サイトアイコン 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

平成芭蕉の世界遺産 オランダ~キンデルダイク=エルスハウトの風車網

キンデルダイクでの平成芭蕉

キンデルダイクでの平成芭蕉

 平成芭蕉の世界遺産~オランダの原風景「キンデルダイク」の風車を訪ねる

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

今年は新型コロナウイルスが世界各地で猛威をふるっているため、開催は不明ですが、例年であれば5月の第2土曜日は、オランダで年に1度の「風車・水車の日」として、風車に親しむ日なのです。

国中の風車および水車が非公開のものも含めて一般に公開され、花や旗で化粧された雄大な姿だけでなく、稼働する風車を眺めたり、中に入って「風車守」から説明を聞くことも出来ます。

強い風が吹く平坦な国土をもつオランダでは、古くから風車が様々な分野で活躍していました。かのナポレオンは、オランダのザーンセ・スカンスに並ぶ風車を見て驚嘆したと伝えられていますが、今日、最も美しい風車のある景色となれば、やはり世界遺産に登録されているキンデルダイクの風車群です。

オランダの風車のある風景

キンデルダイクは「風車の国オランダ」のイメージそのままの光景が田園地帯に広がっています。今に残る19基の風車は、川を挟んで対面に2列に並び、壮観な眺めを作っていますが、私には風の流れや風が運んでくる匂いも感じられました。また、キンデルダイクでは、朝には朝靄にけむる風車群、夕方には夕焼けに照らされる風車群を見ることができて、訪れる時刻によっても異なる景観が楽しめます。

キンデルダイクの風車

これらの風車はいずれも1740年頃、海面下に位置するアルブラッセル干拓地から余分な水をレク川に流すための大がかりな治水体系の一部として建設されたものです。

干拓地の排水に風車のポンプが利用され、水面の維持をはかることができるようになり、また逆に、干ばつ時には川に排水された水を再利用することが可能となったのです。

風車そのものは古くから知られていますが、それをもっとも有効活用したのは、やはりオランダ人でしょう。オランダは、全土の4分の1が海面より低く、海水による洪水を防ぐために、排水機能を果たす目的で風車が造られ、同時に製粉にも使用されたのです。オランダの歴史は水との闘いで「神は地球を造ったが、オランダはオランダ人が造った」と言われるのもうなずけます。

博物館になっている風車

キンデルダイクには小さな博物館となっている風車があり、内部が公開されていて、1950年代に使われていた家具が展示されています。かつてこの風車内で生活していた頃の様子をうかがい知ることが出来て、風車守さんがいれば、当時のことをいろいろと解説してくれます。

風車守の生活がうかがえる

風車の羽根の静止位置は重要なメッセージ

私は風車守さんから、風車には2種類あり、風車の翼(帆)は、揚力型風車では飛行機の翼、抗力型風車では帆船の帆と基本原理が同じであると学びました。また、当時、風車は水の流れの調整だけでなく、風車の羽根の静止角度を変えることによって、近隣に祝い事や弔事などを知らせる伝言板の役目も果たしていたそうです。

風車の羽根の位置はメッセージ

具体的には四枚ある羽根の一枚が、時計の12時を指しているか、1時を指しているか、それとも2時を指しているかによって、メッセージがあったのです。

また、風車守本人が死ぬと、風車の腕木についている二十枚の板が外され、しばらくのあいだ持ち主の喪に服すかのように全く動かさず、風車守の妻の場合は十九枚、子どもの場合は十三枚、親の場合は十一枚が外されたと言われています。

実際の風車は近づいてみると、その大きさに驚かされます。キンデルダイクでは7~8月には、この時とばかりに一斉に風車が回りだす光景を見ることができます。

帆船が出帆のために順風を待つことを「風待ち」と言いますが、この期間以外に訪れると風車は「風待ち」状態で、動力ポンプが稼働しています。

夏まで風待ちする風車群

しかし、オランダ人にとって数世紀にわたり必要不可欠だった風車は、今も大切に保存され、風ではなく、訪れる人々を待ってくれています。

新宿駅西口地下広場には、「風の彫刻家」新宮晋氏の「宇宙へのメッセージ」という作品がありますが、現在のオランダの風車は、いずれの羽根の位置でも「未来への明るいメッセージ」を伝えてくれているような気がします。

箱型風車から「未来へのメッセージ」

祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
 ②『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 
 ④『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅 

平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ

参考記事:世界遺産の旅における「へー、そうだったの」

★関連記事:平成曽良の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています

平成芭蕉の世界遺産

「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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