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉の旅語録〜安来節と尼子氏の山城で有名な「はがねの町」安来

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出雲國たたら風土記「日本遺産たたら製鉄の伝統が生きる安来」

「安来節」と「たたら製鉄」で知られる町

第25回全国山城サミット安来大会出席する目的で安来市を訪ねましたが、前日に観光プロモーターの門脇さんに安来市の日本遺産構成文化財を案内していただきました。

まず、安来駅のホームでは目の前に日立金属㈱の安来工場があり、安来は今日においても鉄づくりの町であることを実感することができました。

日本古来の鉄づくり「たたら製鉄」で繁栄した安来ですが、今日もなおその伝統が生き続けているのです。

そもそも「どじょうすくい踊り」で有名な安来節には、鉄を馬や船で運ぶ様子など、鉄に関連した内容も唄いこまれています。

その江戸から明治期にかけて鉄の積出港として賑わった安来港に隣接した「和鋼博物館」では、小村館長から直々に「たたら製鉄」の歴史を説明していただきましたが、改めて安来が「はがねの町」であることが理解できました。

この館名の「和鋼」は浜田市出身の冶金学者、俵国一先生の命名で、館内には国指定重要文化財のたたら製鉄用具や安来市指定文化財のたたら絵巻「玉鋼縁起」も展示されており、また製鉄炉に風を送る天秤ふいごを踏む体験もできます。

鉄の生産地を治めた尼子氏の居城、月山富田城

今回の山城サミットの主役である月山富田城は、戦国大名の尼子氏が拠点とした山城ですが、山陰地方の鉄生産の中心地であった奥出雲地域を支配下においたことから、「鉄づくり千年が生んだ物語」の一つとして日本遺産の構成文化財となっています。

現在では当時の建築物は残っていませんが、登山道の整備はなされており、山中御殿から七曲りを経て本丸まで登ると、眼下には当時の鉄の流通路であった安来平野から島根半島を見渡すことができます。

たたらの女神「金屋子神」を祀る金屋子神社の総本社

しかし、今回の私の関心事の第一は、私の姓と同じ安来市広瀬町にある黒田の奥非田(比田)の森の桂の木に降り立たれたと伝わる、たたらの神を祀る金屋子神社でした。

かつて私が西宮青年会議所のメンバーであった頃、同じ兵庫県内の宍粟市千種町も金屋子神ゆかりの地であると聞いていたからです。

たたらの女神「金屋子神」を祀る金屋子神社の総本社を参拝した私は、境内の参道や黒田川に製鉄の副産物を発見し、良質の砂鉄と豊富な森林資源、そして黒田川の清らかな水という製鉄に必要な条件がそろっていたことが理解できました。

近くにある金屋子神話民俗館の展示資料によると、金屋子神は高天原から最初に天降下った場所が
播磨国志相郡(兵庫県宍粟市)で、その後、「私は西方を司どる神である」と言って白鷺に乗り、
この出雲国の黒田に飛来したと解説してありました。

しかし、一説には、途中、備中国吉備の中山を経由したとも言われています。

私の出身地である三重県名張市の黒田の地も、清らかな水をたたえる黒田川と森があって、東大寺二月堂の松明調進を行っていますが、もし金谷子神が来ておれば製鉄業が起こっていたかもしれません。

たたら製鉄から生まれた美しい棚田の風景と「出雲そば」

また、安来市と奥出雲町を結ぶ街道沿いに位置する西比田の町は、たたら製鉄の発展とともに金屋子神社参拝の拠点として賑わいを見せていましたが、今日では周辺の丘陵地帯にある美しい棚田が印象的です。

たたら製鉄には大量の木炭を必要とし、鉄穴(かんな)流しという砂鉄採取のために周辺の山が切り開かれ、その山の斜面を有効利用すべく生まれたのが棚田です。

さらに伐採された土地が生まれる中で、栽培に適していたのが「そば」であり、標高の高い土地だからこそ美味しい「出雲そば」が根付いたとも言えます。

私はこの安来の地で、たたら製鉄という優れた鉄の生産を通じて、神を信仰し、砂鉄の採取跡地を稲田として再生させ、さらに「出雲そば」という名産を育てた、人と自然の共生する社会に感動を覚えました。

安来を訪れたならば、足立美術館だけでなく、是非とも日本遺産「出雲国たたら風土記」の世界も体験していただきたいと思います。

日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

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 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 

平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

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平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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