国立公園の発展に中心的役割を果たした世界遺産「ヨセミテ国立公園」
最近の世界情勢を伝えるニュースでは、「偉大なるアメリカ復活」を標語に掲げるアメリカ大統領トランプ氏の報道が多く、各方面で今後の動向が注目されるアメリカですが、今回は大統領が交代しても変わらないアメリカの偉大な自然公園、アメリカ西部カリフォルニア州にあるヨセミテ国立公園をご紹介します。
アメリカにおける国立公園の理想は「万人に開かれた公園として後世に残す」というもので、「平等」を掲げたアメリカ独立宣言にも通じると言われています。
このヨセミテ国立公園は「ありのままの自然」を残そうと、ヨセミテ渓谷を新大陸における『カテドラル』と命名、神聖にして犯されざるものとして開発と闘った「自然保護の父」ジョン・ミューアの功績によって雄大な景観が残されているのです。
また、この公園は世界自然遺産ですが、ミューアの世界に先駆けて生まれた自然保護運動の聖地でもあり、「国立公園」の発想の原点がここヨセミテにあるので、アメリカ文化の側面から考えるとヨセミテは文化遺産の要素もあると思います。
実際、時の大統領セオドア・ルーズベルトは母と妻を病気で亡くし、その深い悲しみを救ってくれた自然の力を認め、その自然への思いを同じくするミューアとヨセミテで3日間キャンプして会談、その後はミューアの理想を実現させるべく各地に国立公園を設けたのです。
ヨセミテ国立公園が国立公園に指定されたのは1890年 と、実に130年近くも前のことで日本は明治23年、まだ教育勅語が発布されたばかりの頃です。
ヨセミテ国立公園のビューポイント
ヨセミテ国立公園は、氷河によって形成されたダイナミックな景観が特徴で、年間を通してオープンしており、春は雪解け水の豊富な滝、夏は鮮やかな緑の木々、秋は燃えるような紅葉、冬は静寂に包まれた雪景色と、アメリカならではのスケールの大きな四季を楽しむことができます。
この地域ではおよそ70万~1万年前にかけて、活発な氷河活動が続き、そのため氷食谷(氷河の圧力によって花崗岩の岩盤が削られてできた渓谷)やモレーン(氷河によって削られた岩石や土砂が堆積してつくられた地形)、氷河湖などの独特な地形が生まれたと考えられています。
特にこの地の花崗岩は堅くて風化しにくいため、氷河時代と変わらぬ風景が残されており、その代表がハーフドームで、私はグレイシャーポイントから眺める姿が一番印象に残っており、氷河の浸食の激しさを感じました。
これは標高2693mのヨセミテを象徴する岩山で、このポイントから見ると岩が半分に割れているように見えることからハーフドームと命名されました。
また、一枚岩の花崗岩としては世界最大で、ロッククライマーの聖地とされるエル・キャピタンも外せません。
「エル・キャピタン」という名前の由来は、アメリカ先住民がこの岩を「岩の族長(キャプテン)」と呼んでいたことから名付けられたそうですが、特に冬は岩肌を雪が多い、幻想的な美しさを堪能できます。
氷河地形や多様な動植物相が見られる国立公園
このエル・キャピタンの対側にあるのが、新大陸の教会と称される「カテドラルロック」で、氷河が造り上げた巨大な彫刻美は、ヨセミテ渓谷のなりたちを思い起こさせてくれる風景です。5月から6月の雪解けシーズンであれば、ヨセミテ滝も水量が豊富で迫力があります。
なお、ミューアの理想を具現化した「トンネル・ビュー」からの眺めは、道路などの人工物が見えないように工夫されており、ヨセミテ国立公園の自然パノラマを満喫するにはベストポジションです。
この地域の総面積の約95%は、「ウィルダネス」と呼ばれる手つかずの自然が広がっており、一帯には「ビッグツリー」の別名で知られる世界最大の樹木ジャイアントセコイアも茂っています。さらに、哺乳類約80種、国鳥のハクトウワシなどの鳥類も250種が生息していますが、観光名所となったことで、ビッグホーンやグリズリーなどが公園から姿を消しつつあるそうです。
そこで、私はこの偉大なアメリカの自然に触れると「我々を偉大な国民にならしめるのは、何を所有しているかではなく、所有しているものを我々がどのように用いるかである」と言ったセオドア・ルーズベルト大統領の言葉を思い出します。
アメリカでの主な観光地というと、ニューヨークやラスベガスなどの都市に目が行きがちですが、アメリカは日本とは比べ物にならないワイルドな大自然という大きな観光資源も持ち合わせており、私たち日本人もこの偉大な自然からいろいろと学ぶべきだと思いました。
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「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。
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