令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉の旅語録〜忍者の日(2月22日)の「リアル忍者を訪ねる旅」

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忍者の日(2月22日)「伊賀・甲賀のリアル忍者を訪ねる旅」同行記

2月22日はニン(2)ニン(2)ニン(2)の語呂合わせから、「忍者」という文化を広げていくことを目的に日本忍者協議会によって「忍者の日」に制定されました。

令和2年2月22日は忍者の日

令和2年2月22日は忍者の日

そこで令和2年2月22日の忍者の日には「伊賀・甲賀のリアル忍者を訪ねる旅」モニターツアーが催行され、名古屋と関西から約60名のお客様にご参加いただきました。

伊賀・甲賀のリアル忍者を訪ねる旅

私は今回、この「戦国時代を生き抜いた忍者の過去と現在を探る」ツアーのナビゲーターとして同行させていただきましたが、伊賀上野城では伊賀市長、甲賀市くすり学習館では甲賀市長から歓迎の挨拶を受けるという、かつての「甲伊一国」の団結を感じさせてくれる内容でした。

小説や漫画ではライバルのように語られる伊賀と甲賀ですが、両者は頻繁に情報交換を行い、婚姻関係もあって、かつては「甲伊一国」と呼ばれて密につながっていたのです。

伊賀市は三重県の北西部、甲賀市は滋賀県の南端に位置し、山を隔てていますが、直線距離でわずか約20~30kmです。

伊賀と甲賀の忍者は、共に荘園制度に抵抗した住民が団結して一揆という自治組織を作ったのが始まりで、私の出身地である黒田荘では「悪党」と呼ばれたのです。

この地に忍者が生まれた理由は、周囲を山に囲まれた地形のため、内部情報は漏れにくく、諜報(ちょうほう)活動に適していたことと、都に近く最新情報が入りやすかったからだと考えられます。

最初に訪れた伊賀上野城では、伊賀市の岡本市長よりご挨拶いただきましたが、忍者だけでなく、松尾芭蕉やユネスコ無形文化遺産に認定されている天神祭りの「だんじり」についても触れていただき、伊賀市生まれの私としてはとても嬉しく思いました。

伊賀上野城での岡本市長ご挨拶

伊賀上野城での岡本市長ご挨拶

岡本市長の挨拶の後は、「黒田荘の悪党」であり、伊賀流忍者の血を引く平成芭蕉より、黒田家祖先の教えである「和の精神」についてご紹介しました。

上野城を見学した後に訪れた伊賀流忍術博物館の忍者屋敷は、私もしばしば足を運びましたが、丁寧な説明とからくりの実演があり、また「忍者伝承館」は資料を見ながら忍者について学ぶことができる興味深い場所です。

私の祖父は「黒田荘の悪党」の血を引くまさしくリアル忍者でしたが、土地や資料などは農地改革の際にGHQに没収されて悔しい思いをしたので、私はその意思を継いで忍者について研究を続けているのです。

次に訪れた「百地砦」は伊賀三大上忍の一人、百地丹波守の砦跡ですが、丸池や空堀のほかに、愛人と妻との悲しい伝承にまつわる「式部塚」が残されていました。

忍者が修行した百地砦跡

忍者が修行した百地砦跡

忍者の使命は敵方の生きた情報を集め、主君に知らせることで、戦いは極力さけていました。

そこでこの砦跡に残る丸池や空堀では、忍者が生き抜いて戻って来るために、敵を倒す攻撃力ではなく、敵から逃れる守備力を上げるための技を中心に磨いたと思われます。

私も幼少の頃、山の中で育てられましたので、この百地砦でも忍者の筋力や持久力を向上させるだけでなく、運動能力を最大限に高めるための体の使い方や呼吸の仕方を徹底的に追究していたことは間違いありません。

また、伊賀や甲賀の忍者は、火薬などの知識が豊富でしたが、これは山伏の影響が大きかったと思われます。

特に伊賀の藤林一門は、火薬の配合や材料の違いで異なる効果があることを知り、実験を繰り返し、風に強い松明(たいまつ)狼煙(のろし)など、科学の理にかなった道具を生み出しました。

手力神社の伊室総代の説明

手力神社の伊室総代の説明

手力神社はその火術を得意とした藤林長門守の氏神であり、狼煙は奉納煙火(花火)と結びついて、毎年10月17日の秋季大祭では約250発の奉納花火が夜空をかざります。

今回は伊賀忍者の守護神でもあるこの手力神社の伊室総代長にご案内いただきましたが、貴重な献燈も披露していただき、伊賀流忍者の血を引く私としては感無量でした。

油日神社で説明される徳地さん

油日神社で説明される徳地さん

伊賀から甲賀の地に入り、最初に訪れた油日神社では現地ガイドの徳地さんにご案内いただきましたが、手作りの紙芝居風の説明はとてもわかり易く、私に代わって「リアル忍者」のまとめをしていただいたようでした。

