アボリジニの聖地の世界遺産 ウルル=カタ・ジュタ国立公園
ウルルはオーストラリア先住民にとっての神聖な場所で、ウルル=カタ・ジュタ国立公園内には36個の赤い奇岩が連なっていますが、表面に出ている岩はごく一部と言われています。
有名なウルル(エアーズロック)はノーザンテリトリーの乾燥地帯「レッドセンター」の中心にある大きな一枚岩です。
オーストラリアの世界遺産 ウルル=カタ・ジュタ国立公園
アボリジニの聖地「地球のヘソ」の異名を持つ巨岩エアーズ・ロック
日本標準時の基準となっている東経135度と北緯35度の経緯線が交差する地点は、「日本の中心地点(へそ)」として兵庫県西脇市が観光の目玉にしています。
私は今回、その「日本のへそ公園」を訪ね、「日本のへそ」がここだとして、「世界のへそ」はどこかと思いを馳せれば、片山恭一氏の「世界の中心で、愛をさけぶ」というベストセラー小説を思い出しました。
“アキ”なる登場人物がオーストラリアの原住民アボリジニの世界観に惹かれ、彼らの神聖なる場所「ウルル(地球のヘソ)」に憧れていたという設定でした。
そこで今回は「日本のヘソ」に対して「地球のヘソ」と呼ばれるウルル(エアーズ・ロック)で有名なオーストラリアのウルル=カタ・ジュタ国立公園をご紹介します。
共に先住民族アボリジニの聖地であり、ウルルは西オーストラリア州にあるマウント・オーガスタに次いで世界で2番目に大きな単一の岩で、「世界の中心」という意味あいで「地球のヘソ」と呼ばれています。
私が初めてこの地を訪れた時は、その迫力に圧倒され、世界には自分のスケールでは測ることのできない存在があることに衝撃を受けました。
その頃、ウルルはまだ「エアーズロック」と呼ばれていました。
この巨大な岩を発見したイギリスの探検家が、当時の植民地総督ヘンリー・エアーズの名をとって命名していたからです。
しかし、実際には先住民のアボリジニが住んでおり、彼らにとってはこのオーストラリアの大地そのものが神聖な存在で、そこに命を宿す岩、土、動物、植物など、すべてがそれぞれの起源と役割があり、文字を持たないアボリジニは歌や絵、儀式を通じてそれらの物語を受け継いでいるのです。
そのため、エアーズロックは世紀の発見などではなく、オーストラリア政府はアボリジニの権利を認め、彼らの主権を尊重し、エアーズロックから彼らの呼称である「ウルル」と改めたのです。
カタ・ジュタとアボリジニの世界観
形成する砂岩は鉄分を多く含んでおり、外観は赤色を呈していますが、日の出から日没までの太陽の当たり方でその色が変化する様は、まるで生き物をみているようで、私は宮崎駿監督の映画「風の谷のナウシカ」に登場した「王蟲」を思い出すのです。
一方のカタ・ジュタは「多くの頭」という意味があり、通称オルガズThe Olgasと呼ばれる36の巨石群(礫岩)からなります。
こちらは一枚岩のウルルと異なり、重なり合う岩のコントラストが美しく、空気が乾燥しているだけに朝焼けや夕焼けは見事です。
“アキ”が関心を抱いたアボリジニの世界観は、このような乾燥した砂漠地帯で生き抜くために生まれた彼らの知恵ではないでしょうか。
すなわち、食べ物を取り尽くさない、限りある食料を分けて助け合う集団規範などは、この厳しい環境で生きる上で必要な社会システムかと思います。
「人が土地を所有するのではなく、土地に人が属している。
したがって地上に生きる生命は全て一体のものであり、大自然や土地、動物などあらゆるものに精神が宿る」というアボリジニの世界観は、古代の日本の森羅万象に神の発現を認める考えに似ているように感じました。
「大地に生まれて、大地に戻る」という生命の営みを見守り続けて来たこの地に対しては、単なる聖地という理由からではなく、このウルル=カタ・ジュタのスピリットに対して敬意と感謝の気持ちから訪れたいものです。
祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録
「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。
また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。
★平成芭蕉ブックス
①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
②『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
③『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」
私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。