ローマ人が愛したイギリスの世界遺産 温泉リゾート「バース」
信州上田の秘湯角間温泉に行って来ました。
角間渓谷に佇む大自然の中で温泉に浸かり、山里料理を堪能しましたが、やはりわれわれ日本人にとって温泉は有難い存在であることを再認識させられました。
しかし、温泉と言えば日本だけでなく英国にもあることをご存知でしょうか。
映画「テルマエ・ロマエ」でも紹介されたローマ式大浴場跡が残っており、街全体が世界遺産に登録されている「風呂」の語源となったイングランド南西部に位置する街バースBathです。
ローマ人が愛した癒しの世界遺産「バース市街」
ロンドンから西に向かう電車に1時間半ほど揺られると、エイボン川と蜂蜜色をした石造りの建物が印象的なバース(Bath)に到着します。
世界中から観光客が訪れる鉄道駅のわりにはこぢんまりとした「バース・スパ」駅ですが、駅前通りをまっすぐ歩いていくと、「パレード・ガーデンズ」が見えてきます。
ここは歩道のテラスから見下ろせる、芝生が敷き詰められた川沿いの公園で、春には日光浴を楽しむ地元住人をはじめ、毎年テーマごとに植え替えられる花壇をバックに写真を撮る観光客の姿や、ジューンブライドの6月にはタキシードとウェディングドレスを身にまとったカップルの記念撮影も見かけます。
伝説ではケルト系ブリトン人の王ブラドットがこの温泉を発見して疫病を治したと言われていますが、かつてこの地はケルト人の信仰の場所で、彼らが崇拝した泉の神スリスにちなんでアクア・スリスと呼ばれていました。
ローマ時代の大浴場と「バース」の由来
そしてローマ帝国が支配するようになってそのスリスとローマの女神ミネルヴァの神殿及びローマ式の大浴場が建設され、後にアングロ・サクソン人が温泉にちなんでこの地をバースと命名したそうです。
ローマの女神ミネルヴァだけでなく、ケルトの女神スリスも一緒に聖なる水の湧き出る温泉地に祀ったのは、古代ローマ人の偉大なる「おおらかさ」なのかもしれません。
現在、ローマ時代の大浴場跡はローマン・バス博物館として公開されており、大浴場とキングス・バス(王の浴場)という2つの主要な浴場がありますが、その中でもキングス・バスの表面に濛々と湯気がたつ光景はまさしく温泉です。
しかし、繁栄していたこのローマン・バスもローマ帝国が英国より撤退後には破壊され、19世紀に発見されるまで忘れられた存在でしたが、18世紀のジョージ王時代には湯治場の保養地として注目を集めました。
ローマン・バス博物館に併設されるパンプ・ルームはその時代の社交場でシャンデリアがきらめく空間はその当時の歴史を偲ばせてくれます。
またローマン・バスに程近い一角に2000年の時を隔てて現代の総合温泉施設「サーメ・バース・スパ」が2006年にオープンし、今日ではここでバースの温泉体験ができます。
英国では40度以上の高温の温泉は身体に悪いと法律で規制があり、日本人にとってはぬるま湯ですが、この温泉に浸かった時のなんともいえない安堵感は万国共通だと思います。
温泉に浸かって日々の疲れを癒すことのできるこのバースの街は、古代ローマ人が英国に残した偉大な置き土産であり、英国を訪れるわれわれにとっても有難い世界遺産だと思います。
バースの一番のおすすめシーズンは、やはり花が咲き乱れる春から夏にかけてですが、秋には紅葉した蔦の絡まった建物や黄色いマロニエの街路樹、そして冬は木製シャレーが立ち並ぶクリスマスマーケットなど、それぞれの季節ごとに違った魅力が発見できる古の温泉リゾートです。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。