世界的な巡礼道 サンティアゴ・デ・コンポステーラ
新元号の「令和」を迎え、記念すべき年に最高の想い出となる旅行に出かけましょう。お薦めは、世界遺産の中でも珍しい道の遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」です。
巡礼者は身分証明となるクレデンシャル(巡礼手帳)を持ち、アルベルゲ島の宿泊施設に泊まると公式のスタンプが押され、集めたスタンプが巡礼の証明となります。
信仰と向き合う「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」
ローマ・エルサレムに並ぶキリスト教三大聖地への道
先日、日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」の視察で、諏訪湖の北側にあたる中山道の和田峠から霧ケ峰、八ヶ岳の黒曜石産地を巡った際、久々に美しい天の川を見ることができました。
また、旧街道の宿場である馬籠宿や妻籠宿では、リュックを背負って巡礼者のごとく歩いている多くの外国人に遭遇して、フランス映画「銀河(天の川)」を思い出しました。
この映画は神の存在を歴史の時間軸で描き、「サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道Way of St. James」」を銀河(天の川)に例えたものです。
最近は、江戸時代のお蔭参りのごとく、東海道・中山道の旧道や伊勢路を歩いて伊勢にお参りしたり、熊野古道から熊野詣をする外国人も増えています。
そこで、今回はその熊野古道と姉妹古道提携している世界でも珍しい道の世界遺産、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」をご紹介します。この道は、ピレネー山脈からスペイン北部を東西に貫いており、カミノ・フランセス(フランス人の道)の他、スペイン北部の巡礼路が世界遺産の登録されています。
サンティアゴ・デ・コンポステーラはスペイン北西部にあり、キリスト教の十二使徒のひとり、聖ヤコブゆかりの地で、ローマ(ヴァティカン)、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地に数えられています。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す信仰の道
伝説によれば、イエスの十二使徒の一人ヤコブがエルサレムで殉教した後、その遺骸はガリシアまで運ばれて埋葬され、9世紀初頭、星の光に導かれた司教と信者がその聖ヤコブの墓を発見し、アストゥリアス王国のアルフォンソ2世はこれを記念して墓の上に今日のサンティアゴ大聖堂が建てたと言われています。
11世紀から12世紀にかけては、中世ヨーロッパで盛んであった聖遺物崇拝と当時イベリア半島を支配していたイスラム教徒へのレコンキスタ(国土回復運動)とが連動してヨーロッパ中から多くの巡礼者を集め、スペインと外の文化をつなぐ街道となりました。この道を通じて文化交流が行われた結果、沿道にはロマネスク様式の修道院や建物が多く建てられたのです。
ヤコブは当時のキリスト教国の守護聖人と見なされていたため、キリスト教国の諸王は巡礼路の整備や巡礼者の保護に努め、また聖ヤコブに捧げるために巡礼路に沿った街には多くの教会や修道院を建立しました。
今も多くの巡礼者がフランスからピレネー山脈を越えてスペインの巡礼の道を歩いていますが、道沿いには11世紀の礼拝堂を修復した宿泊所も残っており、中世さながらの足を水で清め、旅の無事を祈る「洗足の儀式」が行われ、食事も提供されています。
これらは巡礼を支える人々の奉仕で成り立っており、巡礼の道を歩き続ける時間は巡礼者にとって信仰と向き合う貴重な時間となってい
サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂は、ロマネスク、ゴシック、バロック、ネオクラシック様式が混在する貴重な教会で、10世紀から今日まで巡礼路の終着地として多くの巡礼者を迎えています。
私も多くの街道を歩きましたが、終着点が歴史ある大聖堂なので感動もひとしおです。中世の城壁に囲まれた旧市街の広場に、堂々と構える緻密な彫刻の施されたサンティアゴ大聖堂のファサードは、ローマのサンピエトロ大聖堂とはまた異なった威厳があるのです。
巡礼者を最初に迎える大聖堂の正面の門は、彫刻家マテオが20年の歳月をかけて1188年に完成させたロマネスク様式の傑作で、「栄光の門」と呼ばれています。また、主祭壇は豪華で繊細な装飾を施したスペイン独自のチュリゲラ様式です。
熊野古道等の巡礼の旅を経験された方は、是非ともこのスペインの巡礼路にも挑戦していただきたいと思います。フランス人も多く熊野古道を訪れていますが、熊野古道とスペインの巡礼路は「信仰と向き合える」貴重な道で、ともに人生に何らかの示唆を与えてくれます。
祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録
「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。
また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。
★平成芭蕉ブックス
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②『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
③『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」
私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。