栃木県宇都宮市の日本遺産「大谷石文化~地下迷宮の秘密を探る」 | 【黒田尚嗣】芭蕉さんの旅講座

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栃木県宇都宮市の日本遺産「大谷石文化~地下迷宮の秘密を探る」

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餃子の街、宇都宮で大谷石文化を探る

「大谷石」で文化を築いた宇都宮の魅力は餃子だけではありません

今日は宇都宮市教育委員会の「日本遺産魅力発信に係る調査及び戦略検討業務」に関する第1回検討会に委員として出席してきました。
宇都宮市の中心街から北西約8㎞に位置する「石のまち」大谷が、2018年5月に「地下迷宮の秘密を探る旅~大谷石文化が息づくまち宇都宮」というストーリーとして日本遺産に登録されたことを受けての事業です。
私は20代の頃から大谷地区を訪れていますが、周辺は隆起した凝灰岩の奇岩が連なり、むき出しの岩肌と森とが相まって「陸の松島」とも呼ばれています。
この地で採掘される大谷石は主として地下採掘で、そのため地下の広大な採掘跡地は圧巻で、テレビや映画の撮影にも利用されています。
また、宇都宮は日本屈指のロードレース「ジャパンカップサイクルロードレース」の会場にもなっています。

石のまち「大谷」とフランク・ロイド・ライト

私は委員会出席の前に日本遺産の構成要素である大谷資料館大谷寺の大谷観音、そして市内のカトリック松が峰教会を視察しました。
大谷資料館は大谷石の地下採掘場跡で神秘的な巨大地下空間となっており、まるでインディ・ジョーンズのごとく探検に来た気分です。
大谷寺本尊の千手観音(大谷観音)は、810年、弘法大師の作とされ、鎌倉時代には坂東19番の霊場となり、多くの人が訪れていますが、私は岩窟の彫刻された表情からバーミヤンの石仏を連想しました。
また、松が峰教会は、建物の内壁と外壁に大谷石が貼り付けられ、あたかもロマネスク様式の石造建築のような見応えのある教会です。
そもそもこの大谷石は、大正時代に有名なアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが、旧帝国ホテルの素材として使用したことで全国に知られるようになりました。
さらに言えば、大正12年の関東大震災で多くの建物が崩壊炎上する中で、旧帝国ホテルが焼け残ったことにより、大谷石の防火性があらためて見直されたのです。
現在は明治村(愛知県犬山市)にその一部が復元され、保存展示されています。
私は明治村でその旧帝国ホテルの建造物を観察しましたが、注目すべきは大谷石がスクラッチ煉瓦及びテラコッタ(模様のついた粘土の素焼き)と見事に調和している点です。
すなわち、大谷石は表面の温かみや柔らかさなど、他の石材では代替できない優れた質感を持っていますが、この旧帝国ホテルのように他の素材とのコラボレーションで活きる点が素晴らしいと思います。

石を掘る文化と掘り出された石を使う文化が調和した町、宇都宮

昼食は大谷石の蔵を活用した「ダイニング蔵おしゃらく」というレストランでとりましたが、食事の内容もさることながら、大谷石の天然ゼオライトの効果もあるようで癒された感じがしました。
宇都宮には最近、この昔ながらの蔵を改装した、オシャレな大谷石カフェが増えているようです。
宇都宮は奥州街道日光街道との分岐点となる追分があり、交通の要衝でもありました。
鉄道もかつて栃木県には人車鉄道が6軌道も存在し、その中でも大谷石の輸送を目的に敷設された宇都宮石材軌道は県内最大規模を誇り、明治、大正、昭和の三代を生き続け、野州人車鉄道を吸収合併して更に大谷石材専用線を敷設したのです。
最後は東武鉄道に合併されましたが、この鉄道と街道のおかげで建材としての大谷石は、東京や横浜にも大量に出荷され、都内の池袋にある自由学園の明日館(みょうにちかん)も随所に大谷石が使われています。
そこで、まずは宇都宮の石を掘る大谷石文化に触れてから都内の大谷石を使った塀や建造物を見学して回るのがおすすめです。
日本では木造建築が多いのですが、この大谷石は他の素材との調和性を持つことから、「和」の文化である日本にふさわしい素材だと思いました。

地下迷宮の秘密を探る旅~大谷石文化が息づくまち宇都宮~

日本遺産のストーリー 〔栃木県宇都宮市〕

冷気が張りつめるこの空間は一体、どこまで続き、降りていくのだろう。
壁がせり立つ巨大な空間には、柱が整然と並び、灯された明かりと柱の影が幾重にも続く。柱と柱の間を曲がると、同じ光景がまた目前に広がり、しだいに方向感覚が失われていく。
江戸時代に始まった大谷石採掘は、最盛期に年間89万トンを出荷する日本屈指の採石産業として発展し、地下に巨大な迷宮を産み出していった。
大谷石の産地・宇都宮では、石を「ほる」文化、掘り出された石を変幻自在に使いこなす文化が連綿と受け継がれ、この地を訪れる人々を魅了する。

by 【平成芭蕉こと黒田尚嗣】

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