安来の平和を発信する加納美術館と清水寺の精進料理 | 芭蕉さんの旅講座

平成芭蕉の旅語録

安来の平和を発信する加納美術館と清水寺の精進料理

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平成芭蕉の旅語録「知る人ぞ知る安来の魅力」

足立美術館の日本庭園と奥出雲の棚田風景

安来は日本古来の鉄づくり「たたら製鉄」ゆかりの地で、奥出雲の美しい棚田も印象に残りましたが、たたらの伝統文化とともに芸術や宗教面でも興味深いところです。

日本画の巨匠「横山大観」のコレクションや料理人としても名を馳せた陶芸家「北大路魯山人」の陶芸作品で知られる足立美術館はその筆頭かもしれません。

しかし、その見事な足立美術館の日本庭園もよくよく観察すると、奥出雲の棚田の風景と共通点が見いだせるのです。

すなわち、棚田のいたるところに残るこぶのような墳丘や木々は、砂鉄をとるために山を切り崩して農地に転用する際、先人が祠や神籬などの神聖な場所として意図的に残したものですが、この風景が私にとっては足立美術館の枯山水を連想させるのです。

世界平和をアピールする加納莞蕾の加納美術館

また、美術館と言えば、平和を願い続けた加納莞蕾(辰夫)氏の思いを伝える展示で知られる加納美術館もお勧めです。

私は氏の娘さんで名誉館長の加納佳世子さんに館内を案内していただきましたが、私の好きな「奥の細道句抄絵」の作者小野竹喬さんの作品も展示されており、また、備前焼や名碗の展示も充実していて、茶室「如水庵」ではその名碗を手に取って愉しむこともできます。

しかし、この美術館の第一の魅力は、終戦後、フィリピン刑務所に収容されていた日本兵戦犯108名の釈放助命嘆願書キリノ大統領に送り、目的を達成させた従軍画家加納莞蕾氏の魂が宿っているところです。

キリノ大統領に宛てた嘆願書の中の

「許し難きを許す」という奇跡によってのみ人類に恒久の平和をもたらし、「目には目を」ということでは決して達成し得ないということを、これまで以上に強く感ずる次第であります。』

という加納莞蕾氏の言葉が、フィリピンのキリノ大統領に日本人戦犯の釈放減刑通告を促したのです。すなわち、この美術館は世界に平和をアピールする拠点でもあるのです。

厄払いの寺、安来の清水寺と清水羊羹

宗教的には白鷺に乗ってやってきた金屋子神を祀る金屋子神社も興味深いのですが、開山1400年以上の歴史を誇る山陰の古刹「瑞光山清水寺」も穴場です。

清水寺と言えば京都の清水の舞台を思い浮かべますが、安来の清水寺は十一面観音様の厄払いご利益で知られ、山陰唯一の三重塔も千年杉と荘厳な空気に包まれています。

この清水寺には、平安時代に慈覚大師円仁によって中国から伝わった羊羹を製造する老舗があると聞き、私は根本堂を参拝した帰りにその老舗のひとつである「元祖黒田千年堂」で清水羊羹を土産に買いました。

羊羹は精進料理の一つですが、円仁が中国で食べた料理は「羊」の肝料理で、これを小豆で精進化したものが日本の「羊羹」です。確かに漢字では羊(ひつじ)の羹(熱いスープ)ですね。

清水寺境内の紅葉館での精進料理

今回は安来観光協会の計らいで、この清水寺境内にある紅葉館で精進料理を食し、大旦那の青砥さんとお話する機会を得ました。

青砥さんの講和は、本物そっくりの「精進うなぎ蒲焼」の話からサウジアラビアやイスラエルの話まで幅広く、仏教、キリスト教、イスラム教など深い知識に感銘を受けました。

私も、日本文化を海外文化と比較して語るようにしていますが、天台宗古刹の清水寺でキリスト教やイスラム教について議論するとは思いもよりませんでした。

やはり、日本の観光業の将来を考えれば、海外からのお客様に対応するためにも日本の仏教文化だけでなく、キリスト教やイスラム教といった世界の文化も積極的に学ぶべきだと思いました。by【平成芭蕉

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