令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の世界遺産

平成芭蕉の世界遺産~デンマーク王国の起源「イェリング墳墓群とルーン文字」

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デンマーク王国の起源を示す世界遺産「イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

ブルートゥースの由来はデンマーク王国のイェリング朝ハーラル「青歯王」

ワイヤレス通信技術Bluetooth(ブルートゥース)が確立されたおかげで、私たちはスマホにイヤホン、はたまたマウスと、日常的に利用することも多く、名前もロゴもすっかり馴染み深いものになりました。このデジタル機器同士を無線でつなぐBluetoothを直訳すると「青い歯」ですが、これは10世紀のデンマーク王、ハーラル1世のあだ名「青歯王」の英語訳から取られました。ハーラル1世はデンマークを統一し、ノルウェーの有力者を影響下に置くことで自国と隣国を平和的に結び付け、文化交流を行ったことから、人々をつなぐ新しいデジタル通信規格の名前に採用されました。

Bluetoothのロゴ

実際の命名者はインテルの技術者ジム・カーダック氏で、北欧統合を成し遂げたハーラル王にあやかって、インテル、ノキア、エリクソン三社が協力し、近距離無線技術の統一規格を作ろうとするプロジェクトをBluetooth(青歯)と名付けたのが始まりです。

そしてBluetoothのロゴは、ハーラル(Harald)のHにあたるルーン文字「ᚼ」とブルートゥース(Bluetooth)のBにあたるルーン文字「ᛒ」を組み合わせたものなのです。

すなわち、Bluetoothのロゴマークは、ハーラル1世の本名「ハーラル・ブロタン」の頭文字であるH・Bを古代ゲルマン語のルーン文字でデザインしたものです。そしてそのハーラル1世の功績をルーン文字で刻んだ石碑は、ユトランド半島中部のイェリングにあり、「イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会」として世界遺産に登録されているのです。

ルーン文字で書かれた石碑

イェリング墳墓群とルーン文字を刻んだ石碑

イェリングは、今でこそ人口3,500人に満たない小さな村ですが、その昔、いわゆるヴァイキング時代には、デンマーク王国の中心、つまりデンマーク初の王朝とされるイェリング朝の王宮が置かれた場所でした。10世紀前半から半ばにかけデンマークを治めたのはゴーム老王と呼ばれるイェリング王権の開祖で、今のデンマーク西部一帯を支配した人物です。

そしてこのゴーム老王を継いだのが、息子のハーラル青歯王で、デンマークとノルウェーの無血統合に成功したほか、この地域にキリスト教を初めて受け入れたことで知られています。

イェリングには、両王がそれぞれ建立したルーン文字を刻んだ石碑(950~970)と、同じく10世紀ごろ作られたとみられる墳墓二つ、また、デンマーク最初の教会も残っており、これらすべてが世界遺産の指定を受けています。

イェリング墳墓群と白壁の教会

小高い丘となっている墳墓の上や、隣接するヴィジターセンター「ヴァイキング王の拠点」のテラスから見ると、石造りの船型の跡なども見渡せますが、この「ヴァイキング王の拠点」センターは無料のミュージアムで、イェリング遺跡を中心にデンマークの歴史やヴァイキングの文化が分かりやすく展示しています。

そして2基の大きな墳墓のそばにルーン文字が刻まれた2つの石碑と白壁の小さな教会が残っています。ふたつの石碑はデンマーク最古のもので、小さいシンプルな石碑には、デンマーク最初の国王ゴーム王がその妻であるチューラ王妃を「デンマークの誉れ」と讃えた内容が刻まれていますが、大きい豪華な石碑は彼らの息子のハーラル1世が自身の功績を刻んだ記念碑で、三角錐の形をしており、3面のうち1面にルーン文字の文、あとの2面には図が描かれていますが、図のひとつはスカンジナヴィア最古のキリスト像です。

北欧にはルーン文字で死者を記念するメッセージを刻んだ石碑が数多く残されており、イェリングの石碑もその一つですが、ハーラル1世の石碑には「これなるハーラルは全デンマークとノルウェーを手に入れ、デーン人をキリスト教徒にした」と書かれています。

Bluetoothロゴに使われたルーン文字

この石碑は10世紀頃のものとされ、記念碑として当時一番高地であったこの地に建てられましたが、教会と石碑と大きな墳墓という、キリスト教と土着の宗教の遺跡が並んだ珍しい世界遺産です。キリスト教以前の異教を信奉していた父ゴーム王の墳墓とされる丘の脇に、シンプルなゴーム王の石碑と豪華なハーラル1世の石碑をあえて並べたのは、私は自己顕示欲の強いハーラル1世が自分の功績を誇示するためではなかったかと考えます。

しかし、彼は北欧における異教からキリスト教へ転換とデンマーク王国の起源を示す貴重な資料だけでなく、私たちにコミュニケーションツールBluetoothの名前を残してくれたのです。

祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録

「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。

また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。

★平成芭蕉ブックス
 ①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
 『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
 『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
 ④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
 ⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅

平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ

参考記事:世界遺産の旅における「へー、そうだったの」

★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」

私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています

平成芭蕉の世界遺産

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「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

「令和の旅」へ挑む平成芭蕉

*「平成芭蕉の旅物語」サイトマップ参照

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