平成芭蕉の世界遺産 インド~イスラム建築の最高峰アグラの「タージ・マハル」 | 【黒田尚嗣】平成芭蕉の旅物語

令和の「平成芭蕉」

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平成芭蕉の世界遺産

平成芭蕉の世界遺産 インド~イスラム建築の最高峰アグラの「タージ・マハル」

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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています。

平成芭蕉の世界遺産

平成芭蕉の世界遺産

世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。

インドの世界遺産 イスラム建築の最高峰タージ・マハル

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

平成芭蕉の「世界遺産への旅」

行くと人生観が変わると言われるインドですが、ひとつの国というよりは、色とりどりの魅力を持つ変化に富んだ小さな国の集合体です。

私もインドでは暑さのために体調不良になったり、路上の牛のために日程変更を余儀なくされるなどさまざまな経験をしましたが、日本ではありえないことがインドでは当たり前のように行われており、この多様性こそがインドの魅力です。

しかし、そんなインドでもやはり一番のおすすめはやはり、アグラの「タージ・マハル」で、この幻想的な美しさに触れるとインドに来て本当に良かったとしみじみ感じました。450年前に建設されたとは思えない、ゆるぎない堂々とした美しいシンメトリーを成すイスラム建築の傑作です。私が初めてタージマハルを訪れたのは20代でしたが、今もその美しさは忘れられません。

20代で訪れたタージマハル

20代で訪れたタージマハル

インドで最も美しく典雅な愛の霊廟「タージ・マハル」

イスラム建築の最高峰、ムガール朝第5代皇帝シャー・ジャハンの遺産

イスラム建築の最高傑作「タージ・マハル」

仏陀生誕の地インドでは、全ての死者は49日目に生まれ変わるという輪廻の思想から、廟墓を建てるという風習はありませんでした。

しかし、インドにイスラムが侵入し、デリー・スルタン朝からムガール朝の時代になると、北インドを中心に洗練された廟が造営されるようになりました。

そしてそのイスラムの帝国、ムガール朝第5代皇帝シャー・ジャハン(在位1628~1658)がアグラに造営した愛の霊廟が、今回ご紹介するインドの文化遺産「タージ・マハル」です。

夕暮れ時のタージ・マハル

夕暮れ時のタージ・マハル

インドは気象条件が厳しく、衛生環境も良いとは言えないので、旅行中に体調を崩し、もう2度と行きたくないと感じた人も多いことでしょう。

しかし、このタージ・マハル廟を見た瞬間は、暑さや疲れを忘れてその美しさに感動を覚えるはずです。

ムガール帝国皇帝シャージャハンと愛妃ムムタズ

この壮麗な建造物は、帝国の繁栄に意欲を燃やし、自らを「世界の王(シャー・ジャハン)」と名乗った皇帝が、愛妃ムムタズ・マハルをしのび、彼女の記憶を永遠に留めるために建てた愛の霊廟であり、皇帝の涙の結晶です。

ムムタズ・マハルとは「宮廷の選ばれし者」という意味で、夫シャー・ジャハンの先帝ジャハンギールにより授けられた名前です。

シャー・ジャハンは終生、彼女一人を愛し、14人の子供を生ませましたが、彼女が14人目の産褥熱で世を去ると、タージ(ムムタズの愛称)の思い出にアグラのヤムナ河岸に白大理石の廟(マハル)を建てたのです。

輝くインド産の白大理石

輝くインド産の白大理石

この愛の霊廟は基壇からミナレットに至るまですべてインド産の白大理石を使っており、他のイタリア産の白大理石を用いた寺院では美しさを保つために毎年磨く必要がありますが、このタージ・マハルの白大理石は磨かなくても美しく輝いているのです。

宝石・宝玉のちりばめられた象嵌細工

宝石・宝玉のちりばめられた象嵌細工

タージ・マハルの美しさは、その見た目の美しさだけでなく、材料も洗練され、28種類もの宝石や宝玉がちりばめられており、細部にいたるまで美しい装飾が施されています。

美しいイスラム装飾

美しいイスラム装飾

また、彼はそのヤムナ河の対岸に、自身のために黒大理石で同相形の廟を建てる予定でいましたが、世継ぎである息子のアウランガゼーブ帝(1658~1707)により志半ばで廃位させられたため、この計画は基壇のみで中断してしまいました。

「完全なシンメトリー」の美しさを誇る典雅な霊廟

晩年の彼はアグラ城に幽閉され、対岸に立つ愛妃ムムタズの廟(タージ・マハル)を眺めながら暮らしたと伝えられています。すなわち皇帝シャー・ジャハンはアグラ城から白く輝くタージ・マハルに眠る愛妃を想いながら生涯を終えたのです。

このタージ・マハル廟は、前庭から4本のミナレット、ドーム傍らの4つのチャトリにいたるまで完全なるシンメトリーの美を構成しています。

しかし、これは知られざるタージ・マハルの秘密となっていますが、自分の黒大理石の廟が未完に終わったため、廟内中央にある愛妃の棺の隣にそっと置かれたシャー・ジャハン自身の棺が、完全なるシンメトリーの例外となっています。

木綿産業で繁栄を築き、栄華を誇った「世界の王」シャー・ジャハンですが、一夫多妻制の文化において、生涯一人の女性を愛し続けた、この慈悲深く愛らしい彼の棺こそが本当の文化遺産かと思います。

★zakzak「ライフ」:2012年4月27日夕刊フジ「世界遺産旅行講座」掲載

by 【平成芭蕉こと黒田尚嗣】

 

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