教皇領とカトリックの総本山「ヴァティカン市国」
潜伏キリシタン憧れの地、ローマ
バーレーンのマナマで開かれたユネスコの会議で日本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が正式に世界文化遺産として登録されました。
そこで、今回は彼ら潜伏キリシタンにとって憧れの地であったローマのヴァティカンについてご紹介します。
ヴァティカン市国のあるイタリアは、西ローマ帝国が滅んでからはいくつもの国に分裂し、ナポリやフィレンツェそしてヴェネツィアなどの都市も19世紀以前はそれぞれが独立した国家でした。
それが1860年代にサルディニア王国のヴィットリオ・エマヌエル2世のもとで再統一されたのですが、中世以来ローマを中心に広い面積を占めていた教皇領の編入については、これを認めないローマ教皇(法王)と新しく生まれたイタリア王国との間に気まずい冷戦状態が続いたのです。
これを解決したのは独裁者ムッソリーニで、彼は1929年にラテラーノ条約を結んで境界線を決めると同時に教皇の法的地位も明確にしました。
その結果生まれたのが、ローマ教皇(法王)を首長とする世界最小の独立国であるヴァティカン市国で、ローマ教皇庁が置かれるカトリック教会の聖地です。ローマ教皇が国家元首を務め、国全体が世界遺産登録されている世界で唯一の場所です。
サン・ピエトロ大聖堂と聖ペトロ
そこでムッソリーニが造ったサン・ピエトロ広場に続く大通りの名前コンチリアツィオーネは両者の「和解」という意味です。
荘厳なるカソリック総本山であるヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂は、イエス・キリスト最初の弟子、聖ペトロ(イタリア語ではピエトロ)の墓の上に建てられた4世紀のバジリカ(集会堂)が起源で、キリスト教徒を味方につけて天下を取ったコンスタンティヌス大帝が寄進したとされています。
ペトロ(本名はシモン)はラテン語で「岩」を意味しますが、彼は岩のように意思も強く、統率力もあったので、イエスが「あなたは岩、私はこの岩の上に教会を建てよう。あなたに天の国の鍵を授けよう」と後事をペトロに託したのです。以来、「鍵」は使徒ペトロ、そしてペトロの後継者であるローマ教皇(法王)のシンボルとなったのです。
重要な人物を「鍵を握る人」と言いますが、ローマ教皇(法王)はキリスト教の信者のみならず宗教界のリーダーであり、世界平和の鍵を握る存在なのです。
サン・ピエトロ大聖堂は、宗教建築としては世界最大級の大きさを誇り、15世紀にドナート・ブラマンテを主任建築家として始まった改築工事を、ミケランジェロが引き継いで1626年に完成しました。ミケランジェロはまた、システィーナ礼拝堂に『最後の審判』のフレスコ画も描きました。
信徒発見と教皇による26殉教者の列聖
今回、世界遺産登録された大浦天主堂における「信徒発見」は、世界宗教史上の奇跡とされ、当時の教皇ピオ9世は日本の26人の殉教者を聖人の位にあげる列聖を行い、世界中の信者に「日本の教会の事を考えて祈りを捧げよう」と呼びかけたと言われています。
しかし私はプチジャン神父が潜伏していた信徒を発見したというより、建てられて間もない長崎の大浦天主堂で「サンタ・マリア様のご像はどこ?」と尋ねた潜伏キリシタンたちによる神父発見という表現の方か正しいように思えます。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
世界遺産とは地球の成り立ちと人類の歴史によって生み出された全人類が共有すべき宝物で、その内容によって①文化遺産②自然遺産③複合遺産に分類されます。この「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。