「川」をテーマとした旅
「川」と言えば日本最後の清流である四万十川に架かる沈下橋観光、カヌーやカヤックを使ったアクティビティを連想しますが、川は歴史的にも重要な役割を果たしてきました。
世界史で学んだ四大文明も、ナイル、黄河、ティグリス・ユーフラテス、インダスのいずれも大河に沿っています。
なぜ大河沿いに古代文明が興ったのかを考えれば、人類にとって「川」とは何かを知る手がかりになります。
川は砂漠や野を切り、海へと流れ出る過程で、人々の暮らしを分断するような氾濫を起こしては、農耕に適した土壌をもたらしました。また河川は船による交通にも利用されましたが、人は氾濫しては流れを変える川を嫌い、治水工事によって川の流れと戦ってきたのです。
「川の旅」の代名詞「ライン下り」
私にとって「川の旅」としてすぐに連想されるのは、ハイネの詩「ローレライ」で知られる「ライン川クルーズ」です。
ライン川は昔から物資を運ぶ重要な交通路で、ゲルマン人にとっては「父なるライン」でしたが、19世紀初頭のドイツ・ロマン主義文学によって、ロマンチックなライン川のイメージが与えられました。
すなわち、船下りをする旅行者は、ローレライの巨岩を眺めながら、ジルヒャー作曲のメロディを口ずさみ、美しい景観と民族の歴史の調和を賛美するのです。
また、日本における主な川の旅も「ライン下り」と呼ばれることが多いのですが、私のおすすめはやはり、俳聖松尾芭蕉が「五月雨をあつめて早し最上川」と詠んだ「最上川ライン舟下り」です。
父なるラインに対して最上川は「母なる川」として山形の歴史や文化を育んできました。
美しい最上峡を堪能しながら、船頭の最上川舟唄と案内を聞けば、日本人の心の奥に潜む美意識がかきたてられ、ローレライとはまた違ったロマンの旅を満喫できます。
私が敬愛する松尾芭蕉の『奥の細道』は、西行や源義経の足跡を訪ねる旅でした。
松尾芭蕉は最上川を下り、義経は最上川を舟でさかのぼって、ともに仙人堂を訪れており、私は時空を超えたロマンを感じます。
松尾芭蕉は『奥の細道』に「このたびの風流、ここに至れり」と書いており、みちのくの旅が「川の旅」である最上川でピークに達したと自ら語っています。
<具体的な旅先>
ライン川クルーズ…ドイツ人には「父なる川」と呼ばれており、ドナウ川とともにヨーロッパを代表する国際河川で、川沿いの美しい街並みや古城など素晴らしい景観が楽しめます。
最上川舟下り…季節ごとに表情を変えていく最上峡の雄大な自然を楽しみながら、船頭の軽快な語りと最上川舟歌が訪れる人をもてなしてくれます。
*平成芭蕉のテーマ旅行「川の旅」は旅行読売2019年6月号に掲載されました
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って令和時代を旅しています。
見るべきものは見て、聞くべき話は聞いた。では旅に飽きたかと問われれば、いえいえ、視点が変わればまた新たな旅が始まるのです。平成芭蕉はまだまだ「こんな旅があった」と目からウロコのテーマ旅行にご案内します。すなわち、「ときめき」を感じる旅から人は変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。