平成芭蕉の日本遺産〜山梨県の「葡萄畑が織りなす風景」 | 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の日本遺産

平成芭蕉の日本遺産〜山梨県の「葡萄畑が織りなす風景」

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉の日本遺産

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この「平成芭蕉の日本遺産」は、単なる日本遺産登録地の紹介や旅情報の提供ではなく、「平成芭蕉」を自称する私が、実際に現地を訪れて、地元の人と交流し、私が感じたことや認定されたストーリー対する私自身の所見を述べた記録です。

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

山梨県の日本遺産「葡萄畑が織りなす風景〜山梨県峡東地域」

2021年1月21日、私は甲州市民文化会館で令和2年度に認定された日本遺産「日本ワイン140年史 ~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」に関し、12月11日の第1回日本遺産ガイド研修に引き続いて第2回の研修を担当させていただきました。

しかし、甲州市は平成30年にも「葡萄畑が織りなす風景ー山梨県峡東地域ー」というストーリーで日本遺産認定を受けているので、今回はこのテーマで主に勝沼のブドウ畑とワイナリー群についてご紹介します。

勝沼ぶどうの丘

前回は勝沼醸造直営レストラン「風」でローストビーフの昼食をとりましたが、今回は勝沼町営ぶどうの丘文化センターとしてオープンした「勝沼ぶどうの丘」にある展望レストランでのランチです。このレストランからの眺望は素晴らしく、一帯は思蓮山と呼ばれ、山の斜面は全てぶどう畑です。

勝沼のワインビーフ

そこで、私は昼食にはワイン王国山梨のワインビーフを選択しましたが、この牛肉はワインを搾った残りのブドウ粕を飼料としたもので、甲州ワインと勝沼の大自然が生んだ柔らかくてほんのりとした甘味のある肉質です。

勝沼のブドウ栽培

甲州市の勝沼は、年間の降水量が少なく、日照時間も長いので、果樹栽培に適しており、日本を代表するブドウの産地です。そして、この地域では日本でワインが広まる以前から個人や集落でブドウのお酒を作っており、日本で最初のブドウ酒の会社ができたのも勝沼でした。

勝沼ぶどうの丘から甲州街道にかけては、日川の河岸段丘が形成されており、日川から取水された水は、セギと呼ばれる水路を経由してブドウ畑の農業用水や生活用水として重要な役割を担っています。

セギと呼ばれる水路の分水

昔は日川の周りは砂利の河川敷で、大雨が降ると川の水を止めることができず、畑は流されていました。そこで、この川の水で畑が流されるのを防ぐために「水制」と呼ばれる石積みが造られましたが、今日ではその水制の上にはブドウ棚が架かっており、一面はブドウ畑となっています。

日川の「水制」とブドウ畑

ブドウ栽培の中心となるブドウ棚は、今日では針金で作られていますが、昔は勝沼のあちこちに生えていた竹が利用されていました。また、段ボールのような素材がなかったので、ブドウは竹で作られた篭に入れて出荷されていたのです。

最古の甲州ぶどうの木「甲龍」

そして車もなかったので、ブドウの入った篭は馬が運び、途中で死んでしまった馬を供養するために勝沼の甲州街道沿いには馬頭観音も立てられています。

甲州街道は江戸時代に整備された五街道の一つですが、勝沼には勝沼宿が設けられ、ブドウ栽培業だけでなく、旅籠や金融業も栄え、街道沿いには旧勝沼郵便電信局の局舎であった山梨田中銀行社屋も残っています。

山梨田中銀行(旧勝沼郵便電信局)

荻生徂徠『峡中紀行』の中で「勝沼の宿は人家多く繁盛なるところ甲州街道で一番也。甲州葡萄は此国の名物なり」と紹介しています。

街道沿いには日本のワイン産業の黎明期からワイン醸造を行っている創業100年以上の歴史をもつワイナリーや東京オリンピックを契機とするワインブーム以前に創業した50年以上の歴史をもつワイナリーもあります。

しかし、この地域で特徴のあるワイナリーとしては養蚕農家の特徴を持つ和風建築ワイナリーです。
その代表として勝沼醸造は1937年に初代有賀義隣が製糸業を営む傍らワインの個人醸造を手がけたワイナリーで、近代の養蚕農家の特徴を持つ民家の南側に葡萄畑が広がっています。

和風建築の勝沼醸造

また、原茂ワインの店舗兼主屋は木造二階建て、切妻造の東西棟で、前座敷と奥座敷が往時のまま残っており、土蔵や越屋根など養蚕民家の典型的な外観も保っています。

原茂ワインの母屋

そして日本ワイン誕生の地である勝沼地域のワイン産業は、東京などの消費地に近いという立地条件から、ワインの流通だけでなく、観光客の往来にとっても重要な役割を果たしています。

しかし、この地でワイン産業が今日まで休むことなく続いているのは、単に環境と「地の利」だけでなく、この産業に携わった人たちの努力とプライドにあるように感じました。

ぶどうの国文化館

私は勝沼町にある「ぶどうの国文化館」を尋ね、ブドウに関する行基伝説雨宮勘解由伝説に加えて小沢善兵衛や葡萄酒造会社の高野正誠土屋助次郎(龍憲)らの活躍を知ることで、新たな日本遺産「日本ワイン140年史 ~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」の意味も改めて理解することができました。

高野正誠と土屋助次郎

葡萄畑が織りなす風景 −山梨県峡東地域−

日本遺産ストーリー〔山梨県:山梨市, 笛吹市, 甲州市〕

甲府盆地の東部は平坦地から傾斜地まで葡萄畑が広がり、初夏には深碧の絨緞、秋には紅葉の濃淡が日に映え、季節ごとに様々な風景を魅せてくれます。

奈良時代から始まったと伝えられる葡萄栽培は、先人たちの知恵と工夫により、かつて水田や桑畑だった土地を一面の葡萄畑に変え、またその葡萄畑に育まれたワインは日常のお酒として地域に根付きました。

今も歴史を語る技術や建物は受け継がれ、葡萄畑の風景の中に溶け込んでいます。

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