フランスの庭園「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」
![平成芭蕉の「世界遺産への旅」](https://i0.wp.com/heiseibasho.com/wp-content/uploads/2020/02/68eb1158b28ab8ad8dd718576994c3bf.png?resize=300%2C193&ssl=1)
平成芭蕉の「世界遺産への旅」
パリから日帰り圏内にあり、「フランスの庭園」と称されるロワール渓谷は私の好きな観光地の一つで、風光明媚な渓谷と趣のある歴史的な古城が織りなすメルヘンチックなエリアです。このロワール渓谷に城が多いのは、中世において、この地に広大な領土を持っていたアンジュー伯家が、領土防衛目的で築城したからです。
![フランスの庭園「ロワール渓谷」](https://i0.wp.com/stat.ameba.jp/user_images/20150520/18/ymode/7d/3a/j/o0560037313312841485.jpg?resize=311%2C207&ssl=1)
フランスの庭園「ロワール渓谷」
アンジュー伯家はイギリス王位をも継承し、英仏両国にまたがる広大な領土をもつようになったため、15世紀中頃までの約300年間、この地が英仏戦争の戦場となったのです。
また、付近には広大な森があり、当時の王侯貴族の楽しみであった狩猟の場が多かったことも、この地に美しい城館が数多く建てられた理由です。
そこでこのロワール渓谷の旅では、城を3種類に分けて考えると分かりやすいと思います。
平成芭蕉の世界遺産〜ロワール渓谷の古城巡り
第一は中世に城塞として築かれるも、近世以降は大砲の発達や戦術の変化によって使われなくなった廃城です。古くからの要塞で、英仏100年戦争の際に救世主のごとく現れたジャンヌ・ダルクがフランス王太子(後のシャルル7世)と対面したシノン城が良い例です。
ジャンヌ・ダルクゆかりの要塞「シノン城」
今では聖人の一人として崇められているジャンヌ・ダルクですが、お城の時計塔の中にはジャンヌ・ダルク博物館があり、彼女の数奇な人生を知ることができます。
パリ市内に立つのジャンヌ・ダルク像
第二は中世に築かれた城塞を、快適な居住空間をもつ優雅な城館に改装したもので、多くは高台の要害の地にあり、いかにも城という風格を備えています。
ジャンヌ・ダルクがオルレアンから軍を出発させる前に、ランスの大司教から祝福を受けたブロワ城がまさしくこの種を代表する城です。ブロワ城には7人のフランス王と10人の王妃が住んでおり、まさにロワール川の古城の歴史そのもので、4つの翼棟には、時代ごとのフランス建築の変遷を見ることができますが、特にフランソワ1世の翼にあるすばらしい螺旋階段は有名です。
![ブロワ城フランソワ1世棟の螺旋階段](https://i0.wp.com/worldheritagesite.xyz/wp-content/uploads/2015/10/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%AF%E5%9F%8E%EF%BD%9C%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%EF%BC%9D%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%8C%E9%96%93%E3%81%AE-%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%B8%93%E8%B0%B7-4-780x440.jpg?resize=312%2C176)
ブロワ城フランソワ1世棟の螺旋階段
そのフランソワ1世に招かれたレオナルド・ダ・ヴィンチが滞在していたクロ・リュッセと地下道で繋がる白亜のアンボワーズ城もこのタイプの城で、レオナルド・ダ・ヴィンチが埋葬されたサン・ユベール教会はアンボワーズ城のフランス式庭園内に建っています。
第三は近世以降に、王侯貴族が狩猟滞在の拠点とする目的で建てた優雅な城館で、シャンボール城やシュノンソー城などがあります。数の上ではこの種の城館が一番多く、館内は豪華を極め、たいていは広い庭園がついています。
![フランソワ1世のシャンボール城](https://i0.wp.com/cdn.4travel.jp/img/thumbnails/imk/travelogue_album/11/52/36/650x_11523650.jpg?resize=310%2C174&ssl=1)
フランソワ1世のシャンボール城
特にフランソワ1世の建てたシャンボール城は、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計に関与したとも言われており、フランス・ルネサンス(復活の意)の象徴的存在です。主のフランソワ1世は、この城にのんびり滞在する暇がなかったそうですが、ロワールの古城めぐりではゆったりと見学すべき城です。
シュノンソー城は、シャルル8世の財務大臣であったトマ・ボイエが最初の城主でしたが、息子が相続するとフランソワ1世に献上されました。そして、フランソワ1世が1547年に亡くなると、息子のアンリ2世から愛妾のディアーヌ・ド・ポワチエへと贈与されたため、この城は愛妾と正妻カトリーヌ・ド・メディシスとの熾烈な確執の場となりました。
![女城主の「シュノンソー城」](https://i0.wp.com/cdn.4travel.jp/img/tcs/t/album/lrg/11/29/50/lrg_11295063.jpg?resize=311%2C233&ssl=1)
女城主の「シュノンソー城」
よって、女城主の城だけに他の城にはない廊下もあって、その構造が印象に残っていますが、特に感銘を受けたのは「ルイーズ・ド・ロレーヌ=ヴォーデモンの居室」と呼ばれる黒い部屋です。夫アンリ3世が暗殺された後、妻であったルイーズ・ド・ロレーヌ=ヴォーデモンは白い喪服を着てこの真っ黒な部屋に引きこもり、瞑想と祈りを捧げ続けたと言われています。
![ルイーズ・ド・ロレーヌ=ヴォーデモンの居室](https://i0.wp.com/img-cdn.guide.travel.co.jp/article/599/29736/33DCA47747C148EA950698030B835409_LL.jpg?resize=312%2C234)
ルイーズ・ド・ロレーヌ=ヴォーデモンの居室
他の華やかな部屋から入ると黒い部屋の異様さに驚かされますが、喪を表す調度品や気品のあるデザインは、「白衣の王妃」と呼ばれた彼女の悲しみの深さを今に伝えています。
このシュノンソー城は女城主の城だけに、美しい庭園が3つもあって、四季折々に美しい花が咲き誇り、建物同様に楽しめます。
![シュノンソー城の庭園](https://i0.wp.com/e.his-j.com/images/area5/fra/w472/chenonceau01w472.jpg?resize=310%2C206)
シュノンソー城の庭園
パリは「花の都」と呼ばれ、多分にコスモポリタン的な性格を備えていますが、パリから人里離れたロワール地方にも自然とともにフランス的な美しい魅力が残されており、私は学生時代に訪れた時の印象が今も鮮明に生きています。
![](https://i0.wp.com/heiseibasho.com/wp-content/uploads/2021/02/IMG_0428.jpg?resize=300%2C200&ssl=1)
学生時代に訪れたシュノンソー城
祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録
「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。
また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。
★平成芭蕉ブックス
①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
②『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
③『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
![](https://i0.wp.com/heiseibasho.com/wp-content/uploads/2021/10/c1ec73672548fa5725c6cf7215f0b8e4.jpg?resize=300%2C225&ssl=1)
平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ
私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
![平成芭蕉の世界遺産](https://i0.wp.com/heiseibasho.com/wp-content/uploads/2019/10/DON_0862-2.jpg?resize=300%2C212&ssl=1)
平成芭蕉の世界遺産
「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。
![](https://i0.wp.com/heiseibasho.com/wp-content/uploads/2019/04/695626bea749f1265e83787734ca2eaa.jpg?resize=212%2C300&ssl=1)
「令和の旅」へ挑む平成芭蕉
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