令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉のテーマ旅行

平成芭蕉のテーマ旅行〜「石」の旅 : 小豆島丁場と醍醐寺三宝院「藤戸石」

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織田信長の「藤戸石」と豊臣秀吉の大阪城「石垣」

人類の歴史において、石がどのような意味を持つのかと考えてみると、人と石との交わりは旧石器時代に遡り、石斧(せきふ)矢じりといった石を道具として用いることから始まりました。

そして、石器時代から人は石とさまざまな付き合いを重ねて歴史を刻んできました。すなわち、人は石を動かし、石を刻み、石を用いて暮らしをたててきたのです。

そこで、私は自然界の巨石、庭園の石、石造建築物、石碑など、旅を促し、旅先での想い出を創り出してくれる石を眺め、石と人とのさまざまな出会いについてじっくりと考えてみました。

想い出に残る小豆島「宝の石」

想い出に残る小豆島「宝の石」

全国各地の神社の境内やご神体とされた山や丘には、多くの「磐座」と呼ばれる巨石や石の群れがありますが、これらは天の神様が来臨する場所とも考えられていました。

そして、この磐座は庭園の石組みの原型と言われており、日本の庭園が世界の庭園と最も異なる点はこの石の存在です。

織田信長と天下人のシンボルとされた「藤戸石」

これらの石は人と同じ「意思」を持った存在であり、石の扱いは人とのつきあいと同じで、その思いを汲んで行われるべきものでしたが、この石をきわめて政治的に活用した人物は織田信長でした。

信長は1569年、「由緒ある名石」とされていた「藤戸石」なる大石を、室町幕府第15代将軍足利義昭のために造営中だった二条館へ運ばせています。

それも単純に運んだのではなく、多くの人夫に命じて、この「藤戸石」と呼ばれた名石を綾錦で包み、花で飾り、笛や太鼓の演奏でにぎやかに囃し立てながら二条館の工事現場まで持ってこさせたのです。

この「藤戸石」は現在、京都の醍醐寺三宝院庭園の主石として立っていますが、もとは岡山県倉敷市藤戸町にあり、源平合戦で源氏の武将佐々木盛綱に勝利をもたらしたことから「戦勝のシンボル」となりました。

醍醐寺三宝院庭園の「藤戸石」

醍醐寺三宝院庭園の「藤戸石」

そして、この石をもつことは第一の権力者の証とされ、天下人であることを誇示する象徴だったのです。

大阪城の石垣と小豆島の丁場

信長の後を継いで天下人となった豊臣秀吉大阪城の石垣で威厳を示していますが、その石垣修復用に切り出されながら、使用されなかった小豆島の「残念石」も見事です。

小豆島に大阪城の残念石

小豆島に大阪城の残念石

この「残念石」約400年の歴史が凝縮されているのが「岩ケ谷の天狗岩」など、丁場(ちょうば)と呼ばれる石切場で、その物語は日本遺産にも登録されています。

天空のパワースポットである今にも落ちそうな「重ね岩」も丁場の1つで、小豆島のランドマークになっていますが、ここから眺める瀬戸内海の景色は絶景です。

小豆島の丁場の1つ「重ね岩」

小豆島の丁場の1つ「重ね岩」

小豆島には今なお石にまつわる信仰や芸能が継承されていますが、それは石が動かされる前に、人の心に恐れや悲しみを刻み、逆に人の心を動かしていたからです。

石は人を動かし、人に語りかけもします。それは石が容易には動かず、形も変えず、永続する姿も持っているからです。

このように人と石とのあり方について思いめぐらすのが、「石」をテーマとした旅なのです。

岩ケ谷の天狗岩

岩ケ谷の天狗岩

<具体的な旅先>

醍醐寺三宝院「藤戸石」…醍醐寺三宝院庭園は、豊臣秀吉が基本設計をしたと伝えられる名園で、国の特別史跡・特別名勝に指定されており、表書院から、「藤戸石」が鑑賞できます。

小豆島「岩ケ谷の天狗岩」…巨大な天狗岩付近には、今現在も六百個あまりの残石が確認されており、転がっている岩は大坂城修復のため切り出した岩です。

*平成芭蕉のテーマ旅行「石の旅」は旅行読売2020年3月号に掲載されました

旅行読売 こんな旅がしたい「石の旅」

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日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されることを記念して、私はこのたび『縄文人からのメッセージ』というタイトルで令和の旅を語り、Amazonの電子本として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』とともにご一読下さい。

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 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅 

平成芭蕉ブックス『令和の旅指南』

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って令和時代を旅しています。

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見るべきものは見て、聞くべき話は聞いた。では旅に飽きたかと問われれば、いえいえ、視点が変わればまた新たな旅が始まるのです。平成芭蕉はまだまだ「こんな旅があった」と目からウロコのテーマ旅行にご案内します。すなわち、「ときめき」を感じる旅から人は変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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