サイトアイコン 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

平成芭蕉の世界遺産~ポツダムとベルリンの宮殿群と庭園群「サンスーシ宮殿」

サンスーシ宮殿で代表される「ポツダムとベルリンの宮殿群と庭園群」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

ポツダム会談で有名なツェツィーリエンホーフ宮殿

ドイツの首都ベルリンとブランデンブルク州の州都ポツダム周辺には、18~20世紀初頭にかけて造られた数多くの宮殿と庭園群が残されており、第二次世界大戦の戦後処理について話し合われたポツダム会談で有名なツェツィーリエンホーフ宮殿やフランス語で「憂いなし」を意味するサンスーシ宮殿などが、「ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群」として世界遺産に登録されています。

ベルリンのブランデンブルグ門

日本の無条件降伏要求などを宣言したポツダム会議が行われたツェツィーリエンホーフ宮殿は、1917年にドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が、皇太子ヴィルヘルムのために建てたもので、皇太子妃ツェツィーリエにちなんで名づけられました。

ポツダム会談のツェツィリエンホーフ宮殿

皇太子夫妻の好みによる英国カントリー様式の木組みを基調とする建物で、荘厳さはありませんがとても落ち着いた雰囲気に包まれています。宮殿というよりは高原のホテルのイメージですが、一般にも公開されており、ポツダム会談が開かれた部屋や米英ソ各国首脳の控室なども見学することができるので、日本人としては意義の深い場所です。

フリードリヒ2世とマリア・テレジアと戦い

ポツダムは17世紀にブランデンブルク選帝侯の館が建てられて以降、プロイセン王国のホーエンツォレルン家の居所の1つとして発展した町ですが、とくに18世紀に入り、フリードリヒ・ヴィルヘルム1世とその息子フリードリヒ2世が、ポツダム周辺にバロック都市の夢を実現させ、そのシンボルが18世紀半ばにフリードリヒ2世が自ら設計して建てた夏の離宮「サンスーシ宮殿」です。

サンスーシ宮殿

この宮殿は「人生の喜びと自然との一体感」をテーマとしたドイツ・ロココ様式の傑作で、宮殿内部にはブドウをはじめ、植物や動物をモチーフにした装飾が随所に施され、豪華ながらも温かみのある雰囲気が漂っています。また、宮殿前の階段状のブドウ棚や庭園とクリームイエローの優雅な宮殿が織り成す風景は、まさにこのテーマを象徴しています。

サンスーシ宮殿と庭園

「フリードリヒ大王」と称されたフリードリヒ2世は、「軍人王」と呼ばれたフリードリヒ・ヴィルヘルム1世からは皇帝としての帝王学を学び、音楽を愛した母ゾフィー・ドロテアからは芸術や学問に通じた宮廷人としての気風を学びました。

1740年に父の跡を継いでプロイセン国王となった彼は、オーストリアのマリア・テレジアが若くしてハプスブルク家の全領土を継承したことに異議を唱え、フランス王やバイエルン公と組んでオーストリアに対し戦争(オーストリア継承戦争)を起こします。そして、この戦争でプロイセン王国は領土を広げましたが、領土奪還を目指すマリア・テレジアとの間で再び戦争(七年戦争)となりました。

七年戦争では一時苦境に立たされましたが、最終的にはオーストリアとの間で有利な和平条約を結び、ヨーロッパ列強の一国となりました。

「サンスーシ宮殿」とフリードリヒ2世の功績

サンスーシ宮殿はこの戦争が続いた時代に造られたのです。フリードリヒ2世は平屋建てでわずか12室しかない小さな宮殿で、フルートを演奏し、詩や本を読みながら哲学者のヴォルテールとも議論を交わし、まさに「憂いのない」生活を過ごしましたが、この生き様は母親の影響と考えられます。

「憂いのない」を意味するSANS SOUCI

芸術や哲学を愛する一方で、高い軍事能力も有していたフリードリヒ2世ですが、啓蒙君主として国民のためにも尽くしました。

彼は戦争で疲れ果てた国民をみて、肥えていない土地でも育つジャガイモの栽培を国民に提案したのです。

当初は「聖書にも記載のない悪魔の作物など栽培できない」などと人々は敬遠していましたが、フリードリヒ2世はジャガイモの良さを知ってもらうために、自らもジャガイモをたくさん食べ、ジャガイモを作る農地を視察して回りました。この国王の姿に心を打たれた国民は、やがてジャガイモを受け入れ、今ではドイツ料理を代表する食材のひとつになったのです。

ドイツのジャガイモ料理

「愛犬とともに埋葬して欲しい」というフリードリヒ2世の願いから、王と愛犬はこの宮殿横の墓地に埋葬されています。

一般的にお墓には花や故人に縁のあるものが供えられますが、フリードリヒ2世の墓には花ではなくジャガイモが供えられています。これはジャガイモをドイツ料理の代表的な食材に育ててくれたフリードリヒ2世に対する国民の感謝の気持ちの表れだと思います。

フリードリヒ2世の墓に供えられたジャガイモ

祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。

また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
 『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
 ④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
 ⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅

平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ

参考記事:世界遺産の旅における「へー、そうだったの」

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています

平成芭蕉の世界遺産

「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

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