山口県西部の万葉故地「本州最西端の毘沙ノ鼻」
「犬養節」と万葉集ゆかりの地を訪ねる旅
私の趣味の一つに万葉故地巡りがあります。
『万葉集』は一般庶民から貴族、天皇に至るまであらゆる階層の人が謳いあげた民族詩の金字塔であり、日本人の心の古典でもあります。
万葉時代と環境は変われども、万葉人の歌心は今に伝わり、その万葉故地を訪ねれば、自然への崇拝、美への感動、大地の豊かさを汲み取った昔の人の息遣いが聞こえてくるのです。
私は学生時代に「犬養節」で知られる犬養孝先生の講座を聞いて、万葉集に関心を抱くようになったのですが、万葉集の歌は「心の音楽」だと思います。
しかし、関西圏以外の万葉故地は、今、訪れるとなると結構不便なところが多いのですが、感動的な歌の多くは僻地が舞台となっています。
本州最西端の万葉故地「毘沙ノ鼻」
その代表が本州最西端にあたる「毘沙ノ鼻」です。
ここは山口県西部の海岸にあり、沖には蓋井(ふたおい)島が浮かんでいますが、あとは遮るものはなく、どこまでも大海原が広がる最果ての地です。
この地での写真を下関の観光案内所に見せると本州最西端「毘沙ノ鼻」到達証明書を発行してくれます。
その「本州最西端の地」の記念碑の横には
『長門なる 沖つ借島 奥まへて 吾が思ふ君は 千歳にもがも』
の万葉歌碑が立っています。
この歌は天平10(738)年、この地を治めていた長門守の巨曽倍対馬(こそべのつしま) が都で催された橘諸兄(たちばなのもろえ) に詠んだ歌です。
「長門(ながと)なる沖つ借島(かりしま)」は現在では所在不明ですが、毘沙ノ鼻沖の海上に浮ぶ「蓋井島」を指すという伝承もあります。
「長門の沖合の借島が遠い奥地にあるように、心の奥から深くお慕いするあなたには千歳も無事であってほしいものです」と、自分の任国の地名を巧みに使い、橘諸兄の長寿を願っています。
最近は会社の経費節減で遠方への出張は控えていますが、個人的には国内海外を問わず、僻地への旅行回数は増えています。
なぜなら、魅力ある旅行企画には絶えざる現地視察が不可欠で、万葉歌人もそうですが、各地を巡っている人ほど味のある歌を詠んでおり、西行や芭蕉さんのも同様です。
私は、現在においても、できる人ほど行動しており、「移動距離=稼ぎ」につながっているのではないかと思っています。
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