日本現代南画の第一人者、直原玉青の代表作『禅の牧牛 うしかひ草』 | 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

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日本現代南画の第一人者、直原玉青の代表作『禅の牧牛 うしかひ草』

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って「共感」する旅をしています。

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南あわじ市滝川記念美術館「玉青館」で直原画伯の代表作を鑑賞

南あわじ市では滝川記念美術館「玉青館」2階に「松帆銅鐸」を展示する準備を進めており、私はその視察を兼ねて、日本現代南画の第一人者である直原玉青画伯の代表作である『禅の牧牛 うしかひ草』を鑑賞してきました。

松帆銅鐸展示予定の滝川記念美術館

「松帆銅鐸」展示予定の滝川記念美術館

直原玉青画伯は岡山県赤磐市の生まれですが、淡路島で育ち、南あわじ市の国清禅寺を復興された際に数十点の襖絵を描かれました。

そしてその国清禅寺の襖絵の素晴らしさと直原画伯の人柄に魅せられた開業医の滝川弘氏がこの南画の美術館「玉青館」を建てられたのです。

南あわじ市の国清禅寺

南あわじ市の国清禅寺

直原玉青画伯は昭和31年(1956)に当時の南禅寺派管長・柴山全慶老師と出会い、しばしば師の禅話を聴講するうちに見る禅書としての「牧牛図」を知りました。

禅宗では、中国の宋時代(12世紀頃)に深遠で難解な思想を「牧牛図」という絵解きのスタイルにし、一般によりわかりやすく表現していましたが、日本では曹洞宗の月坡禅師『禅の牧牛 うしかひ草』を著し、寛文9年(1669)に木版本で刊行されました。

この『うしかひ草』では、人間の本来あるべき心の姿を「牛」にたとえて、主人公の童子がこれを求め捉える姿を、1月~12月の1年間に分配し、四季のうつりかわりの中に禅思想を説いています。

直原玉青『禅の牧牛うしかひ草』

直原画伯はこうした画こそこれからの時代に必要性があると痛感され、「牧牛図」の再現に絵筆をとったと言われています。

人間の心には、「純粋な心」「欲の心」という二面性があり、欲の心で純粋な心が消えることを「牛が逃げる」というたとえで表現されています。

また、忘れてしまった純粋な心(逃げた牛)を取り戻し、純粋な心で社会に奉仕するという禅の真意が最後の絵に描かれているのです。

私は『うしかひ草』を日本に紹介し定着させたのは、夢窓国師だと教わっていましたが、分かりやすく理解するには柴山老師の教えを南画に描いたこの美術館の直原玉青作『禅の牧牛 うしかひ草』だと感じました。

『禅の牧牛』を展示する滝川記念美術館

『禅の牧牛』を展示する滝川記念美術館

牛というのは、インドでは聖牛で、ウパニシャッド哲学では我々の祖先は牛であったとも言われています。

すなわち、牛は非常に大事なもので、牛を飼う人間にとっても、これを耕牛(こうぎゅう)として使うお百姓さんにとっても、大事な財産だったのです。

作品では、親父が息子に牛を一頭授けるのですが、これは将来家の跡継ぎはお前だと言っていることに等しく、当時の庶民にとっては、非常に重要な意味が含まれていたのです。

これは月坡禅師の非常に優れた文学的、哲学的な手腕だと思いますが、今日では牛と言ったら牛肉で、本物の牛を知らない人が多く、牛の大切さは理解し難いかもしれません。

滝川記念美術館「玉青館」

滝川記念美術館「玉青館」

そこで、牛の大切さを知るにはこの「禅の牧牛 うしかひ草」のストーリを知り、信仰と結びついた全国唯一の牛馬市であった鳥取県「大山牛馬市」の歴史を知るべきだと思いました。
平成芭蕉の日本遺産「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」参照

大山寺境内の牛馬市「畜魂碑」

大山寺境内の牛馬市「宝牛の像」

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by 【平成芭蕉こと黒田尚嗣】

 

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