茨城県笠間市の日本遺産「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ”焼き物語”~」 | 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の日本遺産

茨城県笠間市の日本遺産「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ”焼き物語”~」

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笠間の「陶炎祭(ひまつり)」と日本遺産「兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”」

かさましこの日本遺産

茨城県笠間市と言えば、関東で最も古い歴史を持つ焼き物の町で、春に行われる「陶炎祭(ひまつり)」や秋に行われる陶器市である「笠間浪漫」には多くの人が訪れています。

この焼き物は笠間焼と呼ばれ、江戸時代中期、笠間藩箱田村の名主であった久野半右衛門信楽焼陶工長右衛門 から伝授されて開窯した、関東で最も古い歴史を持つ焼き物です。

江戸時代後期になると、笠間焼の技術は近隣地域にも広がり、特に栃木県益子町益子焼は笠間焼の技法を受け継ぎ、笠間焼とは兄弟産地の関係となりました。

笠間焼の原点「古代の須恵器」

八溝山系を挟んで隣接するこの地域は、古代から土器や須恵器造りに必要な粘土や燃料となる木材に恵また土地柄ですが、土器は縄文時代、弥生時代から古墳時代へと続く日本史を学ぶうえで、避けて通れない日本古代文化史の象徴となっています。

こうした背景から、陶器の産地として共に歩んできた笠間市と益子町の二大窯業地「かさましこ」は、令和2年、「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」として日本遺産に認定されました。そして私は今後の観光振興策「ラーニングバケーション」についての事前検討会に有識者として招かれ、笠間市の日本遺産ストーリーを確認する目的で笠間市の構成文化財を視察してきました。

日本遺産「かさましこ」事前検討会

最初に訪れた笠間芸術の森公園は、有名な「笠間の陶炎祭(ひまつり)」「笠間浪漫」が開催される会場で、「伝統工芸と新しい造形美術」をテーマとした文化の発信基地となっています。

笠間芸術の森公園のオブジェ

特に公園内のイベント広場でゴールデン・ウィークに開催される「笠間の陶炎祭」では、陶芸家が集まって自慢の作品を展示するだけでなく、販売もしてくれるので、陶芸家と直接触れ合うことのできる貴重な機会です。

茨城県陶芸美術館の「松井康成と原清」展

公園内には野外コンサート広場、陶製オブジェが点在する『陶の杜』などもありましたが、今回は併設されている茨城県陶芸美術館を見学しました。美術館では「―馬あり、珠あり」をテーマに人間国宝の松井康成原清の作品が展示されていました

茨城県陶芸美術館「原清と松井康成」展

重要無形文化財「練上手」保持者の松井康成(こうせい)は、古くからあった2種類以上の色の違う粘土を板状に重ねて作る練上(ねりあげ)という技法に関して、色とりどりに縞模様が生まれる表情豊かな独自の「同根異色」という方法を編み出しました。

松井康成「練上嘯裂(しょうれつ)茜手壺」

一方、重要無形文化財「鉄釉陶器」保持者に認定されている原清は、黒色と褐色の二種類の釉薬を駆使し、馬や草花文様の細かな技巧に頼ることのない作風が特徴です。

原清「鉄釉馬文大壺」

二人の作品には「自然」を題材にしたものが多くありましたが、その「自然」の表現方法は異なっており、松井康成の作品にはエネルギー溢れる躍動感があり、原清の作品は身近な自然を繊細に描いているように感じました。

日本三大稲荷の「笠間稲荷神社」と達磨像のある「国見山鳳台院(しゃくなげ寺)」

また、笠間を訪れたからには日本三大稲荷の一つ「笠間稲荷神社」にも参拝し、五穀豊穣、商売繁盛の神とされる「宇迦之御魂神」に観光業の復興を祈願しました。江戸時代、笠間藩主はこの笠間稲荷を熱く信仰したと言われています。

日本三大稲荷の笠間稲荷神社

笠間稲荷神社の境内には、樹齢400年におよぶ「二株の藤樹」があり、拝殿側にある葡萄の房のような花が咲く「八重の藤」は種子をつけない珍しい品種で、茨城県の天然記念物に指定されています。楼門側にあるもう一株の「大藤」は、一重咲きの花穂の長さが1m以上にもなり、例年、5月上旬には濃紫色の美しい花を咲かせています。

笠間稲荷境内の「八重の藤」

今回、藤は見れないので、本瓦型銅板葺き総ケヤキ造りの本殿に施された名匠による彫刻をじっくり見学しました。

午後に訪れた曹洞宗国見山鳳台院は別名「しゃくなげ寺」とも呼ばれていますが、日本一の達磨像があり、境内の五重ノ塔には仏舎利が奉安され、見事な 総欅材の四脚門の山門も残っていて、この山門は笠間市の有形文化財に指定されています。

鳳台院の日本一の達磨像

また、この鳳台院には当時寺子屋があり、益子焼の陶祖と呼ばれる大塚啓三郎が教育を受けたと言われています。

市指定有形文化財の鳳台院山門

笠間焼「製陶ふくだ」の登り窯と日本遺産ストーリー

最後に訪れた笠間焼の「製陶ふくだ」には、ペルー共和国との友好親善のシンボル、世界最大の巨大花瓶が立っており、また、「世界のやきもの博物館」も併設されていて、世界60余ケ国のやきものが展示されています。

巨大花瓶と「世界のやきもの博物館」

残念ながら、永年火を灯し続けた登り窯は、東日本大震災により全壊しましたが、2013年7月に復旧され、従来と変わらない炎で笠間焼が造られています

「製陶ふくだ」の仕法窯

私はこの仕法窯の職人に伝わる「集約された知識を能力に変え、注文には戒心なく己を殺して、他人を満足させ、それを無上の喜びとする」という心得にいたく感銘を受けました。

再建された登り窯

また、登り窯を復活させるだけでなく、お互いの地域の陶芸家が合同で個展を開いたり、一緒に窯焚きを行ったりしている「かさましこ」の連携は、真にすばらしい日本遺産ストーリーだと感じました。

「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」

日本遺産ストーリー 〔茨城県笠間市、栃木県益子町〕

東日本屈指の窯業地「かさましこ」(茨城県笠間市と栃木県益子町)は、窯業や統治者によって古代から同じ文化圏でした。

江戸時代に入り別々の道を歩みますが、18世紀後半から再び、製陶を通じてつながり合った地域です。使い勝手のいい日用品を作り続けていたこの地は、存続の危機に陥ると時代に合わせた革新に挑み、多様な作風を許容する産地へと変化しました。

自由でおおらかな環境が創造する者を惹きつけ、今では600名を超える陶芸家が活躍しています。

美意識を追求し美しい生活造形を生み出す「かさましこ」は、訪れる人の五感をも刺激し、暮らしに寄り添う陶文化を醸成しているのです。

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って日本遺産を旅しています。

平成芭蕉の日本遺産

平成芭蕉の日本遺産

この「平成芭蕉の日本遺産」は、単なる日本遺産登録地の紹介や旅情報の提供ではなく、「平成芭蕉」を自称する私が、実際に現地を訪れて、地元の人と交流し、私が感じたことや認定されたストーリー対する私自身の所見を述べた記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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