新潟県十日町市の縄文人と雪国のものがたり
私は先日、新潟県十日町市の令和2年に日本遺産認定された「究極の雪国 とおかまち ―真説!豪雪地ものがたり―」のモニターツアーに参加し、平成28年に認定された日本遺産
「『なんだ、コレは! 』信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化」も調査すべく、火焔型土器での食事と縄文人の冬の生活を体験してきました。
縄文人の古代食体験
「環境は人本来の姿を自身に明らかにする」と言われますが、今日の先の見えない環境は、縄文人のように人間本来の姿を見つめ直す良い機会かと思います。
今日では縄文美術の傑作とされる火焔型土器ですが、1936年に最初の火焔土器が新潟県長岡市で発見された当時は、美術品としては扱われていませんでした。
しかし、この流れを変えたのが、大阪万博のモニュメント「太陽の塔」や「芸術は爆発だ」の発言で知られる岡本太郎です。パリで文化人類学を学んでいた岡本太郎は1951年、東京国立博物館で火焔型土器と出会った際、その造形に度肝を抜かれ、「四次元との対話―縄文土器論」という論文を発表し、これを期に日本美術史は縄文時代から語られるようになりました。
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縄文時代の代名詞となった火焔型土器は、新潟県内の信濃川流域を中心に発見されており、中でも十日町市の「笹山遺跡」は国宝指定された火焔型土器が出土した有名な遺跡です。
その笹山遺跡は、信濃川右岸の河岸段丘上にあり、縄文時代と中世の遺構が重層する複合遺跡ですが、縄文時代の火焔型土器が出土した代表的遺跡のひとつで、十日町市の史跡に指定されています。現在、遺跡には市営陸上競技場、笹山野球場、笹山縄文館などが併設されていますが、未発掘の範囲を中心にして遺跡広場として利用されており、復元竪穴住居跡2軒が建てられています。
笹山遺跡
復元された火焔型土器の数は信濃川流域の遺跡の中では最も多く、出土品のうち、縄文時代の土器・土製品・石器・石製品など928点は1992年(平成4年)に一括して国の重要文化財に指定され、1999年(平成11年)には国宝に指定されました。
火焔型土器
国宝指定名称は「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」で、深鉢形土器57点(火焔型土器14点と王冠型土器3点を含む)のほか、土器・土製品72点、石器・石製品791点、ベンガラ塊8点が国宝の附(つけたり)指定となっています。
十日町市博物館
この笹山遺跡から出土した国宝の深鉢形土器は、「十日町市博物館」に火焔型土器や王冠型土器とともに展示されており、縄文時代の土器について興味深く学べます。
また、雪国の特徴的な積雪期用具なども展示されており、雪国の暮らしや十日町市の国指定重要文化財である「越後縮」の紡織用具などから織物の歴史も知ることができます。
雪国の特徴的な積雪期用具
縄文時代の遺跡を考察すると、人類が生活を営むには、やはり水の確保、そして生活に必要な食料が得られる安全快適な自然環境が重要であったことを示唆しています。
しかし、雪の積もった冬の笹山遺跡で縄文人の生活を再現すると、縄文人も現代の十日町市民同様に雪と闘いながらもその恵みを活かして暮らしていたことが実感できました。
笹山遺跡での縄文体験
十日町市の積雪期は半年近く続きますが、春になるとすべてを白く覆いつくしていた雪が消え、市内は劇的に変貌します。
しかし、雪のない春から秋までの間も、十日町の人々は次の雪の季節への準備を怠らず、白く長い冬が始まっても、除雪をしながら雪とともに生きる暮らしと雪を友とする心が生きています。
この生活の知恵は縄文時代から受け継がれており、私が体験した弓矢での狩猟も一人では難しいので、人々の助け合いの精神も縄文人譲りかもしれません。
縄文人の弓矢体験
日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!
