サイトアイコン 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

平成芭蕉の旅語録~「青天を衝け」渋沢栄一翁ゆかりの深谷探訪

旧渋沢邸「中の家(なかんち)」

一万円札の肖像「渋沢栄一」と「福沢諭吉」

20年ぶりの新紙幣発行が決まり、その中で紙幣の代名詞とも言える一万円札の肖像が私の母校の創立者である福沢諭吉から今年の大河ドラマの主人公、渋沢栄一に変更されることになりました。

新一万円札の肖像「渋沢栄一」

そこで私は渋沢栄一翁の半生を知るべく、埼玉県深谷市大河ドラマ館と渋沢栄一ゆかりの尾高惇忠生家旧渋沢邸「中の家(なかんち)」を巡ってきました。深谷を訪れたことで、私が慶應義塾大学在学中に福沢諭吉先生の『時事新報』で読んだ社説「一覚宿昔星雲夢」は、渋沢栄一翁のことであったことを思い出しました。

深谷の大河ドラマ館

その記事は、渋沢栄一の生き方に感動した福沢諭吉先生の言葉で、「政府の役人になることだけが出世の道だと思い込んでいる人(青雲の夢)が多いが、そんな夢から早く目覚めてほしい。実業の道に進んで、今はこの社会において最高の地位にある、渋沢栄一の生き方こそがもっとも模範とすべきものである」という内容でした。

近代日本経済の父「渋沢栄一」

福沢諭吉先生と渋沢栄一翁は同時代に生きた人で、共にヨーロッパ留学をしており、共通点が見られます。すなわち、代官の横柄な態度から封建的身分制度に不満を持った渋沢栄一と下級士族の父の生き方をみて、「門閥制度は親のかたき」と言った福沢諭吉先生は、共にヨーロッパの先進文化に触れて新しい時代を切り開いたのです。

渋沢栄一翁のアンドロイド

私は渋沢栄一翁がパリ万博において、ヨーロッパ文明を自らの目で見聞し、日本にも経済の発展をもたらそうと先進文化を導入したことは、日本の資本主義発展にとって大変有益であったと思います。また、文久遣欧使節団に同行した福沢諭吉先生も、このヨーロッパ視察によって 『西洋事情』 ・『学問のすゝめ』 ・『文明論の概略』等の大ベストセラーを生み出すことができたのです。

福沢諭吉と平成芭蕉

大河ドラマ「青天を衝け」渋沢栄一ゆかりの地

最初に訪れた尾高惇忠生家は、江戸時代後期に建てられたもので、当時は「油屋」の屋号で呼ばれた商家でした。主の尾高惇忠は、渋沢栄一より10歳年長の従兄弟にあたり、通称は新五郎、諱(いみな)は惇忠、藍香(らんこう)と号しました。そして後世には「藍香ありて栄一あり」と称えられ、栄一の人生に大きな影響を与えたと言われています。

深谷市指定文化財「尾高惇忠生家」

その尾高惇忠の思想の中心は、水戸陽明学の知行合一(ちこうごういつ)の教えで、尾高塾の基本方針でした。

そして教育者としての尾高惇忠の力量が遺憾なく発揮された舞台は、彼が初代工場長を務めた官営富岡製糸場でした。惇忠は「至誠如神」(至誠神の如し)の四文字を大書した額を工場長室に掲げ、富岡製紙場の運営方針としたのです。

世界遺産「富岡製糸場」

「至誠如神」とは、「才能があってもなくても、素質があってもなくても、たとえそれがどんなに小さくても、誠意を尽くせば、その尽くしている姿そのものが神様と同じ、神の如しである」という意味ですが、この教えが渋沢栄一にも伝わったのだと思います。

埼玉県指定旧跡「渋沢栄一生地」

次に訪れた旧渋沢邸「中の家(なかんち)」は、渋沢栄一の生家ですが、深谷市血洗島にあり、尾高塾のあった下手計との距離は、およそ1キロメートルで、栄一が惇忠に論語を習いに通った道であることから、いつしか「論語の道」と命名され、また、この地域一帯は「論語の里」と呼ばれています。

論語の道

この屋敷は、渋沢家の住宅等として使われていたもので、主屋を囲むように副屋、土蔵、正門、東門が建ち、養蚕農家の形をとどめています。屋敷外の北東には、渋沢栄一の雅号「青淵」の由来となった池の跡地に「青淵由来之跡」碑が立っていました。

青淵由来之跡碑

東京の飛鳥山の私邸は空襲で焼失しているので、深谷に残るこの「中の家」は、諏訪神社とともに渋沢栄一の面影を残す貴重な場所でした。

日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

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平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

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*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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