アラゴン王国の都サラゴサの世界遺産
レコンキスタとアラゴン王国
スペインの歴史を語る上で、欠かせないのが西ゴート王国からイスラム教徒による支配、そしてキリスト教徒によるレコンキスタと呼ばれる国土再征服です。
カスティリア王国のイサベル女王とアラゴン王フェルナンド2世の結婚により、統一スペイン王国が誕生し、1492年アルハンブラ宮殿で有名なグラナダのナスル朝を滅ぼしてレコンキスタが完了したのです。
また、この年はコロンブスが新大陸に到達して大航海時代の幕が開けるとともにユダヤ人追放令が下されてスペインのカトリック純化が推進された時期です。
そこで、今回はスペイン発祥の地の一つであるアラゴン王国の首都であったサラゴサのピラール聖母教会と世界遺産建築物であるカテドラル、ラ・セオ、サン・パブロ教会をご紹介します。
アラゴン王国の首都サラゴザの世界遺産建築物
中央には「イベリア」の語源となったエブロ川が流れ、山間には中世のたたずまいを残す美しい光景のサラゴサは、スペインにおける聖母マリア信仰の中心地でもあります。
布教中の聖ヤコブに由来する伝説として、紀元40年1月2日、エブロ川の岸辺にいた聖ヤコブの目前の柱(ピラール)に聖母マリアが現れる奇跡が起きたことから、この地に礼拝堂が築かれました。
そして17世紀になって、礼拝堂跡地に今日の「ピラールの聖母像」を祀ったピラール聖母教会が建てられ、サラゴサのみならずスペイン全土の守護聖母として崇められています。
このピラール聖母教会前の広場はピラール広場と呼ばれ、市庁舎やラ・ロンハ(商品取引所)、そして、世界遺産登録されている傾いた塔をもつ14世紀のサン・パブロ教会とラ・セオと呼ばれる大聖堂もあります。
サン・パブロ教会はモスクのミナレット(尖塔)を連想させる八角形の鐘楼が印象的なムデハル様式(イスラム教とキリスト教の両様式が融合したデザイン)の建物です。
ラ・セオとはアラゴンの言葉で「カテドラル」を意味し、正式名称はサン・サルバドール大聖堂で、ロマネスクからネオ・クラシックの様式とイスラムのムデハル様式が調和した素晴らしい教会です。特に教会内部のサン・ペドロ礼拝堂をはじめとする豪華なチャペルはこのサラゴサの繁栄を物語っています。
今日はオルガさんという女性に案内していただきましたが、私が歴史について関心が深いことを察知して、1世紀に造られたローマ劇場であるカエサラグスタ劇場遺跡にも案内してくれました。
カエサラウグスタとはローマ皇帝アウグストゥスによって築かれたローマ帝国植民地時代のサラゴサの名称です。この劇場はその後の西ゴート族の侵入で埋もれてしまいましたが、1972年に偶然発見されました。
オルガさんの話では、ヨーロッパで最初にチョコレートが作られたのが、サラゴサに近いピエドラ修道院ということで、市内にはチョコレートを初めとするスイーツのお店が多いとのことでした。
サラゴザのピラール祭
また、サラゴサでは毎年10月上旬から約10日間、スペイン4大祭りの一つであるピラール祭が開催され、祭りの期間中はピラール広場に作られた聖母ピラールの祭壇にカーネーション等の花が供えられます。
中央広場で聖母像への献花式から始まり、ハイライトの夜のパレード「ガラスの十字架行列」を迎え、アラゴン地方の民族舞踊「ホタ」を着た人々がロウソクを灯し、豪華な飾りや光鮮やかな山車と共に賛美歌を歌いながら町を厳かに行進します。
そのほか、闘牛、コンサート、花火大会、特産品市など数多くのイベントが行われます。
このサラゴサは「アラゴンのムデハル様式の建築物」としてラ・セオ、サン・パブロ教会、アルハフェリア宮殿が世界遺産に登録されていますが、私はこのピラール祭とローマ時代の劇場跡も世界遺産の価値があると感じました。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。