私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています。

平成芭蕉の世界遺産
世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。
古代ギリシャを象徴する世界遺産 アテネのパルテノン神殿

平成芭蕉の「世界遺産への旅」
アクロポリスとは「高いところ」を意味し、防壁で囲まれて神殿や砦が築かれる小高い丘のことです。
アクロポリスはアテネ市街を見渡す海抜150m、平らで巨大な石灰岩の上にあり、3方が断崖絶壁に囲まれています。
アテネのアクロポリスは都市国家のシンボルとなり、丘に立つパルテノン神殿はアテネの守護神にして戦と知恵の女神「アテナ」を祀る神殿として建設されました。
ギリシア黄金時代の世界遺産「アテネのパルテノン神殿」
古代ギリシャのポリスの象徴「アクロポリス」

アクロポリスのパルテノン神殿
私は今、「ヨーロッパ歴史講座」の講義もしており、「ヨーロッパで最も世界遺産らしい世界遺産は何ですか?」と問われることがしばしばあります。
その際には、私は「やはりギリシアの神殿でしょう」と答えています。
なぜなら、「すべての道はローマに通ず」と言われますが、文化的にはやはりギリシアがローマの精神的側面を支えたと思うからです。
正確にはアレクサンドロス大王のペルシア征服によって生まれた「ヘレニズム文化」がローマを偉大な帝国にしたのではないかと考えています。
そこで、今回は世界で最も知られている「アテナイ(アテネの旧名)のアクロポリス」をご紹介します。このアクロポリスはアテネの海抜150mの岩の上に立っており、古代ギリシアのポリス(都市国家)のシンボルでした。
アクロポリスは「高い丘の上の城市」という意味で、ミケーネ時代(BC1600年頃)にアテナイの守護神の神殿が今日の丘の上に建てられました。
古代ギリシャ建築の最高峰「パルテノン神殿」

エレクティオンのカリアティド
それらはBC5世紀半ばのペルシア戦争時に破壊されましたが、戦争に勝利したアテナイの指導者ペリクレスは、フェイディアスを総監督として大々的に再建させたのです。
すなわち、アケメネス朝ペルシアの攻撃に備えて結成されたポリス間の軍事同盟(デロス同盟)の盟主となり、この各ポリスからの軍事資金を流用してアテナイの公共事業を行ったのです。
現在この丘には古代ギリシア建築を代表する次の4つの傑作が残っています。
①ドーリア式建造物の最高峰であり、民主政アテナイの象徴としてのパルテノン神殿
②壮大な大理石の柱を持つ神域への門とされるプロピュライア
③イオニア式建築の代表作で6体の少女姿の柱像(カリアティード)で知られるエレクテイオン
④スパルタとの戦争(ペロポネソス戦争)の勝利を祈ってアテナイの守護神であるアテナ女神を祀っ
たアテナ・ニケ神殿
これらの遺跡はアテナイのみならずギリシアの栄光の象徴ですが、そのギリシアはポリス間の争いで衰退、マケドニアの英雄、アレクサンドロス大王の軍門に降りますが、逆にマケドニアに敗北したが故にギリシアが一つになったと言われています。
ナポレオンが現われてドイツ民族が一つになったのと似ていますが、歴史はやはり繰り返すのでしょう。

20代で訪れたパルテノン神殿
★zakzak「ライフ」:2014年10月24日夕刊フジ「世界遺産旅行講座」掲載
by 【平成芭蕉こと黒田尚嗣】
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