『沈黙』の舞台、外海の潜伏キリシタン | 芭蕉さんの旅講座

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『沈黙』の舞台、外海の潜伏キリシタン

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『沈黙』の舞台、外海に伝わるバスチャン信仰

遠藤周作『沈黙』の舞台である外海の潜伏キリシタン関連教会を巡ってきました。

今回も外海ボランティアガイド協会の松川隆治会長にご案内いただき、黒崎教会、出津教会、大野教会と巡り、この地に伝わるバスチャン信仰についても解説していただきました。

バスチャンとは外海地区で活動した伝道師で、黒崎教会の資料館にはその「バスチャンの日繰り」と呼ばれる教会暦が展示されており、これは「御帳」と呼ばれる組織のリーダーが管理した教会暦のことです。

もとはフランシスコ・ザビエルが1550年の教会暦を鹿児島の信徒に与えたもので、バスチャンの「日繰り」もこれにならって1634年の教会暦(グレゴリオ暦)を当時の太陰暦に改編したものと言われています。

「平成芭蕉」が案内する「旅スルおつかれ様 ハーフタイムツアーズ」(テレビ東京 11月26日放映分)で松川さんが紹介されました。

  紹介動画  https://youtu.be/V0rJgAZxE-8

伝道師バスチャンの教え

松川会長の話では、この地区の潜伏キリシタンが約250年間、信仰を守り続けることができた大きな理由はこの「バスチャンの日繰り」の存在にあるとのことです。

これはキリストの生涯に関する祭式を年間に配分した典礼一覧で、1年を通じて信仰心を高揚させるように作られており、有名な受胎告知を意味する「二月二十六日、さんたまりやの御つげの日」から始まっています。

そのバスチャンは外海の牧野という山奥の屋敷に隠れて伝道活動をしていましたが、『沈黙』のロドリゴと同様に密告によって捕えられ、処刑されてしまいます。

しかし、彼は残されたキリシタンに希望を与える4つの予言とこの「日繰り」を残したのです。

残された人たちはこのバスチャンの伝えた信仰モデルを忠実に継承し、日本独自の組織で潜伏キリシタン文化を築いていったのです。

日本古来の「守破離」とは異なる潜伏キリシタンの信仰心

日本の武道や芸事では師弟関係の在り方の一つに「守破離(しゅはり)」、すなわち

:師匠に言われた「型」を忠実に「守る」ことから修行が始まる

:自分がより良いと思われる「型」を創り、既存の型を「破る」

:最終的に師匠の「型」、自分の「型」から「離れ」て技を取得する

という3段階があり、新たな流派が生まれるとされています。

潜伏キリシタンを支えた信仰のモデリング継承こそが遺産

しかし、外海の潜伏キリシタンの人たちは「守破離」ではなく、「守守守」すなわち、バスチャンの信仰の「型」を忠実に守り、守って継承し、守り通したのです。

今回登録された世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、出津教会や大野教会と言った建物群よりも、その集落における潜伏キリシタンを支えた信仰のモデリングこそが評価されたのだと思います。by【平成芭蕉

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