「万葉集」をテーマとした旅①~額田王「熟田津」と防人の太宰府 | 【黒田尚嗣】芭蕉さんの旅講座

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「万葉集」をテーマとした旅①~額田王「熟田津」と防人の太宰府

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犬養孝先生に学んだ「万葉集」の旅

「万葉集」の歌は心の音楽

筑紫歌壇の太宰府政庁跡

『万葉集』は一般庶民から貴族、天皇に至るあらゆる階層の人が見事に謳いあげた民族詩の金字塔で、日本人の心の古典でもあります。
そして「万葉」という言葉にはロマンがあり、万葉ゆかりの地や万葉人、万葉の散歩道とか聞けば、そこを訪ねて万葉時代の旅を再現し、おおらかな時代に想いを馳せて心の解放感を味わいたいと思うのです。
万葉時代の自然の姿は変われども、万葉人の歌心は今に伝わり、万葉故地を訪ねれば、自然への崇拝、美への感動、大地の豊かさや神々しさを汲み取った人間の息遣いが聞こえてきます。
すなわち、万葉の歌を求める旅は、万葉人の心の糧を探求する旅なのかもしれません。
歌にひそんでいる古代の人の思い、 風のそよぎに感ぜられる万葉びとの詩情を時代と風土との関わりのなかから説き起こすのが「万葉集の旅」です。
例えば『万葉集』4500余首の中には恋の歌がとても多いのですが、それは当時の別居期間が長いという結婚事情を知ってはじめて理解できるのです。
私は学生時代に万葉集の研究に生涯をささげられた犬養孝先生の講義を聴いて、歌に旋律をつけて朗誦する「犬養節」で万葉集に関心を抱くようになりましたが、先生の説く「歌は心の音楽」という説に賛成です。

額田王の熟田津「新羅征討の歌」と「防人の歌」

愛媛県護国神社の万葉歌碑

新羅征討に向かう途上に詠まれた

「熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」

という有名な額田王の歌も口語に訳さなければ、女性が詠んだ歌にもかかわらず男らしい堂々とした心意気が伝わります。
また、旅の歌である防人歌も口語に訳さず、心の叫びとして鑑賞すべきだと思います。防人とは新羅征討に失敗し、日本軍が663年に朝鮮の白村江で敗北した後、九州・壱岐・対馬に置かれた兵士です。
そのため防人の旅は通常の旅より精神的にも過酷で、

「今日よりは 顧みなくて 大君の 醜(しこ)の御楯と出で立つわれは」

と「大君の」兵士としての気概を言あげしつつも内心は家族の事を心配していたはずです。
すなわち、時代背景と辺境の地との関係で歌を説き起こせば、防人の「ますらをの心」と同時に家族愛や彼らの隠された命の不安の声が理解できます。

<具体的な旅先>

熟田津…愛媛県松山市道後温泉付近、古代の港で『日本書紀』に斉明7年(661)に百済救援の新羅征討軍が伊予の熟田津の石湯行宮(いわゆのかりみや)に停泊したと記されている。

太宰府政庁跡…福岡県太宰府市にあった対外防備および九州を総監するために置かれた役所で、白村江で敗れた大和朝廷が大陸に対する防衛のために設置し、東国より防人を徴発した。

*旅行読売2018年6月号に掲載されました

旅行読売2018.6「こんな旅がしたい」

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by 【平成芭蕉こと黒田尚嗣】

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