イギリス貴族の華麗なる館「ブレナム宮殿」
元英国首相ウィンストン・チャーチルと「ノーブレス・オブリージュ」
2018年のアカデミー賞で話題になった映画「ウィンストン・チャーチル」の映画を鑑賞し、私は小学生の頃に読んだ彼の伝記を読み返してみました。
そして感じたことは、イギリスの強さの根本にはチャーチルのような「貴族の存在」があったということです。
すなわち、世界最大の再保険引き受け組織であるロイズ保険組合もそうですが、英国貴族には、危機に際しては戦いの先頭に立ち、モラルを支える「ノーブレス・オブリージュ(身分の高い人には果たさねばならない社会的責任と義務がある)」精神が備わっていることです。
そこで今回は「偉大な英国人」と呼ばれる第二次世界大戦前後の首相「サー・ウィンストン・レナード・スペンサー・チャーチル」の生家でもある、イギリス貴族の館「ブレナム宮殿」をご紹介します。
このイギリスのバロック建築を代表する宮殿は、1704年、「ブレナムの戦い」でフランス軍を降した将軍、初代マールバラ公爵ジョン・チャーチルに、当時のアン女王が恩賞として下賜したものです。
よって、マールバラ公爵家の私邸ですが、イングランド内にある宮殿(Palace)と名のついた屋敷の中では英国王室に所有されていない唯一の宮殿です。
英国一のバロック建築と称されるだけあって、『007』や『シンデレラ』など複数の映画の撮影地にもなっています。
チャーチルは「人が建物を作り、建物が人を作る」とも言っていますが、この素晴らしい宮殿をめぐると、この建物が彼の人格を形成したのではないかと思います。
ブレナム宮殿の「チャーチルの間」と「赤い書斎」
壮大な宮殿には200以上の部屋があり、来客用のダイニングルームである大広間や書斎など見るべきところは数多くありますが、おすすめは彼の一生を紹介した「チャーチルの間」で、なんと「クレメンティーン夫人」に宛てたラブレターまで公開されており、興味深い展示が並んでいます。
また、公爵家ゆかりの肖像画や写真が展示された客間には、親戚筋の故ダイアナ・スペンサー王妃の写真もありました。
ブレナム宮殿は家具や絵画、彫像その他の美術品のコレクションが非常に充実していますが、特に「赤い書斎」の歴代マールボロ侯爵を中心とした肖像画の中で、大きな第9代目の家族を描いたジョン・サージェントによる油彩画は印象に残っています。
宮殿内に数ある部屋の中で、もうひとつその素晴らしさが際立っている場所は、Long Libraryと呼ばれている図書室です。
その名の通りに横に長い形状のこの部屋は、イングランドに存在するあらゆる部屋の中でも二番目に長い部屋と言われており、もとは絵画ギャラリーを想定して造られたそうですが、今では前述した9代目侯爵によって集められた10000冊を超える本の棲みかとなっています。
この図書室にはいくつかのソファが並んでいて、窓からは美しい庭園も眺めることができるので、ここで本を片手に過ごせたらチャーチルの気分が味わえるかもしれません。
イングランドで最も美しい風景と「勝利の塔」
しかし、建物も豪華絢爛ですが、季節によってさまざまな花が咲き乱れる庭園も素晴らしく、ウォーターテラスから庭園に出ると、地平線の先に1730年に建てられた「勝利の塔」も見ることができます。
宮殿の正面から真っ直ぐこの塔を目指して進んでいく途中には、建築家ジョン・ヴァンブラウンが創った橋が架かっていますが、この橋と宮殿、そして湖を見渡すことのできる位置から見る光景は、私のおすすめで「イングランドでも最も美しい風景のうちの一つ」です。
私はチャーチルが育ったこの宮殿の環境と「勝利の塔」を眺めていると、日本の戦後復興もイギリスを勝利に導いたチャーチルのような「ノーブレス・オブリージュ」精神を持った、元公爵や元伯爵といった日本の華族による支えがあったのではないかと思いました。
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私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。