令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉の旅語録~世界自然遺産の奄美大島へ歴史探訪の旅

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世界自然遺産に登録された奄美大島への旅

奄美群島は,九州本土の南に点在するトカラ列島と沖縄諸島の間に連なる8つの有人島からなる島々で,その中の奄美大島と徳之島は,アマミノクロウサギに代表される希少種を含む多様な生物が生息・生育していることが評価され,沖縄島北部,西表島とともに,令和3年7月に世界自然遺産に登録されました。

その結果、現在、鹿児島県には世界自然遺産登録地が屋久島と奄美大島・徳之島の3か所となりましたが、屋久島と奄美大島・徳之島の評価基準は異なっています。

奄美大島の最高峰「湯湾岳」山麓

屋久島は「①生態系:陸上、淡水域、沿岸および海洋の生態系、動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること、②自然美:類例を見ない自然美および美的要素をもった優れた自然現象、あるいは地域を含むこと」の二つの項目に該当していますが、奄美大島・徳之島は「生物多様性」に該当しています。

そこで、私はこの生物多様性を確かめると同時に奄美大島の歴史を探訪する目的で「あなたの知らない奄美大島3日間」のツアーを企画し、同行案内してきました。すなわち、今回のテーマは一般的に知られている奄美大島の最高峰「湯湾岳」「金作原」周辺の世界自然遺産だけでなく、縄文・弥生から幕末・明治にかけての奄美歴史探訪の旅です。

奄美大島の金作原

奄美大島の文化は、日本文化を基盤としながらも、琉球王国統治時代には琉球文化の影響を受け、薩摩藩統治時代には鹿児島文化の影響も強く受けながら醸成された独特のものです。

あなたの知らない奄美大島3日間の旅

今回のツアーは、空港近くの「あやまる岬」から始まり、奄美大島を代表する縄文遺跡「宇宿貝塚」や奄美市歴史民俗資料館で「奄美世(あまみよ)」と呼ばれる古代史を学び、浜千鳥館で黒糖焼酎製造工場を見学、白いダイヤモンドと呼ばれた「白糖」の薩摩藩製造工場跡や奄美のカトリック教会発祥の地、名瀬聖心(みこころ)教会を訪ね、さらに薩摩藩士の名越左源太(なごやさげんた)『南島雑話』で紹介した幕末奄美の文化を紹介しながら、西郷隆盛ゆかりの地、「西郷翁上陸の地」「西郷南洲流謫(るたく)跡」に立ち寄り、「奄美海洋展示館」でウミガメと触れ合い、最後に日本のゴーギャンこと田中一村の美術館で彼の繊細な花鳥画を鑑賞する旅です。

名瀬聖心(みこころ)教会

奄美大島は古代から「道の島」として知られ、縄文時代から南の島と九州を結ぶ文化交流が行われており、歴史民俗資料館ではその歴史や文化が一目でわかるように「奄美の歴史と文化」-黒潮の足跡-をテーマに、数多くの資料が考古資料展示室と民俗資料展示室の2つの常設展示室に分けて展示されていました。

奄美歴史民俗資料館

奄美大島で初めて国の指定史跡となった宇宿貝塚は、縄文時代前期から中世にいたる複合遺跡で、縄文時代晩期終末頃の竪穴住居跡や土器、石器、骨角器、中世の埋葬跡などが発掘されました。現在は宇宿貝塚史跡公園として整備され、建物内には発掘調査の跡がそのまま残されています。Ⅴ字溝で区画された空間には墓地が形成されていましたが、発見当初、弥生時代に位置づけられていたガラス玉が副葬された母子埋葬の墓壙は、その後の発掘調査成果から、中世の時期であることがわかりました。

宇宿貝塚

白いダイヤモンドと呼ばれた「白糖」の薩摩藩製造工場跡は奄美大島に4か所ありますが、金久白糖製造工場は、薩摩藩の御仮屋(役所)に隣接する海岸近くに建設され、1866年から3年間操業しました。工場の廃止後、建物の基礎に使用された凝灰岩の切石は民家や名瀬小学校の塀等に転用され、今でも見ることができます。 

金久白糖製造工場

蘭館橋(らんかんはし)は奄美市名瀬入舟町にあり、薩摩藩が慶応元(1865)年に建設した橋で、「白糖工場」に関わったイギリス人技師の館があったことからその名があります。

