日本を代表する花は「桜」と「菊」
人を旅へと誘う「桜」~桜と言えば吉野山
日本を代表する花と言えば、皇室の紋章にある菊と日本の木とされる桜です。
特に桜は最も多くの人を旅へと誘い出す力を持ち、私は幼い頃に住んでいた所が三重県名張市桜ケ丘(平尾山)という桜の名所でしたので、今でも開花情報の花だよりが聞かれる頃になると気もそぞろ、どこへ花見に行こうかとあれこれ悩みながら時を過ごします。
桜の花は人の心をとらえ、人を動かし、旅の世界へといざなってくれるのです。西行法師も桜に心を動かされて旅をした一人で、『山家集』には桜の歌が数多く収められており、
吉野山 こずゑの花を見し日より 心は身にもそはずなりにき 西行
と吉野山を桜の名所として詠っています。
吉野は桜を代表する地名で、桜と言えば吉野、吉野と言えば桜、そして春に吉野が人気の旅先となるのは、桜が旅心を誘い、花をテーマとした旅となればやはり桜見だからです。
実際、百人一首でも桜なら吉野、紅葉なら竜田川と『古今和歌集』以来の定番となっています。
万葉時代には「梅」~梅と言えば太宰府天満宮の「飛梅」
一方、日本を代表する歌集の『万葉集』では遣唐使たちが持ち帰ったとされる「梅」が多く詠まれており、天平時代には太宰府の帥(そち)であった大伴旅人が、梅花をめでる宴を催し、そのときに詠まれた「梅花の歌32首」は有名です。
新元号が「令和」と決まった際、太宰府市は「令和」の典拠となった『万葉集』の歌は、その大伴旅人宅で開かれた「梅花の宴」で詠まれたものだと発表しました。
「梅花の宴」は、当時、一般には珍しかった梅の花(白梅)をめでて開かれたとされ、
わが園に 梅の花散るひさかたの 天より雪の流れ来るかも 大伴旅人
など、梅の花は咲き方・散り方が、雪への見立て(白梅)や恋する人への想いなどを連想させるので、太宰府の大伴旅人邸に集まった人々は、宴に誘われたというよりも、梅の花に心を動かされて足を運んでいたのです。
その後、梅は菅原道真公の伝承とともに、時代を越えて太宰府と関連深い花として親しまれ、多くの受験生は道真公を祀る天満宮へ詣でては、
こちふかば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ 菅原道真
と詠んだ「学問の神様」道真公に合格祈願をしますが、これは有名な「飛梅」を鑑賞する「花」の旅でもあるのです。
<具体的な旅先>
吉野山…吉野の桜はシロヤマザクラで本来は「花見」のためではなく、山岳宗教と密接に結びついた「信仰の桜」として大切に保護されてきました。
太宰府天満宮…約200種、6,000本あまりの白梅・紅梅が咲き、ご神木の「飛梅」は早咲きの白梅で、毎年、境内で一番に開花します。
*平成芭蕉のテーマ旅行「花の旅」は旅行読売2020年4月号に掲載されました
日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産!
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って令和時代を旅しています。
見るべきものは見て、聞くべき話は聞いた。では旅に飽きたかと問われれば、いえいえ、視点が変わればまた新たな旅が始まるのです。平成芭蕉はまだまだ「こんな旅があった」と目からウロコのテーマ旅行にご案内します。すなわち、「ときめき」を感じる旅から人は変わり、生き方も変わり、人生も変わるのです。