徳地さんには昨年の「リアル忍者ガイド養成講座」でお会いしていますが、私がいつも講座で話している、「イメージを創る解説」でした。

リアル忍者ガイド養成講座

リアル忍者ガイド養成講座

すなわち、日本遺産の旅では、構成文化財の見学はあくまでもストーリーのイメージを創る手段であり、大切なことは、ガイドさんの説明から自身のストーリーをイメージすることなのです。

油日神社は鈴鹿山脈の油日岳を御神体山とし、古来より朝廷の崇敬が厚く、「甲賀の総社」と呼ばれて庶民の信仰を広く集めてきました。

甲賀惣社の油日神社

甲賀惣社の油日神社

甲賀忍術博物館は、忍者の一大テーマパーク「甲賀の里忍術村」の敷地内にあり、甲賀忍者に縁のある民家を移築・改装した館内には、忍者にまつわる資料が数多く展示されており、収蔵文献では、室町時代に足利義昭が甲賀武士に協力を要請した書状をはじめ、忍術三代秘伝書「万川集海」(ばんせんしゅうかい)などがあります。

甲賀の里忍術村で説明を聞く

甲賀の里忍術村で説明を聞く

リアルに忍者が活躍していた時代には口頭で術を伝授していましたが、江戸時代に入り、世の中が平和になると忍者は忘れられ、後世に術を伝えられなくなることを恐れた伊賀流忍者の藤林保武があえて書物としたのが「万川集海」なのです。

敷地内には本物の忍者屋敷を移築したからくり屋敷もあり、ドンデン返しや隠し階段、囲炉裏の下から家の外まで通じる抜け穴などさまざまな仕掛けを実際に見て体験し、甲賀忍者の真の姿に触れることができます。

最後の見学地である甲賀市くすり学習館では甲賀市の岩永市長のお出迎え挨拶があり、忍者にまつわる観光資源の紹介とNHK連続テレビ小説「スカーレット」の舞台であることにも言及されました。

くすり学習館での岩永甲賀市長のご挨拶

くすり学習館での岩永甲賀市長のご挨拶

甲賀市「くすり学習館」は、甲賀市の地場産業である薬業に関して「人と薬の関わり、配置売薬などの歴史」を学ぶ施設ですが、甲賀売薬は山伏たちが諸国に配札の際に、土産として持ち歩いたのが起源とされています。

ここでご案内いただいた忍術研究会ガイドの真杉さんのユニフォームには「志能備」と書かれていましたが、これは聖徳太子が、大伴細人(おおとものほそひと)を「志能備(しのび)」として用いたという伝承を思い起こしてくれます。

「志能備」とは「志を能(よ)くして備える」をいう意味で、聖徳太子を軍神とした甲賀衆の魂に通じます。

忍者体験ができる忍術村

忍者体験ができる忍術村

私は忍者の心得は聖徳太子の「憲法17条」にある第1条の「和の精神」と第17条の「諸事談合」にあると考えています。すなわち

一に曰く、和を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。

十七に曰く、夫れ事独り断むべからず。必ず衆(もろもろ)とともに宜しく論(あげつら)ふべし。

です。

また、今日では新型コロナウイルスが話題になっていますが、世の中が便利になり、情報があふれてくると、逆に私たちは何を信じてよいかわからなくなり、何もできなくなる可能性があります。

そこで、私は今回のツアーを通じて、生命力の弱った現代人は、逆境に耐え忍び、臨機応変に生き抜いた忍者本来の姿を見習うべきだと感じました。

伊賀・甲賀忍者ツアー

伊賀・甲賀忍者ツアー

私にとってリアル忍者とは、やはり「自分の良心で正しい情報を選択し、正しいと信じたことを行え」と説く神道の基本的な教えに従い、「生きる力に長(た)け、生き延びるために鍛錬した人」なのです。

日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はこのたび『縄文人からのメッセージ』というタイトルで令和の旅を語り、Amazonの電子本として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
 ②『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 

平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉のテーマ旅行

平成芭蕉の旅語録

平成芭蕉は「検索すればわかる情報」より「五感を揺さぶる情報」を提供します。旅とは日常から離れ、いつもと違う風、光、臭いなど五感を通じて自分を見つめ直す機会です。そしていつもと違う人に会い、いつもと違う食事をとることで、考え方や感じ方が変わります。すなわち、いい旅をすると人も変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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