縄文人の生活支えたブナの原生林が自生する自然遺産「白神山地」
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平成芭蕉の「世界遺産への旅」
ブナの原生林が自生する日本初の世界自然遺産「白神山地」
2022年7月に世界文化遺産登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を巡るツアーが好調で、私はしばしば青森県や秋田県の縄文遺跡を訪ねるようになりました。先日、その中でも4つの環状列石があることで知られる秋田県北秋田市にある伊勢堂岱(どうたい)遺跡を案内していると、日本で初めて世界自然遺産として登録された白神山地も一望することができました。
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秋田の伊勢堂岱(どうたい)遺跡
「白神山地」は、人の手がほとんど入っていない原生的なブナ林が世界最大級の規模で分布し、多種多様な動植物が生息する特異な生態系が見られることなどが評価され、1993年、自然遺産に登録されました。
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原生的なブナ林
白神山地は青森県と秋田県の県境にまたがる標高200~1250メートルの山岳地帯で、その中心部のおよそ1万7000ヘクタールが世界自然遺産に登録され、多くの地域は白神山地森林生態系保護地域、白神山地自然環境保全地域、津軽国定公園、赤石渓流暗門の滝県立自然公園、秋田白神県立自然公園などに指定され保護されています。
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津軽国定公園の「青池」
白神山地に現在の生態系が形成されたのは、氷河時代が終わって日本列島が温暖化した約8000年前の縄文時代早期の頃で、ブナを中心とした原生的な森には、500種以上の植物、ニホンカモシカやクマゲラなど貴重な種を含む多種多様な生物が育まれ、四季折々、この森が縄文文化を育んできたと言われています。ブナ林はすぐれた保水能力があり「緑のダム」とも呼ばれ、動植物だけでなく人間もその恩恵にあずかってきたのです。
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「緑のダム」
生態系の豊かさや、素晴らしい水源となることなどから木偏に「無」と書かれた木が主役となるこの森が広く注目されたのはごく近年の事です。
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赤石渓流暗門の滝県立自然公園
白神山地の核心地域においては、次世代に貴重な自然環境を引き継いでいくため、人手を加えないことになっており、整備は行われていませんが、岳岱(だけだい)自然観察教育林、暗門の滝、十二湖、高倉森歩道、太夫峰、白神岳、小岳、二ツ森、藤里駒ケ岳などは一般観光客も訪ねることができます。
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沸壺の池
中でも十二湖を一望できる「大崩(おおくずれ)展望所」は、ブナの森に囲まれた青い色が美しい「青池」やエメラルドグリーンの「沸壺(わきつぼ)の池」、そして優美な日本海をも見渡せ、世界遺産の絶景を独り占めできるスポットです。しかし、展望所までの道のりは、手つかずの大自然を味わう登山道のため、それなりの準備が必要です。
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大崩れ展望所からの眺め
また、日本キャニオンは、白神山地の西側に広がる湖沼群「十二湖」の散策コース内から眺めることができる白い岩肌が美しい絶景ポイントで、木々に覆われた山肌の中で一部分だけが浸食崩壊によって白い石灰岩がむき出しになり、周囲とのコントラストが他にはない迫力ある景観を作り出しています。
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日本キャニオン
しかし、私のおすすめは岳岱自然観察教育林で、アニメ「もののけ姫」の作画スタッフも参考にした場所です。
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岳岱自然観察教育林
この森を語るときに、欠かすことのできないのが「400年ブナ」と呼ばれる白神山地のシンボル、森の主とも呼べる存在ででしたが、今は台風で倒れて横たわっていますが、今も独特の存在感で来訪者を出迎えてくれます。
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倒れた森のシンボル「400年ブナ」
また、この岳岱は、ブナの花が実をつけ種子となって地面に落ち、実生(みしょう・発芽後の生長状態)から若木、成木を経て老木として平均樹齢300年を全うするプロセスを観察することができる貴重な自然教室でもあります。
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貴重な自然教室
世界遺産の地域外ですが、白神山地のブナ林の雰囲気を気軽に楽しめる原生林で、歩きやすい遊歩道が整備されており、卵を木の枝や草に産むことで知られるかわったモリアオガエルやクロサンショウウオが生息する池もあって、新緑や紅葉に限らず、どの季節に訪れても豊かな自然に触れることができるスポットです。
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モリアオガエルが生息する池
北東北は「縄文遺跡の宝庫」ですが、縄文遺跡と白神山地を観察するとブナ林が育んだ自然環境が縄文人の生活、精神文化を支えていたことが理解できます。世界が目まぐるしく変わっていく現代、未来に遺していかなければならない人類が共有する宝物の森は、縄文時代と同様にどうやって共生していくかが問われているのかもしれません。
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ブナ林が育んだ自然環境
祝!日本の縄文文化「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産登録
「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたことを記念して、私はみちのくを旅した芭蕉の研究本『松尾芭蕉の旅に学ぶ』と共に『縄文人からのメッセージ』というタイトルで縄文文化を語り、平成芭蕉の『令和の旅指南』シリーズ(Kindle電子本)として出版しました。人生100歳時代を楽しく旅するために縄文人の精神世界に触れていただければ幸いです。
また、日本人の心に灯をつける『日本遺産の教科書』、長生きして人生を楽しむための指南書『人生は旅行が9割』、感情の老化を防ぐ私の旅日記である『生まれ変わりの一人旅』とともにご一読下さい。
★平成芭蕉ブックス
①『人生は旅行が9割 令和の旅指南Ⅰ』: 長生きして人生を楽しむために 旅行の質が人生を決める
②『縄文人からのメッセージ 令和の旅指南Ⅱ』: 縄文人の精神世界に触れる 日本遺産と世界遺産の旅
③『松尾芭蕉の旅に学ぶ 令和の旅指南Ⅲ』:芭蕉に学ぶテーマ旅 「奥の深い細道」の旅
④『生まれ変わりの一人旅 令和の旅指南Ⅳ』: 感動を味わう一人旅のススメ
⑤『日本遺産の教科書 令和の旅指南』: 日本人の心に灯をつける 日本遺産ストーリーの旅
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平成芭蕉「令和の旅指南」シリーズ
★関連記事:平成芭蕉の旅のアドバイス「旅して幸せになる~令和の旅」
私は平成芭蕉、自分の足で自分の五感を使って世界遺産を旅しています
![平成芭蕉の世界遺産](https://i0.wp.com/heiseibasho.com/wp-content/uploads/2019/10/DON_0862-2.jpg?resize=300%2C212&ssl=1)
平成芭蕉の世界遺産
「平成芭蕉の世界遺産」はその世界遺産についての単なる解説ではなく、私が実際に現地に赴いてその土地に生きる人たちと交流した際に感じた感動の記録です。
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「令和の旅」へ挑む平成芭蕉