サイトアイコン 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

平成芭蕉の世界遺産 チュニジア~カルタゴはなぜ滅びたか

アントニヌスの浴場跡

アントニヌスの浴場跡

日本と似ていたチュニジアの世界遺産 カルタゴ

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

令和の時代を迎えて、昭和の時代は歴史となり、日本が敗戦国であったことを認識する人も少なくなってきています。

1945年の敗戦によって日本は軍隊・交戦権を奪われ、神道や神話の教育も禁止されましたが、有難いことに今日、国は存続しています。

しかし、歴史上では致命的な敗戦によって、繁栄していた国が滅んでいるのです。

そこで、今回は日本と同様に領土を没収され、武装解除、対外戦争の禁止など致命的な敗戦を喫したカルタゴについてご紹介します。

「すべての道はローマに通ず」という言葉がありますが、ローマはフェニキア人が建てたカルタゴとの三度のポエニ戦争(BC264~BC146)に勝利して躍進しました。

「カルタゴ遺跡」&「ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡」

カルタゴ時代の軍港跡

カルタゴは紀元前6~前2世紀頃に地中海交易で繁栄した都市国家で、現在のチュニジア共和国の首都チュニス近郊の地中海沿岸を拠点としていました。アルファベットの基礎を作ったフェニキア人が建国した海洋国家で、当時、世界一の造船技術を持ち、イベリア半島の金や錫といった資源をもとに地中海貿易で富を蓄え、一時は「世界の覇者」とまで称され、ローマ帝国と並ぶ強国となっていました。

ポエニ(ラテン語でフェニキア人の意)戦争はそのローマとカルタゴとの間で地中海の覇権を賭けて争われた3度の戦いです。

第2次戦役では有名なカルタゴの名将ハンニバルが象を率いてアルプス越えでローマ軍を撃破するも、本国との連携が悪く、最終的には宿敵スキピオに敗北し、カルタゴはローマに無条件降伏しました。

しかし、軍事的野心を捨て平和主義を掲げたカルタゴは、敗戦後、貿易や商売に専念し、奇跡の復興を成し遂げて経済大国となっていきました。

いくら叩いても不死鳥のように蘇るカルタゴ人の底力にローマ人は羨望と恐怖心を抱き、ローマの元老院指導者マルクス・カトーの

「わがローマから海路3日のところにこのような見事なイチジクを産する国がある。
この財力によって兵を備え、わがローマの強敵になるであろう。
カルタゴは滅びねばならぬ(デレンダ・エスタ・カルタゴ)」

の扇動で第3次戦役が起こされました。

これは戦争というよりローマによるカルタゴの民族浄化であり、ここに700年続いた経済大国カルタゴは完膚なきまでに滅ぼされたのです。

カルタゴの遺跡とケルクアンの墓地遺跡

ケルクアンの古代カルタゴ遺跡

すなわち、非武装だったフェニキア人のカルタゴの街はローマによって徹底的に破壊され、街は17日間も燃え続けました。貿易によって豊かになったカルタゴはパレスティナの死海から採れた高価なタールを屋根にふんだんに塗っていたからです。

しかし、紀元前46年に、ローマのカエサルが植民都市としてカルタゴを再建する計画を立て、初代皇帝となったアウグストゥスの治世には、ローマと同様に道路が碁盤目状に配され、闘技場円形劇場といった施設も設けられました。現在残るカルタゴ遺跡は、カルタゴの廃墟跡に再構築されたローマ時代の遺跡です。

かつては地中海の覇者として軍船や商船が出入りしていた港は静かな漁港となっており、目立つ遺跡はローマ時代のアントニウスの大浴場跡円形劇場です。特に2世紀頃につくられたアントニウスの大浴場は、ローマ世界で3番目の規模を誇る巨大施設で、浴室やサウナなど、合計100以上の部屋があり、床や壁にはローマ時代のモザイクで装飾され、その美しさは高く評価されています。

しかし、ローマ人の手で再建されて再び栄華を取り戻したカルタゴでしたが、7世紀後半にイスラムのウマイヤ朝に占領されたため、その際にアントニヌスの大浴場も取り壊され、その石材はウマイヤ朝のスペインに運ばれてモスクの建造に用いられました。

一方、「ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡」はローマ人ではなく、フェニキア人が造ったカルタゴ時代の貴重な遺跡です。

当時の墓地群もあり、興味深い場所で、何よりもどこか日本に似た貿易立国カルタゴに想いを馳せることができます。

ローマはカルガゴを滅ぼした時点で地中海を「我らが海」とし、国から帝国への道を歩み始めたのです。

祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
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 ②『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 
 ④『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅 

平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ

参考記事:世界遺産の旅における「へー、そうだったの」

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています

平成芭蕉の世界遺産

世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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