平成芭蕉の世界遺産 日本〜平和を希求する絢爛たる彫刻美「日光東照宮」 | 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の世界遺産 日本〜平和を希求する絢爛たる彫刻美「日光東照宮」

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古代よりの山岳信仰の聖地に建つ 匠の技の彫刻美「日光東照宮」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

世界遺産に登録された「日光の社寺」は、日光山内にある二社(東照宮と日光二荒山神社)と一寺(日光山輪王寺)の「建造物群」に加えてこれらを取り巻く「遺跡(文化的景観)」です。三つの神社仏閣は、江戸時代の神仏習合のなごりですが、山の緑に包まれ、それぞれが独自の世界を保ちつつ融和しています。

日光東照宮の大鳥居

古くは山岳信仰の地であった日光が、江戸時代にその意味を変えたのは、家康公すなわち東照大権現が鎮座してからのことです。元和2年4月17日(1616年6月1日)、徳川家康は駿府(現在の静岡市)で死去し、遺命によって遺骸は直ちに駿河国の久能山に葬られ、翌・元和3年(1617年)には日光に改葬されました。

東照大権現を祀る東照宮

金地院崇伝の日記である『本光国師日記』には、「遺体は久能山に納め、(中略)一周忌が過ぎたならば、日光山に小さな堂を建てて勧請し、神として祀ること。そして、八州の鎮守となろう」と記されていました。

家康が目指した「八州の鎮守」とは、日本全土の平和の守り神で、不動の北辰(北極星)の位置から、徳川幕府の安泰と日本の恒久平和を守ろうとしたと伝えられています。

しかし、日光に祀られることになったのは家康公自身の遺言ですが、東照宮の建物は三代将軍家光「寛永の大造営」によるものです。すなわち、寛永11年(1634年)、3代将軍・徳川家光は日光へ社参し、寛永13年(1636年)の21年神忌に向けて寛永の大造替が始められ、荘厳な社殿への大規模改築が行われたのです。

総奉行(日光造営奉行)は秋元泰朝、普請は、増上寺や寛永寺の建築にも携わった甲良宗広が作事方大棟梁を務めました。そして、家光はこの東照宮造営の際、家康公の威光を讃えるために「この世で一番の建物を造れ」と号令を出したと考えられます。

「この世で一番の建物」を実現するにあたっては、宗教施設である以上、構造的には制限があるため、職人はメッセージ性のある彫刻に匠の技を総動員させたのです。その熱意が想像力溢れる麒麟のような霊獣や動植物など、幅広いジャンルの彫刻美を生んだのです。

門から始まって、回廊、社殿の彫刻や、神馬を繋ぐ神厩舎(しんきゅうしゃ)に施された彫刻からは、匠の想像力に驚嘆を覚えます。神厩舎には猿が馬を守る動物であるという伝承から、猿の一生を描いた8枚の浮彫画面があり、人間の平和な一生の過ごし方を説いたものと言われています。

「見ざる、言わざる、聞かざる」で有名な三猿は、その1枚で、「幼少期には悪事を見ない、言わない、聞かない方がいい」という教えであり、転じて「自分に不都合なことは見ない、言わない、聞かない方がいい」という教えにもなっています。

「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿

特に眺めていると日が暮れてしまうことから、日暮門とも呼ばれる「陽明門」には、東照宮全体の約1割にあたるメッセージ性の高い彫刻が施されています。

では、そのメッセージは何かと言えば、戦国時代を終結させた家康公の「平和への希求と平和の賛歌」です。例えば、「陽明門」中央の勾欄と呼ばれる欄干には、子供たちの遊ぶ様子が描かれ、子供がのびのびと安心して遊べる世界が「平和」であると伝えています。そして、その中央には「司馬温公の甕(かめ)割り」という中国故事が彫刻されています。

絢爛豪華な陽明門

司馬温公は『資治通鑑』を著した政治家でしたが、彼が少年時代、友達と水甕のまわりで遊んでいたとき、ひとりが誤って甕の中に落ち、そのとき温公は「器は人命より軽し」と大切な甕を割って友を助けた、という故事です。すなわち「どんなに高価で貴重なものでも、命の重さにはかなわない」のです。

また有名な「眠り猫」は、裏で雀が舞っていても寝ていられるほど、「猫も寝るほどの平和」を表しているのです。

「眠り猫」の彫刻

ことほどさように、東照宮を飾る想像力の絢爛は、平和への希求がテーマとなっていますが、私にはこれら壮大な美術作品が古代からの山岳信仰の崇高さをも受け止めているように感じます。

参考記事:世界遺産の旅における「へー、そうだったの」

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています

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「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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