「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。
また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。
★平成芭蕉ブックス
①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
②『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
③『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ
私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。
平成芭蕉の旅語録
平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。
「令和の旅」へ挑む平成芭蕉
★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」
*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照
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平成芭蕉の旅語録~冬の十日町で火焔型土器での古代食体験
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新潟県十日町市の縄文人と雪国のものがたり
私は先日、新潟県十日町市の令和2年に日本遺産認定された「究極の雪国 とおかまち ―真説!豪雪地ものがたり―」のモニターツアーに参加し、平成28年に認定された日本遺産
「『なんだ、コレは! 』信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化」も調査すべく、火焔型土器での食事と縄文人の冬の生活を体験してきました。
縄文人の古代食体験
「環境は人本来の姿を自身に明らかにする」と言われますが、今日の先の見えない環境は、縄文人のように人間本来の姿を見つめ直す良い機会かと思います。
今日では縄文美術の傑作とされる火焔型土器ですが、1936年に最初の火焔土器が新潟県長岡市で発見された当時は、美術品としては扱われていませんでした。
しかし、この流れを変えたのが、大阪万博のモニュメント「太陽の塔」や「芸術は爆発だ」の発言で知られる岡本太郎です。パリで文化人類学を学んでいた岡本太郎は1951年、東京国立博物館で火焔型土器と出会った際、その造形に度肝を抜かれ、「四次元との対話―縄文土器論」という論文を発表し、これを期に日本美術史は縄文時代から語られるようになりました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
縄文時代の代名詞となった火焔型土器は、新潟県内の信濃川流域を中心に発見されており、中でも十日町市の「笹山遺跡」は国宝指定された火焔型土器が出土した有名な遺跡です。
その笹山遺跡は、信濃川右岸の河岸段丘上にあり、縄文時代と中世の遺構が重層する複合遺跡ですが、縄文時代の火焔型土器が出土した代表的遺跡のひとつで、十日町市の史跡に指定されています。現在、遺跡には市営陸上競技場、笹山野球場、笹山縄文館などが併設されていますが、未発掘の範囲を中心にして遺跡広場として利用されており、復元竪穴住居跡2軒が建てられています。
笹山遺跡
復元された火焔型土器の数は信濃川流域の遺跡の中では最も多く、出土品のうち、縄文時代の土器・土製品・石器・石製品など928点は1992年(平成4年)に一括して国の重要文化財に指定され、1999年(平成11年)には国宝に指定されました。
火焔型土器
国宝指定名称は「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」で、深鉢形土器57点(火焔型土器14点と王冠型土器3点を含む)のほか、土器・土製品72点、石器・石製品791点、ベンガラ塊8点が国宝の附(つけたり)指定となっています。
十日町市博物館
この笹山遺跡から出土した国宝の深鉢形土器は、「十日町市博物館」に火焔型土器や王冠型土器とともに展示されており、縄文時代の土器について興味深く学べます。
また、雪国の特徴的な積雪期用具なども展示されており、雪国の暮らしや十日町市の国指定重要文化財である「越後縮」の紡織用具などから織物の歴史も知ることができます。
雪国の特徴的な積雪期用具
縄文時代の遺跡を考察すると、人類が生活を営むには、やはり水の確保、そして生活に必要な食料が得られる安全快適な自然環境が重要であったことを示唆しています。
しかし、雪の積もった冬の笹山遺跡で縄文人の生活を再現すると、縄文人も現代の十日町市民同様に雪と闘いながらもその恵みを活かして暮らしていたことが実感できました。
笹山遺跡での縄文体験
十日町市の積雪期は半年近く続きますが、春になるとすべてを白く覆いつくしていた雪が消え、市内は劇的に変貌します。
しかし、雪のない春から秋までの間も、十日町の人々は次の雪の季節への準備を怠らず、白く長い冬が始まっても、除雪をしながら雪とともに生きる暮らしと雪を友とする心が生きています。
この生活の知恵は縄文時代から受け継がれており、私が体験した弓矢での狩猟も一人では難しいので、人々の助け合いの精神も縄文人譲りかもしれません。
縄文人の弓矢体験
日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!
「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。
また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。
★平成芭蕉ブックス
①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
②『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
③『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ
私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。
平成芭蕉の旅語録
平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。
「令和の旅」へ挑む平成芭蕉
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*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照
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