「桃太郎伝説」の吉備と「稲むらの火」の舞台広川を訪ねる
日本遺産の「桃太郎伝説」は吉備津彦命と温羅の物語
平成27年よりスタートした「日本遺産」は、日本各地に存在する有形無形の文化財を、その地域の歴史的魅力やわが国の伝統・文化を伝えるストーリー、すなわち「物語」として文化庁が認定する制度です。
しかし「物語」にはそれを語る人、聴く人あるいは読む人の心があって、それぞれの想いがその物語の土地に繋がってこそ「物語」は旅となります。
また「物語」はたとえそれがフィクションであっても設定された舞台が実際に存在する場合も多く、その舞台を訪れて主人公の気持ちに思いを馳せるのも「物語」の旅です。
日本人であれば誰もが知っている「桃太郎」物語も平成30年に“「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~”として日本遺産に認定されました。
古代は吉備と呼ばれた岡山には、吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅(うら)という名の鬼を退治した伝説が残っており、岡山への「物語」の旅としては、その温羅の居城とされた鬼ノ城に登り、主人公になった気分で吉備津神社を参拝すれば、吉凶を占う「鳴釜神事」の意味も理解しやすくなります。
小泉八雲の『生ける神』の物語『稲むらの火』で知られる和歌山県広川町
また、最近は自然災害が多いので、この機会に小泉八雲の『生ける神(A Living God)』という著作を読み、『稲むらの火』で有名な濱口梧陵ゆかりの和歌山県広川町を訪ねるのもお勧めです。
この物語も“「百世の安堵」~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~”として日本遺産に認定されています。
〔「稲むら」とは乾燥させるために積み上げた藁〕
これは安政元(1854)年11月5日、南海地震による津波が襲った際、濱口梧陵のつけた『稲むらの火』によって多くの村人の命が救われたという物語で、この話から2015年には11月5日が「世界津波の日」と定められました。
すなわち、日本遺産の「物語」の旅とは歴史に学ぶ旅であり、また、従来の名所旧跡を訪ねる旅も、その土地の「歴史(物語)」に触れる旅です。
よって、私は旅とは「物語」を求める行為と定義してもよいと思います。
<具体的な旅先>
岡山県総社市… 岡山市の吉備津神社で行われる鳴釜神事は、吉備津彦命にお願いしたことが叶ったかどうかを占う神事ですが、その由来は総社市にある鬼ノ城を居城とした温羅(うら)伝説に由来します。
和歌山県広川町…『稲むらの火』で知られる濱口梧陵が私財をなげうって造った広村堤防や濱口梧陵記念館と津波防災教育センターからなる「稲むらの火の館」がある。
*平成芭蕉のテーマ旅行「物語の旅」は旅行読売2018年12月号に掲載されました
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って令和時代を旅しています。
見るべきものは見て、聞くべき話は聞いた。では旅に飽きたかと問われれば、いえいえ、視点が変わればまた新たな旅が始まるのです。平成芭蕉はまだまだ「こんな旅があった」と目からウロコのテーマ旅行にご案内します。すなわち、「ときめき」を感じる旅から人は変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。