令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の世界遺産

平成芭蕉の世界遺産 ドイツ~「ロマンチック街道」の ヴュルツブルク司教館

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ロマンチック街道の起点ヴュルツブルクの世界遺産

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

今日、ヨーロッパを訪れるとしたら、ぜひとも行ってみたい場所の筆頭にドイツの「ロマンチック街道」があります。

中世の姿をそのまま現在に伝える街、多くの由緒ある教会、戦災を免れた貴重な絵画・彫刻などの美術品、そして広大で美しい田園風景など、「ロマンチック街道」沿いの地方には、今もなお「古き良きヨーロッパ」が残っています。

19世紀、鎖国中の日本に来て、長崎出島のオランダ商館付き医師として活躍したシーボルトは、日本をヨーロッパ諸国に始めて紹介した人物ですが、彼はオランダ人ではなく、この「ロマンチック街道」の北の起点ヴュルツブルクの出身でした。

全長350km、6つの国道と州道からなる「ロマンチック街道」は、古代ローマ時代の「ヴィア・クラウディア・アウグスタ」と呼ばれる軍道で、現在はヴュルツブルクとフュッセンとを結んでいます。

聖キリアン像とマリエンベルク要塞

聖キリアン像とマリエンベルク要塞

このヴュルツブルクは、古くはケルト人の集落があったことが確認されていますが、689年にアイルランドから伝道者キリアンがやって来てキリスト教を広めて以来、ヴュルツブルク司教領として栄えてきました。

1802年、教会財産国有化のため、ヴュルツブルク司教区は解体されて、バイエルン王国に吸収されましたが、今もフランケン地方の中心都市として歴史と文化を誇り、文豪ゲーテもドイツで最も美しい都市のひとつに数えています。

そこで、今回は最古のぶどう畑「シュタイン」で有名なフランケンワインの名産地、ヴュルツブルクの世界遺産「ヴュルツブルクの司教館、その庭園群と広場」をご紹介します。

フランケンワインの産地ヴュルツブルク

フランケンワインの産地ヴュルツブルク

ヴュルツブルクのレジデンツと天才建築家ノイマン

ドイツ南部のヴュルツブルクにある司教館は、レジデンツと呼ばれ、18世紀に権勢を誇ったヨハン・フィリップ・フランツ大司教の居城として、天才建築家バルタザール・ノイマンの設計で建てられたバロック・ロココ様式を代表する建造物です。

歴代の大司教はマリエンベルク要塞に居住していましたが、18世紀に入って政情が安定してくると、生活の場を丘の上の要塞から街中に移す目的でレジデンツ宮殿が建てられたのです。シェーンボルン家のヨハン・フィリップ・フランツが司教になると、宮廷礼拝堂や5つの大広間、300以上の部屋をもつ司教館を建築しましたが、壁や天井には華麗なストゥッコ装飾(金網を貼った化粧漆喰を何度か塗り重ねた装飾)が施されていました。

ビュルツブルクのレジデンツ

中央棟と翼棟からなるレジデンツ

ナポレオンは「ヨーロッパで最も美しい館」と讃え、オーストリアの女帝マリア・テレジアも「これこそ宮殿の中の宮殿だ」と称賛しています。

このレジデンツで最も有名な空間は、吹き抜けの「階段の間」で、2階まで続く階段の天井いっぱいに一枚画としては世界最大のフレスコ画が描かれています。これはイタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロによる天空に舞う神々と4大陸を人格化した女神のフレスコ画です。

踊り場から入り口方向の天井画を見れば、フランケンの砲兵隊長の軍服をまとった宮廷建築家のバルタザール・ノイマンも描かれています。これは、彼が建築家になる前、軍人として砲兵隊に所属していたからです。また、ノイマンの左手にはティエポロとその息子も描かれています。

しかし、私にとって最も印象に残っている部屋は金色に飾られた「皇帝の間」で、豪華な絵画や彫像などが組み合わさった壮麗なる装飾は、ロココ芸術の最高峰だと感じました。

この天井画も「階段の間」と同じく、ティエポロのフレスコ画で、この街で行われた神聖ローマ帝国皇帝バルバロッサの結婚や帝国会議の様子が描かれています。

ホーフ庭園と彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダー

レジデンツのホーフ庭園

レジデンツのホーフ庭園

付随するホーフ庭園も世界遺産に登録されていますが、この庭園の見所は、美しい自然的景観と階段欄干の天使像など、随所に配された彫刻の数々です。

特に春から夏にかけては一面にバラの花が美しく咲き誇り、6月にはモーツァルト音楽祭の舞台にもなります。

シーボルトだけでなく、X線を発見したレントゲンや有名な彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダーもこの美しいビュルツブルクゆかりの人です。

特にロマンチック街道に多くの作品を残し、その名をとどめているドイツ後期ゴシック時代の彫刻家リーメンシュナイダーは、16世紀のドイツ農民戦争時にはヴュルツブルク市長として農民軍を支援したことでも知られています。

リーメンシュナイダーの彫刻

リーメンシュナイダーの彫刻

農民たちが敗北したため、彼は逮捕されてマリエンベルク城の石牢に投獄されましたが、彼の人格はこの町によって育まれているので、リーメンシュナイダーの作品もまたレジデンツ同様にビュルツブルクの世界遺産と言えるでしょう。

祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。

また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
 『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
 ④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
 ⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅

平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ

参考記事:世界遺産の旅における「へー、そうだったの」

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています

平成芭蕉の世界遺産

平成芭蕉の世界遺産

世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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