長崎県の世界遺産「五島潜伏キリシタン集落」
外海から海を渡ってたどり着いた五島列島
五島列島、そこは日本の最西端に位置する長崎県本土からさらに西へ50~100㎞ほど離れた海上に浮かぶ辺境の島嶼群です。
その五島列島における潜伏キリシタンの歴史は、18世紀末の寛永年間、五島藩が農民不足を補うために大村藩からの移住を求めたことから始まります。
そして数次にわたる移住者は約3000人余りに及びましたが、その多くは外海地方からの潜伏キリシタンでした。
五島へ五島へ 皆行きたがる
五島やさしや 土地までも
五島極楽 行ってみて地獄
二度と行くまい あの島へ
と歌われているように、彼らは信仰を守るために新天地を夢見たのですが、現実は農作にも漁労にも適さないやせた土地に強風が吹き荒れる過酷な場所でした。
五島列島の潜伏キリシタン集落
そのため、少しでも条件の良い場所を求めて移住が繰り返されたため、五島列島全体で約80箇所の潜伏キリシタン集落が形成されました。
すなわち、外海地域の潜伏キリシタンは、自らの信仰を守るため、移住先である五島の社会や環境との折り合いを考慮しつつ適応していったのです。
土地を耕し、漁に出て、豊かな海に守られ生かされて信徒たちは生き続けました。
そして、1865年の信徒発見以後、信仰を表明したキリシタンには「五島崩れ(久賀島の牢屋の窄)」という激烈な迫害が襲いましたが、1873年に禁制の高札が撤去されるに及び、次第に信仰が復活していったのです。
今回のツアーでは、県指定有形文化財の堂崎教会に加えて、旧五輪、江上、頭ケ島、青砂ケ浦の教会堂を巡りましたが、注目すべきはこれらの教会堂が潜伏期のキリシタン集落の中に建っているということです。
過酷な迫害を乗り越えた潜伏キリシタンのサバイバル精神
つまり、この事実は200年以上に及んだ禁教時代の潜伏キリシタンの生活環境の在り方を示していると同時に、その間、継続されてきた復活への願いと、それが叶えられた喜びを表すシンボルとも言えるでしょう。
故に、今回の世界遺産では教会堂という建物ではなく、集落や集落跡が登録対象となっているのです。
しかし、教会堂は長い潜伏期間を乗り越え、どんなに過酷な迫害に遭っても、決してその信仰を捨てなかった信者たちが渇望した「神の家」です。
厳しい生活の中から少しづつ資金を捻出し、自分たちの生活よりも神の家を建てることを優先した信徒たち。
私はつつましく、まじめに生きた五島の潜伏キリシタンから、決して諦めないサバイバル精神を学んだ気がします。
そこで今回の世界遺産登録を機に、観光地化が進んでも、紺碧の雄大な東シナ海の平穏と共に、この五島列島の美しい景観が未来永劫、損なわれないことを祈念します。
*平成芭蕉が同行した潜伏キリシタンのテーマ旅行は下記の番組で紹介されました。
「平成芭蕉同行の旅」 旅スルおつかれ様 ハーフタイムツアーズ
前編動画(テレビ東京 2018年11月26日放映分)
後編動画(テレビ東京2018年11月27日放映分)
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。
平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。
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