古代ギリシャを象徴する世界遺産 アテネのパルテノン神殿
ギリシャの首都アテネのシンボルであるアクロポリスとは「高いところ」を意味し、防壁で囲まれて神殿や砦が築かれる小高い丘のことで、世界的に有名なパルテノン神殿をはじめ、古代ギリシャ文明を象徴する建造物が集まっています。
アクロポリスはアテネ市街を見渡す海抜150m、平らで巨大な石灰岩の上にあり、3方が断崖絶壁に囲まれています。アテネのアクロポリスは都市国家のシンボルとなり、丘に立つパルテノン神殿はオリンポス12神の一神、アテネの守護神にして戦と知恵の女神「アテナ」を祀る神殿として建設されました。
ギリシア文明の興隆を象徴するアテネのアクロポリス「パルテノン神殿」
古代ギリシャのポリスの象徴「アクロポリス」
私は今、「ヨーロッパ歴史講座」の講義もしており、「ヨーロッパで最も世界遺産らしい世界遺産は何ですか?」と問われることがしばしばあります。
その際には、私は「やはりギリシャの神殿でしょう」と答えています。なぜなら、「すべての道はローマに通ず」と言われますが、文化的にはやはりギリシャがローマの精神的側面を支えたと思うからです。
正確にはアレクサンドロス大王のペルシア征服によって生まれた「ヘレニズム文化」がローマを偉大な帝国にしたのではないかと考えています。
そこで、今回は世界で最も知られている「アテナイ(アテネの旧名)のアクロポリス」をご紹介します。このアクロポリスはアテネの海抜150mの岩の上に立っており、古代ギリシアのポリス(都市国家)のシンボルでした。
アクロポリスは「高い丘の上の城市」という意味で、紀元前2000年頃から人々が住み始め、ミケーネ時代(BC1600年頃)にアテナイの守護神の神殿が今日の丘の上に建てられ、紀元前1500年頃には王宮の所在地となって都市が発展しました。その後、ギリシャ各地にポリスと呼ばれる都市国家が形成されていき、紀元前500年にはアケメネス朝ペルシアと戦うために各ポリスはデロス同盟を結成して大国ペルシアと対抗したのです。
古代ギリシャ建築の最高峰「パルテノン神殿」
アクロポリスはBC5世紀半ばのペルシア戦争時に破壊されましたが、アテナイはギリシャの勝利に大きく貢献し、戦争に勝利したアテナイの指導者ペリクレスは、フェイディアスを総監督として大々的に再建させたのです。パルテノン神殿もペルシア戦争の勝利を祝って再建されましたが、完成までには10年の歳月を費やしています。
すなわち、アテナイはアケメネス朝ペルシアの攻撃に備えて結成されたポリス間の軍事同盟(デロス同盟)の盟主となり、この各ポリスからの軍事資金を流用してアテナイの公共事業を行ったのです。そして繁栄を謳歌するアテナイにはソクラテスやプラトン、アリストテレスなどの知識人が移り住み、哲学や芸術が発展し、ディオニソス劇場などではアイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの3大悲劇詩人の劇も上演されました。
その後の世界史に多大な影響を及ぼしたギリシャ文化の中心地であったこのアクロポリスの丘には、現在、古代ギリシア建築を代表する次の4つの傑作が残っています。
①ドーリア式建造物の最高峰であり、民主政アテナイの象徴としてのパルテノン神殿
②壮大な大理石の柱を持つ神域への門とされるプロピュライア
③イオニア式建築の代表作で6体の少女姿の柱像(カリアティード)で知られるエレクテイオン
④スパルタとの戦争(ペロポネソス戦争)の勝利を祈ってアテナイの守護神であるアテナ女神を祀ったアテナ・ニケ神殿
これらの遺跡はアテナイのみならずギリシアの栄光の象徴ですが、そのギリシャはポリス間の争いで衰退、マケドニアの英雄、アレクサンドロス大王の軍門に降りますが、逆にマケドニアに敗北したが故にギリシャが一つになったと言われています。
ナポレオンが現われてドイツ民族が一つになったのと似ていますが、歴史はやはり繰り返すのでしょう。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
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