岐阜県高山市の日本遺産「飛騨匠~木とともに生きた1300年」 | 【黒田尚嗣】芭蕉さんの旅講座

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岐阜県高山市の日本遺産「飛騨匠~木とともに生きた1300年」

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飛騨高山で「飛騨匠」の魂に触れる

飛騨匠や「両面宿儺」征伐で武振熊が通った「位山匠の道」

古代飛騨王朝の謎を秘めた「飛騨一宮水無神社」の奥宮を巡るツアーで、位山の「天の岩戸」ハイキングの先達案内を務めるべく「位山匠の道」に来たところ、運悪く登山道工事のため、奥宮参拝は難しい状況でした。
そこでやむなくツアーの代替行程は、この「位山匠の道(東山道飛騨支路)」を通ったとされる仁徳朝の「飛騨征伐」、すなわち「両面宿儺討伐」をテーマとした内容に変更しました。
具体的には「円空」の手になる両面宿儺像で知られる飛騨千光寺と両面宿儺が住んだと伝わる丹生川の大鍾乳洞の見学です。
「両面宿儺」とは、日本書紀に登場する異形の怪物で、前後に顔があり、手足も4本ずつあって朝廷に従わず、住民から略奪行為を行っていたため、仁徳天皇か征将武振熊(たけふりのくま)を派遣して討伐したとされています。

「両面宿儺」伝説と飛騨匠制度

しかし、飛騨地方では宿儺は武勇にすぐれ、高沢山の毒龍を平らげたり、位山の七儺(しちな)という鬼神を退治したりして、飛騨の民のために尽くしたとも言われています。
今回のツアーで正式参拝した水無神社は、天皇への笏献上でも知られていますが、宿儺が打ち取った七儺の頭髪が神宝として納められているとも言われています。
位山ハイキングの案内が不要となったので、私は「位山匠の道」を通って都に向かった飛騨匠のことについて調べることにしました。
飛騨匠たちの都への徴用は、8世紀の「賦役令斐陀(飛騨)国条」に規定されており、当時の税である庸・調(物納)を免除する代わりに「里(50戸)ごとに匠丁8人と炊事係2人を出し、里に残った者は匠たちの食糧を作って都へ運べ」という決まりで、合計100人の飛騨匠が毎年交替で都の宮殿や寺院建設のために駆り出されていたのです。
都での匠たちの勤務はほとんど休みがなく過酷であったため、逃亡する者が後を絶たず、飛騨国では補充の匠を派遣する故に成年男子が不足する事態を招いたと言われています。
すなわち、通常の庸・調を納める国よりも極めて重い負担だったのです。




「飛騨匠」の職人魂と万葉歌

しかし、この「飛騨工制度」は飛騨の豊かな自然に育まれた木を活かす文化を形成し、平成28年、「飛騨匠(ひだのたくみ)の技・こころ~木とともに、今に引き継ぐ1300年~」というストーリーが日本遺産に登録されました。
実際、飛騨高山にはその匠たちによって建てられたとされる寺院や神社が数多く残されており、中でも国府盆地にある安国寺経蔵荒城神社本殿は飛騨工制度の時代から受け継がれてきた伝統と文化が生きています。
また、樹齢1200年を超える大イチョウ三重塔が境内にそびえる飛騨国分寺は、匠の魂を感じると同時に風格も漂っています。
都での厳しい労役に耐えながら、真摯で優れた建築技術を身に付け、「飛騨の匠」と称賛されるようになったのですが、関西の大和路には飛騨と共通する地名も多いことから、飛騨に帰れずに現地にとどまった人たちも多かったのではないかと推察できます。
「飛騨の匠」とは一人の優れた大工の名前ではなく、優れた木工たちの美称で、万葉集にも追憶の匠として登場しています。

「かにかくに 物は思わず 飛騨びとの うつ墨縄の ただひとみちに」

これは「飛騨の匠」の真摯な仕事ぶりと心意気を詠んだ万葉集の一句でですが、この精神は職人の魂そのものだと思います。
すなわち、身体は故郷の飛騨を離れて心も都に傾こうとも、職人魂だけは不滅だったのでしょう。
そこで私は高山の街並みと飛騨の匠、松田一門の技を受け継ぐ名工川尻治助により設計建造された、田上家住宅(匠の館)を見学して帰ることにしました。
「飛騨の匠」の歴史を知れば、高山祭の絢爛豪華な屋台や高山市街の商家などは京の雅な様式と飛騨の匠の技術が合体したものであることがよく理解できました。
やはり「旅行+知恵」が人生にときめきを与えてくれます。 

「飛騨匠の技・こころ―木とともに,今に引き継ぐ1300年―」

日本遺産のストーリー 〔岐阜県高山市〕

「飛騨工制度」は古代に木工技術者を都へ送ることで税に充てる全国唯一の制度で、飛騨の豊かな自然に育まれた
「木を生かす」技術や感性と、実直な気質は古代から現代まで受け継がれ、高山の文化の基礎となっている。
市内には中世の社寺建築群や近世・近代の大工一門の作品群、伝統工芸など、
現在も様々なところで飛騨匠の技とこころに触れることができる。
これは私たちが木と共に生きてきた1300年の高山の歴史を体感する物語である。

by 【平成芭蕉こと黒田尚嗣】

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