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平成芭蕉の旅語録〜「縄文文化」縄文人からのメッセージ

尖石遺跡の竪穴住居

尖石遺跡の竪穴住居

平成芭蕉の心の旅~縄文人からのメッセージ

新型コロナウイルスの影響だけでなく、季節外れの積雪などの天候不順、そしてエチオピアでのバッタの大量発生による食糧危機など、私たちは今、これまでに経験したことのない危機的状況に置かれています。

私もこのコロナショックがなければ、2020年4月・5月は釈迦堂遺跡井戸尻遺跡等の縄文遺跡を訪ねる「縄文王国山梨・長野」を旅する予定でしたが、視察先の休業もあってすべて中止となりました。

平成芭蕉同行の「縄文の旅」

しかし、2021年、緊急事態宣言が解除される4月以降には「信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化」に触れる目的で、再び“日本文化の源流新潟へ「火焔型土器」に出会う旅”を企画しましたので、その内容をご紹介します。

<歴史への旅>『黒田ナビゲーター同行 日本文化の源流新潟へ 「火焔型土器」に出会う 2日間』

私は学生時代に「人類学」と西岡先生の「人文地理」を選択したことがきっかけで、縄文文化に関心を抱くようになりました。

縄文人は鹿やイノシシを狩り(狩猟)、クリやドングリなどの木の実を集め(採集)、川で魚を取りながら(漁労)、四季折々に採取できるものを知り、調理方法を工夫して食べられるものの種類を増やしつつ、冬に備えた保存食もつくり、長い年月をかけて自然を最大限に活用する術(すべ)を身につけていました。

星降る中部高地の縄文世界

四季がはっきりしており、食料となる動植物が豊かで、道具の材料になる黒曜石などの石に恵まれたおかげで、自然と共存できる独自の文化を築いたわけですが、同じ文化が1万年以上も長い間、続いた時代は世界にも例がありません。

縄文人は植物の繊維や動物の毛皮で造った衣類を身につけ、狩猟採集によって得た食材を土器で煮炊きして食べ、クリの木を柱とした竪穴住居に住むという、「衣食住」のすべてを自然に依存していました。縄文人にとっては、このように自然はなくてはならない存在でしたが、自然は豊かな恵みをもたらすだけでなく、時として今日のように災いをもたらし、生命をおびやかすこともあったはずです。

縄文時代の竪穴住居

そのため、縄文人は自然を畏れ敬い、その気持ちが生命の誕生を象徴する土偶などの形となり、さらには自然の恵みに感謝と祈りを捧げるために使われました。すなわち、国宝土偶の「縄文のビーナス」「仮面の女神」は、古墳に埋められた埴輪のように埋葬者の権威を示すものではなく、願いや祈りに使う道具として作られたのです。

国宝土偶「仮面の女神」

この知恵をしぼって道具を作り、工夫をこらして自然と共存していた縄文人の生活や考え方は、長い間、私たち日本人の生活と精神の基盤をなしていました。

しかし、今日ではより便利で快適な暮らしを求め、無秩序に山を削り、谷を埋めて、森林破壊を行った結果、地球環境が悪化したのです。現代病の花粉症も落葉広葉樹林に対して常緑針葉樹の杉が増えたことが原因かと思われます。

そもそも縄文時代は、自然環境が針葉樹林から堅い木の実をつける広葉樹林に移り変わり、大型動物に代わって動きの速い小型動物が増えたことから始まったのです。

なお、『黒田ナビゲーター同行 日本文化の源流新潟へ 「火焔型土器」に出会う 2日間』は、5月21日に放映されたテレビ東京「ハーフタイムツアーズYouTubeライブ放送」で私のミニ講座「縄文人の健康法」の中でも紹介させていただきました。

その「縄文人の健康法?」と題した私の「歴史ミニ講座」映像は下記の動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=PWFiLrhxkMs

縄文文化に学び、「共感力」を大切にする

私は、この新型コロナウイルスによって、人類は歴史的な変革を求められているような気がします。よって、私たちは今こそ歴史を振り返り、自然と共存共生していた縄文文化に学ぶべき時ではないでしょうか。

縄文時代の集落「駒形遺跡」

例えば、長野県の縄文の里「駒形遺跡」は、縄文時代前期から後期までの集落が営まれていたところですが、黒曜石の集積、加工、搬出に関係し、各地と交易を行っていた場所で、近くには「大清水」と呼ばれる美味しい湧水や温泉もあります。

駒形遺跡近くの湧水「大清水」

これは、人類が生活を営むには、共同作業交易といった人との助け合いが必要であることと、水の確保、そして生活に必要な食料が得られる安全快適な自然環境が重要であったことを示唆しています。

駒形遺跡の案内板

また、日本で最初に縄文時代の集落が明らかにされた尖石(とがりいし)遺跡を視察すると、「住宅地区」以外に祭祀に使われた広場や共同墓地のような「社会的地区」も設けられていました。この「社会的地区」には竪穴住居跡は見当たらず、縄文時代にも公共の場が存在していたことがわかります。

特別史跡「尖石遺跡」の縄文集落

これらの縄文遺跡は、ヨーロッパのように石の文化ではなく、木の文化であったため、建物はほとんど土となって、表面上に見えるものは残っていませんが、目を閉じると風とともに縄文人からのメッセージが聞こえてくるような気がするのです。

総じて縄文人は、今日の私たちよりも自然や他人に対する「共感力」が秀でていたのでしょう。「共感力」とは一種の直観力で、目に見えない自然の脅威や人の言葉以外のメッセージ(メタメッセージ)を感じ取る能力です。

「共感力」に秀でた縄文人の文化

新型コロナウイルス感染拡大防止のためには、人との接触を避けることが必要ですが、人は自然や他人との触れ合いがなくなると、この生きるために必要な「共感力」が衰えるので注意すべきです。

有名な著書『ジェームス・アレンの法則』(原題:As A Man Thinketh)には「環境が人を作るのではなく、環境は人本来の姿を自身に明らかにするものである」と書かれていますが、今日の先の見えない環境は、縄文人のように人間本来の姿を見つめ直す良い機会かと思います。

また、山梨県・長野県の「黒曜石鉱石と縄文人に出会う旅」は下記のハーフタイムツアーズ(前編・後編)で紹介されました。

日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はこのたび『縄文人からのメッセージ』というタイトルで令和の旅を語り、Amazonの電子本として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
 ②『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 

平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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