最澄の弟子、円仁も訪れた聖地「五台山」
円仁の「入唐具求法巡礼行記」
旅行記と言えば日本を黄金の国「ジパング」と紹介したマルコ・ポーロの「東方見聞録」と三蔵法師こと玄奘が記した「大唐西域記」が有名ですが、この2つの旅行記に加えて最後の遣唐僧で天台宗を大成させた慈覚大師こと円仁(最澄の弟子)の「入唐求法巡礼行記」も世界三大旅行記の一つです。
「入唐求法巡礼行記」はあまり馴染みがないかも知れませんが、地理、経済、風俗、行事など様々なことが記録されており、故ライシャワー元駐日大使は「円仁の経歴は、宗教的献身と知的探求と高貴な冒険との驚くべき結合である」と述べ、この旅行記を高く評価していました。
その高僧 円仁が苦難の旅で訪ねた聖地が中国の五台山です。
仏教とラマ教との唯一共通の聖地「五台山」
五台山は中国の仏教聖地であるだけでなく、中国で唯一、仏教とラマ教の2つの宗教を兼ね備えた道場であるため、チベット族や内モンゴル族からも崇敬されています。
五台山は避暑地としても知られ、別名「清涼山」とも呼ばれていますが、5つの峰が聳え、その5つの峰の頂が平らで広いことから「五台」と称されています。円仁の記録では五台山は「銅のお盆を逆さにしたようである」と表現されています。
五台山には、中国内外から、たくさんの高僧と呼ばれる人たちが訪れており、唐や宋の時代は、庶民信仰の中心地でもありました。5つの峰の外側は台外と呼ばれ、五台山の中心は台内の台懐鎮です。
五台山を訪ねる目的はもちろん仏教の聖地としての主要な古刹巡りです。
五台山のみどころ
通常の観光では五台山最古の寺院である顕通寺や大白塔が聳え立つ塔院寺等を参拝します。
私はまだ、中国旅行が今日のような隆盛でなかった頃に訪ねましたので、道も整備されておらず、五台すべてを回ることはできませんでした。
しかし、東台(望海峰)からの日の出は筆舌につくせないほど美しかったことは鮮明に覚えています。
現地の先達によれば、
・西台(掛月峰)からは秋の夜の月見、
・南台(錦繍峰)からは草花の観賞、
・北台(葉闘峰)からは雪景色、
・中台(翠石峰)は天体観測に最適
と説明していました。
世界遺産とりわけ文化遺産を訪ねる旅では、通常の観光ガイドより先達のような現地事情をよく知った人の同行をお勧めします。
また、事前に円仁に関する「円仁求法の旅」玉城妙子著のような本を読んで五台山を回ると円仁に対する理解が深まると思います。
祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。