ピョートル大帝の水の都 サンクト・ペテルブルク
ダイヤモンド・プリンセス号のクルーズでロシアのウラジオストクに行ってきました。
ウラジオストクとは「東方を支配する町」を意味し、昔からロシアの極東政策の拠点でシベリア鉄道の始発駅もあり、帝政ロシア時代の面影を色濃く残していました。
しかしロシア帝国といえばやはり「ロシア史はすべてピョートルの改革に帰着し、そしてここから流れ出す」と評されるピョートル大帝を抜きには語れません。
エルミタージュ美術館で有名なピョートル大帝の都
そこで、今回は東の玄関ウラジオストクではなく北方のヴェネツィアと呼ばれる「ピョートル大帝の都」、ヨーロッパで最も美しい街の一つとされるサンクト・ペテルブルクについてお話しします。
ロシアの都市はモスクワのイメージもそうですが、寒くてどこか薄暗い印象があります。
しかし、このピョートル大帝の都、サンクトペテルブルクは世界三大美術館のエルミタージュ美術館があり、ヨーロッパに近いことから、ロシア文化とヨーロッパ文化が融合する独自の魅力があります。
サンクト・ペテルブルクは1702年にモスクワを嫌ったピョートル大帝が「ヨーロッパへの窓」としてネヴァ川河口にペトロパヴロフスク要塞を建設したのが始まりです。
ピョートル大帝はロシア帝国の新たな都を建設するにあたり、まず最初に取り組んだ事業が外敵から町を守る、この堅固な要塞造りだったのです。
大帝は多くの農奴を動員し、荒涼とした湿地帯を埋め立て、ネヴァ川から86の分流と運河を取り入れて42の島からなる「水の都」を完成させました。
サンクトは「聖」、ペテルは「使徒ペトロ」、ブルクはドイツ語で「城」を指し、「聖ペトロの城」という意味ですが、聖ペトロはピョートル大帝の守護聖人の名前なので実質上は「ピョートル大帝の都」と同意です。
エルミタージュ美術館とペトロパブロフスク要塞
世界遺産としても登録されているペトロパヴロフスク要塞は監獄としても使われ、ドストエフスキーもここに収監されていました。
旧海軍省の横には祖国の賢母エカテリーナ2世がピョートル大帝に捧げた「青銅の騎士像」が立ち、町のシンボルになっています。
しかし、エカテリーナ2世と言えばエルミタージュ美術館です。この美術館はロシア・バロック建築の傑作である冬宮(歴代皇帝の宮殿)を中心に3つの離宮、劇場の5つの建物が一体となって構成されていますが、1764年にエカテリーナ2世がドイツの画商から美術品を一括購入し、それを自分専用の美術品展示室に集めたのがこの美術館の起源とされています。
また、美術館の前には円形の宮殿広場があり、ナポレオンとの戦いに勝利したアレクサンドル1世の記念円柱が建っています。
ナポレオンがエルバ島を脱出していなければ、英国のウェリントン公ではなく、アレクサンドル1世がもっと有名になっていたことでしょう。
ピョートル大帝の時代からソ連時代(レニングラードと呼ばれた)にかけて重要な役割を演じたこの町も今は観光客で賑わう穏やかな佇まいですが、ロシア文学に縁のあるスポットも多いので、文学ファンにもたまらない町です。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
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