映画『沈黙』の舞台「外海の世界遺産とド・ロ神父」
外海の未来を変えた高貴なド・ロ神父の愛
外海の潜伏キリシタンは命をかけてバスチャンの教えを守り、外海に赴任したド・ロ神父は高貴な愛で人々を貧しさから救いました。
すなわち、『沈黙』の舞台である外海を旅して、私は、信じること、守ること、伝えること、そして愛することという人間が生きていく上で大切なことを学んだ気がします。
特に「外海の太陽」として今日まで語り継がれているド・ロ神父の献身的な功績には感動します。
おぼつかない日本語については、神父の良きパートナーであった黒崎村出身の伝道師中村金蔵がサポートし、外海の人々に生きる力を与え、自立することを教えたド・ロ神父の強さと真の愛情はこれからも永遠に語り継がれことと思います。
フランス貴族ド・ロ神父のノーブレス・オブリージュ
ド・ロ神父が赴任してきた頃の外海は、信仰の自由は得たものの、辺鄙な上に田畑に恵まれないという最悪の立地条件で、人々は極限の貧しさの中で生活していました。
一方、マルコ・マリー・ド・ロ神父はフランスのノルマンディー、ヴォスロール村の由緒正しき貴族の出身でした。
家庭でしっかりと農作業や大工作業などの躾を受け、東洋布教のためにパリ外国人宣教会に入会、キリシタン弾圧が続いていた1868(明治元)年に死を覚悟して来日し、長崎や横浜でも数々の功績を残しています。
そして彼は日本に赴く際には両親から莫大なお金を渡されていました。
外海に赴任してからは布教活動とともに、幅広い分野の知識と経験を活かし、「隣人を自分のように愛しなさい」というキリスト教の教えを実践しました。
しかし、ド・ロ神父が母国へ帰ることもなく、外海の人々のために力を注いだのは、外海の貧しい人を救いたい、自活できる力を与えたいという強い思いと使命感からだと思います。
これは、彼にヨーロッパ貴族の「ノーブレス・オブリージュ(身分のい高い人には果たさなければならない社会的責任と義務がある)」精神が備わっていたからでしょう。
ド・ロ神父の献身的な活動
彼は赴任した翌年に孤児院を開設し、庄屋屋敷を購入しては救助院も設立して授産活動を開始しています。
その救助院の活動には、ド・ロ神父のアイデアと工夫、そして
「人のためには何事もつねによりよいものを」
という精神が生きていました。
まさに日本の福祉事業の先駆けです。
今回、訪れた救助院でシスターが弾いてくれたオルガンもド・ロ神父がフランスから取り寄せたもので、100年以上の時を経てもあたたかい音を発していました。
また、明治から昭和にかけて歴史的な教会堂建築を手がけた大工の鉄川与助もド・ロ神父から建築指導を受けています。
ド・ロ神父は1868年に来日してから一度も母国フランスに帰ることなく、1914年に長崎で亡くなり、遺体は遺言により出津の野道共同墓地に埋葬されました。
ド・ロ神父の功績は目に見える物だけでなく、その多くは外海の人々の心の中に生きており、これこそが外海の世界遺産です。
豊かな人と交流する環境が大切
ド・ロ神父赴任後、外海の人々が経済的にも精神的にも自立していったという歴史から、私はやはりノーブレス・オブリージュ精神を持った経済的に豊かな人の指導を受け、仲間になることが成功の秘訣だと感じました。
すなわち、人間は環境によって変わるので、豊かな人または成功している人と交流することによって自分も進化したいと思います。
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