奄美の白糖工場建設にあたっては,建築・機械技師のウォートルスと白糖製造技師のマッキンタイラーが来島し、彼らは当初,金久の秋葉山(現在の“蘭館山”)に建てられた洋館に住み、総監督であったウォートルスの名は,島唄「らんかん橋」に唄われるほど有名でした。

らんかん橋

奄美大島の自然景観と大河ドラマ「西郷どん」

自然の景観では「あやまる岬」以外に、干潮の時だけ姿を現すハート型の潮だまり「ハートロック」、一般的な奄美観光では訪れない「ササント(笹の塔)」と呼ばれるリュウキュウササが群生する「宮古崎」、太平洋に面した荒々しい「ホノホシ海岸」、ロマン街道沿いの「ハートがみえる風景」、そして奄美群島に伝わる妖怪ケンムンの「ガジュマルの木」も見学しました。

ハートが見える風景

「奄美ハートロック」は赤尾木(あかおぎ)集落の東側に面する海岸にあり、干潮のときにだけ姿を現すハート型の潮だまりです。恋愛のパワースポットとして話題になり、撮った写真を携帯電話の待ち受けにすると恋が叶うと言われています。私は道路からビーチに出るまでの緑の草木が生い茂る風景が気に入っており、大河ドラマ「西郷どん」の撮影もこの小道で行われました。

奄美ハートロック

宮古崎は奄美群島国立公園に指定されており、青い海・空と、群生するササのコントラストが素晴らしい公園で、地球が丸いことを実感できる場所です。時折イルカが見られ、冬場にはクジラの姿が見られることもあります。また、パワースポットの一つとしても人気があって、平成30年放送の大河ドラマ「西郷どん」のロケ地でオープニングに使用されました。

西郷どんのロケ地「宮古崎」

奄美大島には「西郷どん」こと西郷南洲流謫(るたく)跡が残っていますが奄美・龍郷への潜居を命じられた西郷隆盛は、3年余りを奄美大島で過ごしました。西郷どんは奄美大島到着後、三度も居住宅を変えており、記念碑があるのは最後に暮らしたこの場所だけで、龍郷集落の白間地区にあります。西郷が愛加那(あいかな)と菊次郎のために建てた新居で、土地の選定にあたっては西郷自ら歩き探したと言われており、新居は文久元年(1861年)11月20日に完成しました。

西郷南洲流謫(るたく)跡

しかし、薩摩藩からの召喚状が届き、西郷がここで生活したのはわずか2ヶ月でした。現在の家は明治43年に再建されたものですが、塀は当時のまま残っており、屋敷入り口正面には勝安芳(勝海舟)の碑文が刻まれた石碑が建っています。当時の木造家屋が原型をとどめており、勝海舟の揮毫(きごう)による石碑や縁の品が公開されています。

奄美大島は穏やかな海岸が多いのですが、ホノホシ海岸は太平洋に面していて、波もあって荒々しい海岸で、砂浜ではなく、丸い石が多く見られます。それらは人工のものではなく、荒波に洗われて角がとれて丸くなった天然石が自然と敷き詰められたものです。沿岸には奇岩がきり立ち、洞窟もあって、豪壮な景観を有しています。

ホノホシ海岸

今回のコースは、特に「大島スキーム」と呼ばれた薩摩藩の久慈白糖製造工場跡が鬼門で、バスで訪ねるには狭い旧道を走ることとなり、島バスの運転手、窪田さんには大変お世話になりました。

久慈白糖工場跡

私はこの一か月間、奄美大島だけでなく、五島や壱岐・対馬、隠岐で島人(しまんちゅ)に触れ合う機会が多かったのですが、窪田さんのように島の人が、私たち旅人の心を温かく受け入れてくれるのは、海に向かって広がる開放的な心によるのだと思います。

島バスと「ガジュマルの木」

島社会は知らない人がほとんどいない「信頼型社会」で、この濃密な人間関係を快適に持続させていくために、「気配り型社会」が機能しているのでしょう。またよい意味で弾力的な人間関係が機能している「許容型社会」なのかもしれません。

私は若い頃、しばしば奄美群島へ船で訪れていましたが、海から島を見ると本当に頼もしく感じます。島は海に支えられながら、人を支えているのです。本島から海を経由して島旅に出るたびにそんな思いが深まります。

日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。

また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
 『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
 ④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
 ⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅

平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉のテーマ旅行

平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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