イタリアの世界遺産 アドリア海の女王「ヴェネツィア」
イタリア北東部、アドリア海の最深部に位置するヴェネツィアは潟(ラグーン)に浮かぶ118の小さな島々からなる水上都市で、道路はなく、運河沿いに宮殿が並んでいます。
9世紀に建設されたサン・マルコ大聖堂は中心部のサンマルコ広場にあり、ビザンティン様式のモザイクが有名で、ビザンティン帝国との関係が深かったことを表しています。しかし、現在は地下水や天然ガスの採取による地盤沈下が問題となっています。
世界に類を見ない美しい世界遺産「水の都」ヴェネツィア
海上貿易を独占したイタリアの海洋都市国家
イタリア世界遺産巡りではローマ、ヴァティカン市国、フィレンツェと並んで人気の世界で類のない美しい「水の都」ヴェネツィアについてご紹介します。
ヴェネツィアは今でこそイタリアの一都市ですが、ナポレオンに取り潰されるまでは「アドリア海の女王」とも称された海の独立共和国でした。
イタリアの国旗は緑・白・赤の三色旗ですが、これは陸上での旗で、海上の商船旗には中央の白い箇所に金色のロープで囲まれた4つの紋章があります。
これはアマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、そしてヴェネツィアというイタリアの「4つの海の共和国」、すなわちかつて地中海を「われらの海(マーレ・ノストゥルム)」と呼んで海上貿易を独占した4つの海洋都市国家の国旗です。
ヴェネツィアの守護聖人「聖マルコ」
その中でもヴェネツィアはビザンティン(東ローマ)帝国分割で莫大な利益を獲得し、「ヴェニスの商人」の活躍もあって最も繁栄した共和国でした。
ヴェネツィアの中心は周囲を壮麗な建物で囲まれたサン・マルコ広場で、ナポレオンはこの広場を「屋根のない宮殿」と評したそうです。
広場の東側に立つサン・マルコ大聖堂には、9世紀にアレキサンドリアから運ばれてきた福音書記者の一人聖マルコの遺骸が安置され、ヴェネツィア共和国はこの聖マルコを国の守護聖人としました。
ヴェネツィア人はカトリック教徒でしたが、商取引上ではビザンティン帝国と深い関係にあったので、サン・マルコ大聖堂ではビザンティン皇帝を首長とするギリシャ正教の影響を受けた建築様式が採用され、壁面はモザイク装飾で基本プランがギリシャ十字になっています。
海に出て逞しく生きた人々の都ヴェネツィア
大聖堂の筋向いには鐘桜(カンパニーレ)があり、見学者はエレベーターで高さ約55mの鐘屋まで登ることができます。
ここからの眺望は素晴らしく、海に囲まれた多くの島々から成るヴェネツィアの全景を見渡すことができ、サン・マルコ大聖堂やゴシック式のドゥカーレ宮殿(ヴェネツィア共和国の総督邸兼政庁)、さらにはヴェネツィアのシンボル「翼のあるライオン」像の柱も眼下に見ることができます。
塩野七生さんのヴェネツィア共和国について書かれた本のタイトルが、「水の都の物語」ではなく「海の都の物語」となっているのはこの景色から理解できます。
すなわち、ヴェネツィアは水の上で静かに生きた人々の都ではなく、「海よ、お前と結婚する」と言って果敢に海に出て逞しく生きた人々の都だったのです。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。