太陽の有難さを感じた「烏鎮の奇跡」皆既日食の想い出
新型コロナウイルスの感染拡大によって2020年の東京オリンピックの開催も延期されることになりましたが、収束はいったいいつになるのでしょうか?日本では桜の開花時期となり、ようやく暖かくなってきましたが、このウイルス撃退にはやはり太陽の力による私たちの免疫力向上が必要かと思われます。
実際、日本は太陽を神格化した女神である天照大神を最高神としており、その天照大神を祀る伊勢神宮に参拝すると元気をもらった気分になるからです。天照大神は太陽の神様なので、天照大神が隠れてしまう事により太陽の光が届かなくなり、世界は災厄や病気があふれ悪神の勢力が強まります。
神話においては、八百万の神々が天岩戸にお隠れになった天照大神を引っ張り出そうと考えて大宴会を開き、外の様子が気になった天照大神が岩戸から身を乗り出した際、力の強い天手力男(あめのたちからお)が引っ張り出し世界に平和が戻ったとされています。
この物語のモチーフが『日食』とされていますが、私は2009年7月22日、「アジアのヴェネツィア」とも称される中国浙江省の烏鎮(ウーチン)で感動的な「皆既日食」を観ることができました。それは「烏鎮の奇跡」とも言われた劇的な天体ショーだったのです。
烏鎮は上海から約140キロの距離にある水郷地帯で、「水のある古い街並み」が残る観光都市です。観光の中心は、西柵地区の中心を流れる運河で、通安橋や万興橋など、10を超える石橋が運河にかかっています。
私は運河沿いの石畳の通りを散策しましたが、古民家は横から見ると白い漆喰の壁ですが、正面は全くの木造家屋で、日本人には、馴染みのある落ち着く風景です。今回は日食を観察するための前泊地として訪れましたが、夜景も素晴らしく、昼の景色以上に印象に残りました。
2009年7月22日の感動的な皆既日食「烏鎮の奇跡」
日食当日の7月22日は、朝から大粒の雨が降ったり止んだりで、雷も鳴っている最悪の天候でしたが、奇跡を信じてホテルから観測場所へ移動。
観測地の農業公園にはすでに多くの人が待機していましたが、太陽が第一接触する時間帯になっても、空は厚い雲に覆われて観測は難しい状況でした。
しかし第二接触が近づいた頃になると、雨が上がり、なんと雲のわずかに途切れた空間に晴れ間が現れました。そしてその晴れ間が太陽の方に移動し、ついに待ち焦がれた太陽が顔を出してくれたのです。
まさに天の岩戸から天照大神が顔を出してくれたような感動です!
そしてその直後に皆既へ突入、あちこちで拍手と歓声が沸き起こり、この天候にも関わらず、皆既日食が完全なまでに観測できたのです! 太陽が隠れても気温の変化は濡れていたためか、感じる事はできませんでした。
しかし、皆既になると想像していた以上にまっ暗で、かすかに鳥の飛び立つシーンが目撃できた程度です。太陽が完全に隠れた後、肉眼で観察すると、暗い空にコロナをまとった黒い太陽が浮かんでおり、まさしく感動的な光景でした。
持参した双眼鏡でも覗いてみると淡いコロナの流線が見え、これもすばらしい眺めでした。動画を撮影しながら、肉眼で見たり、双眼鏡で眺めたりしているうちにあっという間に皆既日食が終わり、「あと30秒です」の声が聞こえました。
動画撮影のカメラを調整しているうちにプロミネンスが見えてすぐに見事なダイヤモンドリングが~。まさに感動の一瞬でした。
その後欠けた太陽は再び雲の中に消え、二度と現れませんでしたが、なんという奇跡でしょうか。皆既中だけ、しかも太陽の部分だけが晴れて完全な状態で観測できたのです。
この悪天候でコロナを拝めた事は奇跡だと思います。まさに「烏鎮の奇跡」とも呼べる貴重な体験で、太陽の偉大さとその有難みをひしひしと感じた瞬間でもありました。
私は、暗くなった後の感動的な太陽の光を体験した当時を振り返りつつ、新型コロナウイルスもこの偉大なる太陽の力で早急に撃退してもらいたいと願う今日この頃です。
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