サイトアイコン 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

平成芭蕉のテーマ旅行〜「風」の旅 :風の匂いと「風の彫刻家」新宮晋

「風」まかせの旅~ナポリでの「観風」と「風の彫刻家」新宮晋(すすむ)

私は三重県名張市平尾山という山中で育ちました。この山は桜ケ丘とも呼ばれた桜の名所で、春になると爽やかな風が吹き、桜の花の散る風景がとてものどかに感じられ、まさしく春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)の世界でした。

「春風駘蕩」とは春の風がのどかに優しく吹いているさまを言い、転じて、何事もなく平穏であるとの意味ですが、これは中国の詩人、謝朓(しゃちょう)が春の景色を詠んだ

「春物方(まさに)に駘蕩たり」〔春の景色はまさしくのどかなものである〕

が語源とされています。

帆船が出帆のために順風を待つことを「風待ち」と言いますが、私は桜ケ丘で過ごした幼い頃、この春風を待ちわびて、この風が吹くと風まかせ旅に出たくなりました。

新宮晋の作品を訪ねる「風まかせの旅」

また、物事がきわめて快調に進んでいるさまを「順風満帆」と言いますが、昔の帆船の旅では潮の流れと共に「風」の向きが重要で、その意味では旅には風が不可欠だったのです。

今日の豪華客船では港で「風待ち」をする必要はありませんが、「風」をテーマとした旅となれば、やはり船旅で風光明媚な港を巡り、船のデッキで土地の風を体で感じるのが一番です。

ナポリ「ボジリポの丘」の風からイタリアの匂いを感じる

例えばナポリは、ペトラルカ通りから眺めるナポリ湾の景観も素敵ですが、船から風を感じながら「卵城(カステル・デッローヴォ)」のあるサンタルチア港へ向かう景観は、まさしく動く「風景」で、これはもはや「観光」ではなく「観風」の気分です。

私はクルーズ中、船のデッキで風を感じると旅している気分が味わえるのですが、風には独特の「匂い」があるのです。

ナポリ市内では、「ポジリポの丘」中腹にある聖アントニオ教会前の広い展望テラスから、そのイタリアの匂いのする「そよ風」を浴びながらナポリ湾の絶景パノラマが楽しめます。

右奥には見事なヴェスヴィオ火山の雄姿、手前には卵城、左手にはヴォメロの丘と斜面の景色、青い海のはるか前方にはソレント半島も一望でき、ゲーテの『ナポリを見てから死ね』の言葉が実感できます。

ポジリポの丘から見たナポリの夜景

日本では「世界3大夜景」の一つとして知られていますが、ここは「ポリジポ(ギリシャ語で「癒す」意)」という地名通り、快適な「風」が心を癒してくれる場所なのです。

「風」まかせの旅で「風の彫刻家」新宮晋氏の作品を訪ねる

日本で「風」をテーマとした旅となれば、おすすめは「風の彫刻家」と呼ばれる新宮晋(しんぐうすすむ)氏の作品を見に行く旅です。

例えば新宿駅西口地下広場の「宇宙へのメッセージ」、横浜美術館の「風の音符」、関西国際空港の「はてしない空」など全国各地にあります。

私は西宮が実家ですので、やはり新宮晋さんの本拠地、兵庫県三田市に近い県立有馬富士公園にある「風のミュージアム」をしばしば訪ねます。

新宮晋「風のミュージアム」

ここに来ると、それぞれの作品が、風を受けながら自立し、優雅に舞い踊っているように思えて、同時に目には見えない自然のリズムが感じられるのです。あくまでも自然体で、あくせくすることなく、風の流れや風が運んでくる匂いを感じ取れるようになり、「風」まかせの旅を満喫することができます。

<具体的な旅先>

ナポリのポジリポの丘…ポジリポの地名はギリシャ語で「苦痛を癒す」という意味で、「聖アントニオのテラス」から見る絶景は、ナポリの観光絵葉書でおなじみの景色でもあります。

有馬富士公園「風のミュージアム」…「風のミュージアム」は、三田市在住で風や水で動く作品で知られる彫刻家、新宮晋が兵庫県に寄贈した「里山風車」と風で動く12点の彫刻が、県立有馬富士公園の休養ゾーンに常設展示される野外ミュージアムです。

*平成芭蕉のテーマ旅行「風の旅」は旅行読売2020年5月号に掲載されました

旅行読売 こんな旅がしたい「風の旅」

日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はこのたび『縄文人からのメッセージ』というタイトルで令和の旅を語り、Amazonの電子本として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
 ②『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 

平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って令和時代を旅しています。

平成芭蕉のテーマ旅行

見るべきものは見て、聞くべき話は聞いた。では旅に飽きたかと問われれば、いえいえ、視点が変わればまた新たな旅が始まるのです。平成芭蕉はまだまだ「こんな旅があった」と目からウロコのテーマ旅行にご案内します。すなわち、「ときめき」を感じる旅から人は変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

モバイルバージョンを終了