旅の種類と旅行イメージ
日本語の「旅」を英語で表現すると
・Travel
・Tour
・Trip
・Journey
・Excursion
のように区分されます。
一般的な旅行はトラベルTravelで、旅行会社もTravel Agencyと表記されます。
Tourは、その旅行会社が企画するGroup Tourのような団体旅行に使います。
TripはBusiness Tripのような個人出張で乗り物を使う個人旅が主です。
芭蕉さんのように「人生は旅」という場合にはJourneyで、通常、長旅を意味します。
私たちは子供の頃の修学旅行で旅のイメージを植え付けられますが、これはExcursionという遠足であったり、教育的指導の制約されたGroup Tour団体旅行で、本来の「旅」ではありません。
「旅」の語源
本来の「旅(Travel)」には、「困難(Trouble)」やそれを回避するための「移動(transfer)」という意味がありました。
日本語の「旅(たび)」という言葉も、諸説ありますが、「他火(たび)」からきているそうです。
すなわち、昔、家の中心に囲炉裏があった時代、家を離れて異国の土地を訪ねた際、他人から「命の拠り所としての火」をもらって食することが語源です。
また、食事をめぐんでもらうことから「給べ(たべ)」、あるいは他の土地で日を過ごすことから「他日」が語源という説もあります。
いずれにせよ、旅とは「他の火にあたらせてもらうこと」にひとつの本質があって、それは見知らぬ人やその土地の神様との出会いであり、そこで新たな気づきや刺激をいただくのです。
「旅」のイメージ
一方、旅とは本来、時間の束縛から逃れ、行きたいところに行くというきわめて個人的なものだと思います。
すなわち、芭蕉さんの「奥の細道」の旅や種田山頭火の「わけいってもわけいっても青い山」というイメージこそが、本来の「旅」なのです。
温泉につかって土地の郷土料理を食べたり、名所旧跡をめでるのは「旅」という言葉よりも「物見遊山」という言葉が適切です。
かつては「遊行(本来は僧が布教や修行のために各地を巡ること)」や「遊山」という言葉が使われていましたが、いつしかこれらが、「旅」という一語に統一されたのです。
修学旅行の功罪
また、子供の頃の思い出と言えば「修学旅行」と答える人は多いかもしれません。
しかし、それは旅行そのものが楽しかったというよりも、親しい友達と寝食を共にした時間が楽しい思い出として記憶されているからではないでしょうか。
実際、私も修学旅行で訪ねた寺社仏閣の説明などは全く覚えていません。
修学旅行では行程はもちろん、服装やお小遣いの額も決められ、みんなと違う行動を取りたがる私などはいつもマークされていました。
団体の規律を指導するには良いのかもしれませんが、本来の「旅」を学ぶという意味では全く逆の教育をしていることになります。
「旅」とはきわめて個人的かつ個人の創意工夫が求められるものなので、学校での指導には限界があるのかもしれません。
修学旅行は旅行会社にとっては重要なイベントなのですが、もう少し「旅」本来の意味を児童や生徒に説明してから実施すべきかと思います。
修学旅行の想い出が友達と過ごした楽しい時間であったり、バスガイドさんの記憶とするならば、やはり旅では出会いによる「共感」と価値観の交換が大切なのではないでしょうか。
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