ルターの宗教改革拠点 ヴィッテンベルクにあるルターの記念建造物群
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産登録された長崎の教会巡りをして、日本におけるキリシタン文化を視察してきました。
キリスト教の日本への最初の伝来は、イエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルによる布教と言われていますが、この日本への布教活動の原因となったのはかの有名なマルティン・ルターの宗教改革です。
ルター教会は日本ではルーテル教会として知られてますが、これはマルティン・ルターの宗教改革でドイツに始まる、キリスト教の教派または教団で、ルター派とも呼ばれています。
代表的なプロテスタントの流れの一つで、全世界に推定8260万人の信徒がおり、発祥の地ドイツを始め、北欧諸国では国民の大半がルター派です。そこで今回はそのルターゆかりの世界遺産をご紹介します。
マルティン・ルターはドイツのヴィッテンベルク大学で神学の教鞭をとっていて、カトリック教会の購入すれば罪が許されるという「免罪符(贖宥状)」に疑問を抱き、1517年、ヴィッテンベルク城付属聖堂の扉に「95カ条の論題」を貼って、カトリック教会の腐敗を糾弾したことが宗教改革の発端です。
ルターによる聖書のドイツ語翻訳と活版印刷術の普及
当時のカトリック教会は財政が逼迫し、新築中のサン・ピエトロ大聖堂の建築費用にあてる資金や新大陸発見で豊富な財を手に入れ、イタリアに攻め入ろうとする神聖ローマ帝国カール5世に対抗するためにも戦費をかせぐ必要にせまられており、その資金調達を目的に「免罪符(贖宥状)」を販売していたのです。
しかし、ルターは金銭で罪が許されるとする教皇や教会の権威を否定し、聖書のみを信仰の拠り所とする「福音主義」を唱え、聖書をドイツ語に翻訳して出版したのです。
このドイツ語訳聖書は当時発明された活版印刷術によって一般民衆にも広く講読されるようになり、ルターの唱える「福音主義」は聖書とともにヨーロッパ各地へ波及しました。なぜなら、それまで聖書はラテン語、ヘブライ語で書かれており、一般信者には解読できなかったのです。
そしてこの新しい宗派はプロテスタント(抗議する者)と呼ばれ、カトリックと西洋の精神世界を二分するにいたりました。
そこでカトリック側も対抗して1534年にイエズス会を設立、ヨーロッパではなく、アジアや新大陸に積極的な布教活動を行うようになり、この反宗教改革の流れで1549年、長崎にフランシスコ・ザビエルがやってきて日本にキリスト教を伝えたのです。
現在は95カ条の論題が貼られたヴィッテンベルク城付属聖堂、ルターが説教をした聖マリエン聖堂、彼が住んだルターハウスなど4つの建造物とルター生誕の地アイスレーベンが世界遺産に登録されています。
ドイツ・ルネッサンスの代表的画家ルーカス・クラナッハ
幸か不幸か、このヴィッテンベルク地域は東ドイツに属し、古い街並みは冷凍保存されたようにほとんど手を加えられませんでした。
中央駅から旧市街の反対にある城まで約2㎞を歩き、ルターハウス、聖マリーエン教会、マルクト広場、ヴィッテンベルク市庁舎を抜けると、クラナッハの家(薬局)があります。
ルターと同時期、この町にはドイツ・ルネサンスの代表的な画家ルーカス・クラナッハが工房を構え、その子ルーカス・クラナッハもルターと親交があって、多くのtrueルター肖像画を残しています。
毎年、10月31日の週は宗教改革を記念した祭りReformationsfestが街を上げて行われていますが、この地は現在のプロテスタント教会が行っている自ら聖書を読み、祈って賛美しながら聖餐を分かち合うという礼拝スタイルが世界で初めて行われた場所です。
もし、この地で宗教改革が興らなければ、フランシスコ・ザビエルは日本に来なかったかもしれないと考えれば、日本のキリスト教史を考える意味でもヴィッテンベルクは訪ねる価値があるのではないでしょうか。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。