令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉の旅語録~東北被災地語り部フォーラムから学ぶ

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次の災害で大切な命を守るために

物言わぬ語り部「高野会館」と「命のらせん階段」

私が西宮の自宅で被災した阪神・淡路大震災から30年、東日本大震災からは15年目となる2025年3月2日、私は気仙沼中央公民館で開催された第5回東北被災地語り部フォーラムに招かれ、「次の災害で大切な命を守るために」をテーマとした基調講演、そしてリアス・アーク美術館の山内宏泰館長がコーディネーターを務めるパネルディスカッションにも参加させていただきました。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

そして有難いことに、前日の3月1日には南三陸町文化財保護委員の後藤一磨先生から南三陸町立戸倉中学校での避難劇や多くの人が助かった町内の高野会館での生々しいドラマについてお話をお伺いすることができ、また南三陸ホテル観洋女将の阿部憲子さん直々に気仙沼の「命のらせん階段」にも案内していただきました。

高野会館

この外付けのらせん階段は、1960年5月のチリ地震の津波で多くの人命が失われた事を教訓に、(株)阿部長商店の創業者である阿部会長が屋上を避難場所とすべく設置、日頃から避難訓練を行っていた結果、震災当日は30名の命が救われたのです。

命のらせん階段と阿部女将

第5回東北被災地語り部フォーラム

3月2日のフォーラムは、震災の語り部の方々も高齢化していく中で、「東日本大震災を忘れない」「命の大切さを考える」「人と人とのつながりを育む」ことを目的としていました。そこで私は国連が定めた「世界津波の日」制定のきっかけになった、日本遺産ストーリー「稲むらの火」が伝わる和歌山県広川町の取り組みを紹介しつつ、住民が力を合わせて地域を守っていこうとする魂と文化は、災害には屈しないと所見を述べさせていただきました。

東北被災地語り部フォーラム

そして、私自身の経験から、いつどこで起きるかわからない自然災害に対しては、お互いを励ますためにも笑顔で人を思いやる「和顔愛語」と自己否定をせず、今ある小さな幸せに気付く「明珠在掌(みょうじゅざいしょう)」という禅の教えをご紹介しました。

「語り部」バスツアーから学ぶ

そして、翌3月3日には、気仙沼・南三陸・石巻を巡る「語り部」バスツアーに同乗させていただき、伝説の消防士である佐藤誠悦氏の語りや北上川を遡上してきた津波に巻き込まれた石巻市立大川小学校での鈴木典行氏の語りを聞くにつけ、震災伝承の重要性を再認識しました。

鈴木典行氏による大川小での語り

時間が流れる中で変わり続ける思いと変わらない大切なことは、蕉風俳諧の理念「不易流行」に通じるものがあります。すなわち、災害を生き抜くには、いつまでも変わらない本質的な物を大切にしながらも、新しい変化も取り入れる柔軟な姿勢が大切です。そして、佐藤誠悦氏の話を聞くにつけ、語り部としていま伝えたいことは何なのか、何を伝えていくべきなのかを今一度振り返りたいと思いました。

語り部消防士の佐藤誠悦氏

語り部消防士の佐藤誠悦氏

なぜなら、今日のような情報があふれる社会では、逆に真実を見極めるのが難しくなっているように感じるからです。実際、私の周囲にも誤った情報に振り回されて、本質を見失っている方が多く見受けられます。

そこで、最終的には自身の直観を信じるべきだと思いますが、そのためには実際に旅に出て、多くの人との出会いを通じてお互いの貴重な体験を語り、「繋ぐ伝える」ことが大切ではないでしょうか。

なお、この度の東北被災地語り部フォーラム開催に際しましては、南三陸ホテル観洋の阿部女将、阿部裕樹副支配人をはじめとするホテルのスタッフの方々に大変お世話になりましたので、この場をお借りして御礼申し上げます。

お世話になった南三陸ホテル観洋

お世話になった南三陸ホテル観洋

平成芭蕉メッセージ ~「旅の質」が人生を変える

「小説が書かれ読まれるのは人生がただ一度であることへの抗議」という言葉がありますが、私にとって旅することは一度限りの人生を最大限に楽しむための創造活動なのです。そして私は、人生を楽しむために必要な「心のときめき」は、「知恵を伴う旅」を通じて得られると考えています。

そこでこの度、私はその知恵を伴う日本遺産や世界遺産の旅を紹介しつつ、平成芭蕉独自の旅の楽しみ方とテーマ旅行に関する企画アイデアノート、さらに著者が松尾芭蕉の旅から学んだ旅行術について紹介した『平成芭蕉の旅指南 人生が変わるオススメの旅 旅の質が人生を決める』と題した本を出版しました。このブログと合わせてご一読いただければ幸です。

私は平成芭蕉、自分の足と自分の五感を駆使して旅しています。

平成芭蕉のテーマ旅行

平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

 

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