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平成芭蕉の旅語録〜2月13日の日本遺産Day講演 鳥羽・志摩の女性文化

鳥羽・志摩の海に生きた女性文化「海女(あま)」と「はしりがね」

2月13日の「日本遺産の日」には、伊勢志摩国立公園の横山ビジターセンター「旅行会社から見た鳥羽・志摩の魅力」という演目で講演させていただきました。

横山ビジターセンターは伊勢志摩国立公園を代表する英虞(あご)湾の絶景が一望できる横山展望台の入り口にある、観光案内所です。この横山展望台は2018年8月5日に「横山天空カフェテラス」としてリニューアルされ、カフェ「ミラドール志摩」では美味しいソフトクリームだけでなく、週末には志摩市ご当地バーガーである「勝つお(鰹)バーガー」を食することができます。

横山展望台で藪伸太郎氏と

今回の講演は、鳥羽市と志摩市合同で申請を行っていた「海女(Ama)に出逢えるまち鳥羽・志摩 ~素潜り漁に生きる女性たち」が、令和元年5月20日、日本遺産に認定されたことで、この海女のストーリーを正しく紹介するためのガイド養成講座が海女振興協議会主催で行われ、私はその講師として招かれたのです。

前日の2月12日には、同じ内容で鳥羽商工会議所の「かもめホール」で行われました。

鳥羽カモメホールでの講演

養成講座スケジュールは地元有識者の基調講演に引き続き、株式会社KADOKAWAの藪伸太郎氏が「地元情報誌“東海ウォーカー”が23年見つめ続けた鳥羽・志摩の魅力」についてお話しされ、私は「日本遺産旅の留意点」をテーマに90分間の講義をしました。

藪伸太郎氏は一般社団法人西日本ハンバーガー協会の会長でもあり、講演の中ではハンバーガーの魅力も紹介されたので、私は「海女さん」のハンバーガーが食べたくなりました。

基調講演は、鳥羽会場では海の博物館の平賀館長より「海女がとる海の幸について」、志摩会場では自然ふれあい推進協議会の伊藤事務局長より「海女さんはつらいよ」というテーマで共に海女さんについての話でした。

観光ガイド養成講座

私も三重県の出身であり、幼少の頃より毎年のように家族旅行で伊勢神宮や伊雑宮を参拝しては、鳥羽・志摩半島を巡り、賢島の志摩観光ホテルに宿泊していましたので、この付近は馴染みの場所で、海女さんの話もかなり聞かされてきました。

そこで、私はこの機会に海女さんではなく、一般的に知られていない「志摩のはしりがね」についてご紹介したいと思います。

私は「旅の文化研究所」という歴史や民俗学を調べる機関の研究員でもあるため、海女の文化だけでなく、鳥羽出身の風俗研究家・岩田準一氏が紹介された「志摩のはしりがね」についても調査しました。

岩田準一『志摩のはしりかね』より

伊勢に「古市」という遊郭があったように、志摩の安乗(あのり)渡鹿野(わたかの)では「菜売り」と呼ばれ、体面上は菜を売るという形で船人たちを相手にする船遊女がいたのです。

汽船のなかった頃の海上運送には帆船が利用され、「風待ち」のため伊勢湾内の港に長く留まることが多く、船人たちの相手をする遊女が志摩地方の各港に置かれていたようで、港に船が入ると遊女たちは急いで船出の準備をし、走りながら鉄漿(おはぐろ)をつけたことから、「はしり鉄(がね)」と呼ばれていました。

「はしり」とは「最初の」とか「新しい」の意味で、江戸~大坂の中間に位置する鳥羽は、船人たちにとって最初のお金の消費地だったからだとか、「走り蟹(かに)」がなまったとか他にも様々な説があげられています。

私は平成芭蕉、令和の伊賀流忍者として「はしりがね」のような消えゆく情報も確かめた上で、今日の海女文化を知るべきだと考えています。

海女文化について熱く語る平成芭蕉

すなわち、鳥羽・志摩の海に生きた女性の歴史には、海女さんだけでなく、遊女の歴史もあり、海運で栄えた時代の志摩は、海の「古市」のような地でもあったのです。

日本遺産認定を機に「海女(あま)」が注目されるようになりましたが、海女を漁業としてみるか文化としてみるかは意見の分かれるところです。しかし、鳥羽・志摩の海女は「はしりがね」と同様にこの地域特有の女性文化であり、日本に多くの潜水漁業がある中でも独自に進化発展をとげたものです。

特に志摩においては帆船の時代が過ぎた後は、海女以外の職業はなく、義務教育を終えると海女になる人が多かったのです。

しかし、海女の仕事は過酷で危険な職業であり、女性が最もきらう「紫外線で色が黒くなる」という理由から今日では海女離れが起きています。

海女小屋での海女さん

また、海女離れの真の理由は地球温暖化によるアワビ資源の減少にもよるのかもしれませんが、私は観光事業に従事する者として、いつまでも元気な海女さんから「生きるエネルギー」を頂戴したいと考えています。

そこで、私が造成する「鳥羽・志摩の日本遺産ツアー」では、海女小屋に立ち寄り、元気な海女さんから素潜り漁や生活の様子を聞きながら、「海女小屋料理体験」を組み入れたいと思います。

海女小屋での海女さんによる説明

なぜなら私にとって日本遺産のストーリーの旅は、現地に生きる人から聞いた物語を通じて、忘れていた自分の想い出や新たなイメージを創造する旅だからです。

横山ビジターセンター

祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はこのたび『縄文人からのメッセージ』というタイトルで令和の旅を語り、Amazonの電子本として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
 ②『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 

平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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